空室率は3 期連続1%台の横ばいで推移。 賃料は依然上昇傾向が続く。
需要に停滞感
シービーアールイー(株)の調査によると、2019年9月期の仙台市内中心部の空室率は1.9%と、前2期(同年3・6月期)と同じ数値となった。中小規模の空室の入れ替わりはあるが移転数自体は多くはなく、需要の停滞感が見られる。移転希望はあるものの、希望に合うまたは選択できる物件がない。移転候補先の賃料が現賃料と比較して大幅に上がるため、コスト面を理由に需要にブレーキがかかることも要因の一つと言える。消費税増税に今後の景気の不透明感も重なり、移転需要が喚起されにくい状況も推測される。
賃料は、依然上昇傾向にある。仙台オールグレードの想定成約賃料は、対前期比1.3 % 上昇の11,120円/坪(共益費込)となっている。賃料が大きく上昇し始めたのはここ数年のため、それ以前の入居テナントの継続賃料との価格ギャップが大きい。特に、仙台駅近隣ビルの成約賃料は急激に上昇したため、マーケット低迷時と比較すると、軒並み150%を超え、物件によっては200%近いケースもある。今後の上昇率については、少し緩やかになると予測される。ただし、周辺エリアへの波及、既存入居テナントへの賃料上昇は、当面続きそうである。
新規供給は順調にテナント確保
2020年は、3棟のオフィスビルが新たに供給される予定となっている。いずれもテナント候補は順調に内定しており、ほぼ満室での竣工が予想される。二次空室も限定的な様子で、マーケットへの影響は少ないものと考えられる。
さらに、2020年末から2021年初旬の竣工を目指し、「(仮称)仙台駅東口オフィス」が着工している。本物件は、仙台駅直結、地 上13階建、ワンフロア貸室面積約430坪、オフィス総貸室面積約4,700坪と、仙台市内においてトップクラスの規模を誇るオフィスビルとなる。内定テナント等はまだ聞こえていないが、マーケットへ大きな影響を与えると予測され、注目度も高い。
今年7月に、仙台市から「せんだい都心再構築プロジェクト」が発表された。これは、中心部にある老朽建築物の建て替え促進と高機能オフィスの整備に向けた助成金および容積率緩和等、大きな規制緩和政策である。需要が活性化されるハイグレードオフィスの建設や、魅力的な都市整備による、今後の仙台のさらなる発展を期待したい。
仙台支店 瀧尾 智之
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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仙台市中心部 | 13,500円~16,500円/坪 | 空室率は引き続き低位のままで、大型ビルや築浅のビルについては、入居テナントへの賃料増額交渉が続いている。大型の空室が少ないため、来年竣工の新築ビルに需要が集まり、すでに入居テナントの目星がついたビルもある。一方で最近まで続いていた館内拡張による空室の消化も一段落した感があり、対外的に新規募集をするビルも増えてきたため、マーケット内での循環が起きる時期が近づいている。 | |
郡山市 | 9,000円~11,000円/坪 | 空室率は横ばいも、空室の消化、新規募集区画の発生の動きが散見され、マーケットに動きが見られる。一方で、賃料相場は現状維持のまま推移している。 | |
盛岡市 | 9,000円~11,000円/坪 | リニューアル工事により、募集停止となっていたビルが募集を再開したため、空室率が上昇した。また、テナントの動きも鈍く、空室が長期化し始めている。 | |
倉庫・配送センター・ 注文建築 |
3,000円~5,000円/坪 | マルチ施設の入居調整も進んでおり、供給が不足する状況が加速する見込み。その中でLMT が福島と岩手で各々1 棟ずつ竣工。 竣工前に一部の入居テナントが決定するなど好調な滑り出しとなった模様。 | ー |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。