空室率は過去最低を更新、0.8%に。賃料引き上げの動きが増加。
規模を問わず空室が不足
シービーアールイー(株)の調査による2016年12月期の札幌市中心部の空室率は、対前期(同年9月期)比0.3ポイント低下し、0.8%となった。他都市との比較でも際立った空室率の低さを示していた同市であるが、遂に1%を切る水準に達し、テナントサイドから見ると、オフィス床を確保することが非常に難しいエリアとなっている。
テナント需要としては、業務拡大に伴う拡張移転、コールセンターを中心としたアウトソーシング系企業によるエリア内増床等の大型需要があり、今期もいくつか成約が見られた。しかし、現状では、これらの受け皿となる空室がほとんどないため、需要が潜在化する動きが見られるとともに、テナントは2018年以降の開発予定ビルをターゲットとして検討を始めている。
中小規模の需要としては、エリア内移転とともに、新規開設も多い。しかし空室の全体量は決して多くないため、一つの空室に複数企業のニーズが重なるケースも見られるようになった。テナントサイドは、よりスピーディーに判断をしなければ、物件を確保することが難しい状況である。
一方のオーナーサイドでは、エリア全体の空室率の低さと、所有ビルの高稼働を背景に、ランドマークビルのみならず、中規模ビルでも新規成約賃料を引き上げる動きが多く見られた。また、入居テナントに対しても、再契約や更新時に増額改定を打診するケースが増加している。テナントとしても、移転先がなく、仮に移転するとしたら結果としてコスト増になる可能性が高いことから、オーナーとの協議に応じるケースが多い。札幌では、当面は貸し手優位のマーケットが続くものと予想される。
新築ビルは満室稼働
2017年1月に竣工した「札幌フコク生命越山ビル」は満室稼働となり、その二次空室も、すでに一部は館内増床を含め内定してきている。次の新規供給は、2018年3月竣工予定の「札幌創世1.1.1区北1西1地区第一種再開発事業(施設名称:さっぽろ創世スクエア)」であるが、ワンフロア約400坪の大型面積ということもあり、すでに多くの企業から引き合いが見られる。需給が逼迫している今こそ、さらなる建て替えや再開発の動きが出てくることに期待したい。
札幌支店 金子 拓史
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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札幌中心部 | 13,000~16,000 円/坪 |
大型空室がほとんどなく、中小規模の空室消化が多く見られた。テナント需要は変わらず多いが、受け皿がない状況が継続している。
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地下鉄西11丁目 | 9,000~11,000 円/坪 |
中小規模の空室で動きがあったものの、エリア全体としては堅調に推移しており、中心部からの需要流入も見られるようになってきている。
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創成川東 | 9,000~10,000 円/坪 |
中小規模の空室で動きがあったものの、エリア全体としては堅調に推移しており、中心部からの需要流入も見られるようになってきている。
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札幌駅北口 | 12,000~15,000 円/坪 |
大型空室がなく、中小規模の空室消化がいくつか見られ、空室率を引き下げる要因に。中心部同様、受け皿がない状況が継続している。
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琴似 | 7,000~8,000 円/坪 | 一部のビルで空室消化が見られたものの、エリア全体としては新規需要は少ない。 | |
白石 | 7,000~8,000 円/坪 | 一部のビルが入居可能日を変更したため空室率に変動が見られたが、全体としては新規需要は少なく、大きな動きは見られない。 | |
倉庫・配送センター 既存 |
2,000~3,000 円/坪 | 大型物件に対する需要は堅調だが、汎用性のある物件供給が限定的な状況が続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。