空室率は再び低下。秋竣工の新築ビルに高まる需要。
注目される広島駅周辺開発
当社調査による、広島市内中心部の2017年3月期の空室率は3.0%で、対前期(2016年12月期)比0.3ポイントの低下となった。これは、2016年6月期の過去最低水準に次ぐ、低い水準である。
条件交渉において、交渉幅の縮小やフリーレントの確保が少なくなるなど、貸し手市場の傾向が続いている。テナント需要としては、引き続き立地改善やビルグレード向上といった前向きな移転が多い。
今年11月末には、八丁堀に最新の設備を備えた「スタートラム広島」が竣工予定である。多くの引き合いが集まっており、注目度が高まっている。
一方、広島駅周辺では再開発事業が進んでいる。2016年8月、広島駅南口にビックカメラを核テナントとする「ビッグフロント広島」が竣工。今年4月には、エディオン蔦谷家電を核テナントとする「エキシティ・ヒロシマ」も竣工した。広島初出店のテナントも多く、注目を集めている。
また広島駅では、新幹線口と南口を構内でつなぐ自由通路が5月末に開通。10月には、テナントのオープンを含めた全面開業を予定しており、利便性の向上が期待される。広島駅北口では、2018年秋に広島テレビが移転予定。その西隣には、2019年春、商業施設・オフィス・ホテルで構成される「広島二葉の里プロジェクト」が竣工する。今後も、広島駅周辺の開発は注目である。
空室消化が続く岡山
今期の岡山では、年度替わりということもあり、多くのテナントの動きが見られた。特に、「市役所筋」では、新規開設や立地改善移転、増床等、幅広い動きがあった。「桃太郎大通り」では、「市役所筋」で物件の確保ができない需要を取り込んだ。また、駅前・築浅で賃料水準が高く、空室が長期化していた物件でもテナントが決定。ランドマークビルでは、解約予告期間中に次のテナントが決まるなど、ハイグレードビルにおける空室消化の傾向が見受けられた。
岡山では新築ビルの計画がないため、今後、空室を確保することはさらに困難になる。大手企業では、支店クラスの規模でも、フリーアドレス導入により貸室スパンを減少させ、コストを削減した企業があった。増床ができないため、今後は働くスペースや働き方を見直さざるを得ない企業が出てくると考えられる。
広島支店 柴﨑 雅史・越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 9,000~11,000 円/坪 |
中小規模の需要が多い。空室、ビル内駐車場ともに少ない状況。
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広島駅南 | 9,500~12,000 円/坪 | 新築ビルが1棟竣工するも、引き続き空室が少ない状況。 | |
八丁堀・紙屋町 | 10,000~13,000 円/坪 |
館内増床等前向きな移転の話が多く、賃料も上昇傾向。
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大手町 | 9,000~12,000 円/坪 |
平和大通り沿いの物件も、空室を消化しつつある状態。
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岡山桃太郎大通り | 8,500~12,000 円/坪 |
市役所筋で物件が確保できず、需要が流入してきている。空室は穏やかに消化傾向。
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岡山市役所筋 | 9,000~13,000 円/坪 |
岡山駅前から市役所に近いエリアまで、ほとんど空室が消化され、選択肢は少ない。
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広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,400 円/坪 |
小型倉庫や事務所兼倉庫の供給が激減している。物件が少なく移動がないため、二次空室も見込めない。
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広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 |
延床面積約15,000坪の新築倉庫が3月に竣工。最小区画が約2,000坪で、統合や大型移転にテナントの引き合いがある。
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岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,500 円/坪 |
大型既存物件の空室は消化傾向。さらに、建築中・予定案件にも引き合いが多い。既存物件の空室は発生しない状況にある。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。