空室率は過去最低値の2%台へ。賃料見直しの動きも強まる。
物件の品薄感が顕著に
当社の調査によると、2016年6月期の広島市内中心部の空室率は2.8%となり、対前期(同年3月期)比0.4ポイント低下と、調査開始以来、初めて3%を下回ることとなった。
テナント需要の動向については、前期と同様に、県外からの新規拠点開設や面積拡張を要因とするオフィス移転が多く、引き続き、空室率を低下させることとなっている。
築浅大型物件では、元来入居テナントの館内増床希望が強く、空室の顕在化が限定的となっており、これまで既存の優良物件がテナント需要の受け皿を担ってきた。しかし、空室率の推移が示すように、その受け皿が枯渇しつつあるといえる。面積の大小を問わず、解約予告期間中に後継テナントが決定するケースも散見され、今後いっそう、空室の確保が困難となることが予想される。
一方で、オーナー側の動向としては、空室率の低下傾向が続いていることを背景に、賃料水準を見直す動きが強まっている。また、7月にプレオープンした「おりづるタワー」やJR広島駅前に今夏竣工した「ビッグフロント広島タワービル」など、高額賃料帯の物件に対して移転を検討する企業が増加していることも、広島市中心部全体の賃料水準を押し上げる要因の一つと考えられる。
廉価物件の空室消化が進む岡山
岡山市の空室率は、順調に低下を続けている。これは、今までの新設・拡張のニーズに加え、岡山駅前の商業施設「ドレミの街」の耐震補強工事のため、入居テナントが他ビルに移転先を求めたためである。
一見すると堅調に見えるオフィス市況だが、景気の曲がり角の動きは垣間見られる。空室の消化が進むのは比較的廉価な価格帯のビルであり、また、旧耐震ビルでも、リニューアルをした廉価物件が地場中小企業の選択肢になり、空室を消化している。一方、駅近・築浅のプライスリーダー的な物件は、少し足が遅くなっており、空室は少ないものの、消化できない状況が続いている。
新築のビル計画は具体化したものがなく、タイトな市況が続いている。ただし、再開発構想は相次いで持ち上がっている。総事業費に対し国・市から補助金を得られるためだが、順調にいけば、4~5年先には完成する案件もあり、期待が持たれる。
広島支店 鈴木 歓・越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 9,000~10,000 円/坪 |
立地改善や新規開設の需要が堅調で、小中規模の面積帯に需要が集中している。
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広島駅南 | 9,000~11,000 円/坪 | 品薄なマーケットが続いており、空室の希少性が高まっている。 | |
八丁堀・紙屋町 | 9,000~12,000 円/坪 |
大型空室が枯渇しており、需給が逼迫してきている。新規・継続賃料ともに上昇基調にある。
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大手町 | 7,500~9,000 円/坪 |
他エリアと比較すると空室率は高い水準となっているが、現在は賃料の割安感から空室消化が進んでいる。
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岡山桃太郎大通り | 8,500~12,000 円/坪 |
地場企業に好まれるエリアで、旧耐震ビルも含め、空室を消化している。
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岡山市役所筋 | 9,000~13,000 円/坪 |
館内増床と館内減床の両テナントが散見されるものの、比較的館内増床が多く、また新規出店も加わり空室は減少傾向。
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広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,400 円/坪 |
空室不足が続いており、新規供給も見込めない。床確保にはBTSも視野に入れる必要がある。
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広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 |
開発案件はあるが、賃料設定が市場と乖離している。賃料以外の判断材料が望まれる。
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岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,500 円/坪 |
昨年後半竣工した大型マルチ型物件には依然空室がある状況。さらに大型賃貸物件の開発計画もあり、今後顕在化する可能性がある。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。