空室率は過去最低値を更新。賃料の上昇傾向がさらに継続。
活発なオフィス移転需要
当社調査による、2016年6月期の福岡市の空室率は、前期(同年3月期)より0.2ポイント低下し、2.2%となった。比較的緩やかな低下ではあるが、今期は「JRJP博多ビル」がほぼ満室の状態で竣工したにもかかわらず移転需要は引き続き活況であるため、さらなるニーズ拡大となった。そのため空室率は、2001年の調査開始以来の最低値を、さらに更新する結果となっている。
移転需要は活況だが、テナントが希望する物件が少ない状況は変わっておらず、それは今後も継続すると思われる。テナントが「JRJP博多ビル」へ移転した後の空室予定物件についても、さらに二次空室を生む市内オフィスゾーンからの移転ではなく、館内増床や新規開設で決定し、新たな空室が発生しないケースが多く見られた。すでに空室率は低下余地がほとんどない水準にあるが、さらに低下していく見通しである。
想定成約賃料は、対前期比2.2%プラスの11,500円/坪で、上昇傾向が続いている。前期同様、2%を超える非常に高い上昇率となっている。特に賃料水準の高いビルの賃料上昇が顕著であるが、それ以外のビルも含めて、ほぼ全面的に上昇している。2007年から2011年頃に竣工し、リーマンショックの影響を大きく受けた物件の新規成約賃料は、当時から比べると2,000~4,000円/坪上昇している。当時、割安な賃料で入居した既存テナントを中心に、オーナーからの賃料の値上げ打診が依然として行われており、打診を受けたテナントは、移転を検討するものの、現在の逼迫したオフィスマーケット下では割安で移転できる物件が少なく、値上げに応じて現入居ビルに残留するケースが多く見受けられる。
期待される今後の新規供給
福岡では、今年12月、博多駅前4丁目に「(仮称)博多駅前C-9ビル」が竣工を予定している。新規供給が待たれる福岡市のマーケットにおいては、一定規模のテナント需要の喚起が期待されるものの、ワンフロア約90坪、延床面積1,145.66坪と中小型の新規供給であることから、二次空室を含め、マーケットに与える影響は限定的であると予測される。
博多駅中央街郵便局跡に予定されているオフィスビルの開発や、天神エリアの再開発等、引き続き、大型の新規供給への期待は高まっている。
福岡支店 羽田裕太
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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博多駅前 | 10,500~13,500 円/坪 |
需要は旺盛で、好立地、大型ビル中心に引き合いが集中。空き予定物件も早々に決定する傾向にある。新規賃料は引き続き上昇傾向。
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博多駅東 | 9,500~11,500 円/坪 |
博多駅前エリアと比較するとまだまだ割安感があり、市内他エリアに比べても大型空室が残っている。
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呉服町 | 9,500~11,500 円/坪 |
博多駅近辺の空室が減少した影響で、呉服町エリアにも需要が広がり、引き合いは増加傾向。
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天神 | 11,500~14,000 円/坪 |
大型空室は非常に少ない。明治通り沿いを中心に需要は高まっており、新規成約賃料は、軒並み上昇傾向。
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赤坂大名 | 9,000~10,500 円/坪 |
天神エリアと比較すると割安感のあるエリアであるが、空室は少ない。
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北九州小倉 | 7,500~10,000 円/坪 | 大型空室は比較的多いが、需要は少なく動きは停滞している。 | |
中・大型倉庫 市内 |
2,600~3,200 円/坪 |
需要は堅調で、既存倉庫の品薄感が続く。今後予定されている大型供給に注目が集まっている。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。