大型ビル竣工の影響により、空室率は3%台へ上昇。
広島駅周辺の活性化に期待
シービーアールイー(株)の調査によると、2019年3月期の広島市内中心部の空室率は3.2%となり、対前期(2018年12月期)比0.9ポイントの上昇となった。
空室率上昇の主な要因としては、今年3月末の「GRANODE(グラノード)広島」の竣工が挙げられる。しかし、広島駅周辺での大型ビルの新築は、2010年8月に竣工した「アクティブインターシティ広島」以来となり、昨今の人員増による事務所の拡張や、ビルグレードの向上を求めるテナントからの注目度は高い。低層階には、飲食店・ドラッグストアのほか、貸会議室・レンタルオフィス・レンタカー・保育所・検診センター・高速バスターミナル等、テナントの利便性の向上につながる施設が入居し、高層階には「ダイワロイネットホテル広島駅前」が開業した。
現在、広島駅周辺では、多くの開発が進んでいる。2017年10月に、広島駅の南北自由通路が開通し、その後、広島駅構内にショッピングセンター「ekie(エキエ)」が順次開業している(現在、第3期まで開業済で全面オープンは2019年夏以降を予定)。また、広島駅ビルの建替計画が発表され、商業店舗・シネマコンプレックス・ホテルが入居し、路面電車が2階に乗り入れる新駅ビルが、2025年春に開業予定となっている。広島駅周辺のさらなる活性化に期待が高まる。
動きの少ない岡山マーケット
岡山の今期の空室率は、横ばいとなった。中小企業の新規開設で、20坪前後の空室が消化される一方、大手企業の営業所等が撤退。
解約予告期間中に、次テナントが決定するケースもあった。しかし、全体としては、移転・新規開設、撤退縮小した企業数は少なく、面積帯も小型だったため、市況は緩慢だった。立地改善や老朽化した自社ビルからの移転を検討する大型面積需要は、受け皿になるビルがなく、潜在化したままである。また、大型空室を保有するビルでも、同様に動きはなかった。
岡山では、旧「ドレミの街」がリニューアルし、「イコットニコット」がオープンした。桃太郎大通り沿いの商業・ホテルの複合施 設で、窓がなく、オフィスフロアもないが、学習塾や資格取得教室、エステ等、立地・集客力を重視するテナントが顔をそろえた。オフィスビルに選択肢がない、現在の市況を反映したと言えるだろう。
広島支店 柴﨑 雅史 / 越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 11,000円~13,000円/坪 | 引き続き空室はなく高稼働の物件が多い。新築ビルが竣工し、エリアとしての注目度も高い。 | |
広島駅南 |
11,000円~14,000円/坪 |
空室変動はほとんどなく、引き続き物件確保は難しい状態。 | |
八丁堀・紙屋町 | 11,000円~16,000円/坪 | 高グレードビルの空室はほとんどない状態。成約賃料も上昇傾向。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 一時期に比べると空室が少なくなり、賃料交渉幅は小さくなっているが、上記エリアよりは割安感があるためニーズは増加傾向。 | |
岡山桃太郎大通り | 9,500円~12,000円/坪 | 主要ビルはほぼ満室で、動きがなくなっている。大型空室を抱えたビルは、空室消化に向けた決定力がない状況。 | |
岡山市役所筋 | 10,000円~13,000円/坪 | 上位クラスのビルは、解約予告期間中に数社の入居希望が重なるなどしたが、全体として動きは少なかった。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | 建築中や建築案件の話が聞こえるようになってきた。以前は高額とされていた賃料相場が妥当との判断になりつつある。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,200円~4,000円/坪 | 新築案件、計画物件については市内の賃料相場との乖離が小さくなってきている。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500円~3,500円/坪 | 需要は引き続き横ばい。供給は一時期に比べると減少傾向にある。空室予定の物件は館内での増床が見られ、一般募集前に貸し止めになるケースが増加。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。