拡張・新規需要が活発化するも、築浅・大型物件不足が継続。
賃料は緩やかながら上昇
福岡のオフィスマーケットでは、毎期空室が消化され空室率が低下しており、賃料面に関しても緩やかながら上昇傾向にあるといえる。
2012年以降、福岡市内のオフィスの新規供給は抑制されてきた。また、昨今の好況感に準じ、需要は増加傾向であり、拡張ニーズの増加、コールセンター設立やBCPに対応するための新規オフィス需要も活発である。まとまった面積を確保できる物件は、品薄感が出てきている。
賃料水準も、徐々にではあるが上昇傾向となってきている。新規成約賃料に関しては、一時期の下限賃料より底上げされ、フリーレントの付与月数も減少傾向にある。既存テナントの継続賃料も、数年前に当時の割安な賃料で入居したテナントに対しては、貸主からの賃料値上げ交渉が散見される。
九州各県においても、空室は減少傾向にあり、賃料は下げ止まっている。具体的な新規供給案件が少ないことも重なり、今後も空室の減少傾向の継続が予想される。ただし、緩やかな回復であるため、賃料上昇にはもう少し時間がかかると思われる。
待たれる新規供給
前段にも記載したが、コールセンター設立やBCP対策を踏まえた新規オフィス需要は、非常に活発である。当然、福岡市を含む九州エリアに限定されたニーズではなく、各県各市等の企業誘致の助成金、雇用を踏まえた検討となっているが、有力な候補として、福岡および九州エリアが挙げられることが多い。しかし、これらのニーズを満たす、築浅で設備要件の整ったまとまった面積を確保できる物件が希少となってきており、計画が頓挫するケースも見受けられる。
このような市況下、福岡市内における2015年の新規供給予定は今のところ1棟のみである。現在建築中であるが、引き合いは増加している。その後には、JR博多駅の再開発が着工、天神エリアでも再開発に向け解体工事が始まったオフィスビルもある。
この好況がいつまで継続するか不安は残るものの、市況の回復に加え、オフィスの供給不足は、しばらく続きそうである。ビルオーナーも、賃料値上げのタイミングを見計らっており、今後も緩やかな賃料上昇と空室率の低下傾向が予想される。
福岡支店 瀧尾智之
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
博多駅前 | 9,000~12,000 円/坪 | 市場の中でも順調に空室率が低下しているエリア。築年数が浅い物件の中には、成約賃料が上昇しているものもある。 | |
博多駅東 | 8,000~10,000 円/坪 | 小規模の面積帯が多く空いており、博多駅前より安価なエリアになる。引き続き築年数が浅い物件から空室が減少している。 | |
呉服町 | 8,500~11,000 円/坪 | 比較的新しい物件が多いエリアで、割安感のある築年数の浅い物件では空室はほとんど消化された。賃料の上昇までには至っていない。 | |
天神 | 11,000~13,500 円/坪 | 天神中心部を中心に継続的に空室は減少している。大型面積の空室が少ないため、一部の物件では賃料を見直す動きもある。 | |
赤坂大名 | 8,000~10,000 円/坪 | 需給とも目立った動きはないが、空室率は低下傾向。賃料の下落は落ち着いているが、低水準が続いている。 | |
北九州小倉 | 7,000~10,000 円/坪 | 大型ビルの新規空室が出たものの限定的。希少性の高い、割安感のある築年数の浅い物件から空室が減少してきている。 | |
中・大型倉庫 市内 |
2,500~3,000 円/坪 | 需要は堅調で、大型供給があったものの満室稼働や多くの引き合いが見受けられる。既存倉庫は引き続き品薄感が強い。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。