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賃貸オフィス・事務所の記事

北海道 - 賃貸不動産市場 2015年6月期

空室率は低水準で推移、大型ニーズの潜在化が鮮明に。

空室率低下ペースはやや鈍化

シービーアールイー(株)の調査による2015年6月期の札幌市中心部の空室率は、対前期(同年3月期)比0.2ポイント低下して3.5%となった。前年同期の空室率は5.7%であり、この1年間で2.2ポイントもの低下となる。2012年以降、空室率の低下傾向が続いているが、他の主要都市と比較して非常に低水準で推移してきたこともあり、低下ペースは少々鈍化してきている。

テナント動向としては、大型空室が非常に少なくなった影響が大きく、これまで空室率を押し下げる大きな要因となっていた、コールセンター企業やIT系企業等の業務受託に伴うオフィス拡張の動きが弱まってきている。新規開設やビルスペックの向上等、前向きな理由による動きは継続しているものの、中小規模の面積帯による動きが中心になりつつある。50坪未満の空室も館内増床で消化されるなど、テナント側が積極的に必要な床を確保しようとする動きは見られるが、大型ニーズの潜在化が鮮明になってきている。

賃料水準見直しが加速

一方で、オーナー側の動向を見ると、マーケットの品薄感を背景に、賃料水準を見直す動きが増加している。新規契約の成約賃料水準は、引き続き上昇基調であり、以前と比較すると、フリーレントも少なくなってきている。大型ハイグレードビルについては、リーマンショック以降に入居した現行賃料水準の低いテナントに対し、増額改定交渉をスタートさせたオーナーも増えてきた。この動きに追随するように、中規模ビルでも高稼働のビルについては、空室消化による収益の増加がこれ以上は見込みにくいことから、増額改定を検討し始めているオーナーも出てきている。

今後のオフィスビルの新規供給を見ると、2016年には供給がなく、2017年前半の「(仮称)札幌駅前通共同ビル」までは供給がない状況である。現在でも需給バランスは非常にタイトであるが、今後1年以上、さらに逼迫した状況が継続することが予想される。移転や新規開設を検討するテナントは、これまで以上に素早い判断が求められるだろう。一方で、オーナー側に対しては、この好調な市況を追い風にして、潜在化している大型面積ニーズを受け入れるべく、建て替えや開発等の取り組みの具体化に期待したい。

札幌支店 金子拓史

相場表

種別 賃料(共益費込) 需給の動向 空室率
推移
札幌中心部 11,000~14,000 円/坪 テナント需要は依然旺盛であるものの、大型空室が非常に少ないため、空室率の低下ペースは緩やかになってきている。 やや低下
地下鉄西11丁目 8,000~9,000 円/坪 一部のビルで大型空室の消化が見られたが、中心部ほど需要に勢いがないため、エリア全体としての動きには至っていない。 やや低下
創成川東 8,000~9,000 円/坪 小規模面積の動きが見られたが、大型空室が非常に少ないため、エリア全体としての動きは停滞してきている。 やや低下
札幌駅北口 10,000~13,000 円/坪 空室の品薄状態が続いており、マーケットの動きが少々緩やかになってきている。高稼働を維持しているビルも多く見受けられる。 横ばい
琴似 7,000~8,000 円/坪 新規需要は少なく、マーケットとして大きな動きは見られない。 やや低下
白石 7,000~8,000 円/坪 新規需要は少なく、マーケットとして大きな動きは見られない。 やや上昇
倉庫・配送センター
既存
2,000~3,000 円/坪 大型物件の需要は増加傾向も、供給不足の状況が続いている。 横ばい
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2015年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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