需要は底堅く、空室率は再び低下。大型空室の確保が困難に。
前向きな動きが依然活発
シービーアールイー(株)の調査によると、2016年12月期の仙台市の平均空室率は、前期(同年9月期)から0.8ポイント低下して6.1%となった。前期は、リニューアル工事完成後にテナント募集を再開した物件が出たために、空室率は2015年12月期以来の上昇となったが、今期は従前の予想通り、再び低下に転じた。
テナント需要は堅調であり、面積拡張や立地改善、新規出店等、前向きな動きが多く、底堅い。いくつかの物件では撤退や移転による空室が確認されたものの、それ以上の空室消化が進み、引き続き、マーケット全体としては好調を維持している。
特に、「仙台駅東口」エリアで大型空室が消化されたことが、今期の空室率低下の大きな要因となっている。今後も、大型空室の確保がタイトになるものと予想されるため、テナントサイドには、素早い判断や意思決定が引き続き必要となるだろう。
オーナーサイドの動向としては、引き続き、ニーズの多い優良なビルが高稼働しており、新規募集賃料を高めに設定するビルや、継続賃料の増額改定等が散見される。このような流れが、市内の賃料相場を押し上げる要因の一つになっている。
待たれる開発案件
「仙台駅西口」エリアの青葉通沿いでは、2014年以来の供給となる新築ビルが、今年4月に竣工を予定している。すでに大方の区画は決定しているものの、新規供給に伴う二次空室の発生等、今後のマーケットへの影響も注目される。このような再開発が、さらにマーケットを刺激し活性化を促すものと予想されることから、その動向が注目される。
2015年から16年にかけて、地下鉄東西線の開通や、JR仙台駅東西通路の整備、周辺商業施設のオープン等が話題となった。中心市街地全体のさらなる賑わいと、新たな開発案件にも期待したいところである。
仙台市以外の東北主要都市については、安定したオフィス市況が続いている。引き続き、一定数の移転や新規需要の動きが見られるため、希少性の高い大型空室や新規供給等があれば、各都市のマーケットの動きは一層加速するものと予想される。
仙台支店 相原 健二
- 現在募集中の仙台市の賃貸オフィス
- 現在募集中の郡山市の賃貸オフィス
- 現在募集中の盛岡市の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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仙台市中心部 | 13,000~16,000 円/坪 |
大型空室の消化があり、9月期より大幅な空室率低下となった。仙台駅周辺もしくは築浅物件を中心に、高稼働の物件が多い。拡張や立地改善等前向きな動機の移転が続いており、空室消化に伴い、築浅物件を中心に賃料目線も上がっている。
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郡山市 | 9,000~13,000 円/坪 |
引き続き空室は枯渇しているものの、テナントの新設・移転は散見されており、継続して潜在的なニーズがあるものと予想される。
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盛岡市 | 9,000~11,000 円/坪 |
引き続き主要ビルに空室は少なく、大型面積の空室はより希少性を増している。特に、盛岡駅周辺の物件に空室が少ない。
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倉庫・配送センター 注文建築 |
3,500~4,500 円/坪 |
二次空室(予定)の消化は順調に完了し、昨年末には大型空室へも入居企業が決定した。空室情報の枯渇が深刻化してきている状況もあり、今年春竣工予定の大型マルチ物件への期待がより強まっている。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。