グレードA空室率は上昇傾向。高額かつ大型の引き合いは限定的。
中・低価格帯のニーズは堅調
シービーアールイー(株)の調査によると、2022年6月期の大阪グレードAの空室率は4.3%と、対前期(同年3月期)比0.5ポイント上昇した。今期の空室率上昇は、「梅田」エリアで空室を20%程度残し竣工を迎えた、オフィス貸室有効面積約27,500坪の大型ビル「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」の影響が引き続き大きい。
グレードBの空室率は3.6%で前期から横ばい。オールグレードの空室率は3.8%で、対前期比0.1ポイントの上昇となった。前期同様「新大阪」エリアで、1棟の大型ビルと3棟の中規模ビルが、空室を多く残したまま竣工した影響も大きい。一方で、グレードBを中心とした既存ビルは、引き合い・成約ともに横ばい傾向が見られる。主に、1万円台半ば/坪以下の価格帯のビルに引き合いが多い。グレードBのエリア別空室率を見ると、「中之島」「本町」エリアで空室率はやや低下、「梅田」「堂島」「淀屋橋」「新大阪」エリアではやや上昇となった。全体的には横ばいとなり、中・低価格帯では、堅調な需要があることが見て取れる。他方、高額価格帯かつ大規模面積の引き合いは引き続き限定的で、テナントが未決定のまま、現状空室となった大型ビルも多い状況に変わりはない。
今後数年の大量供給
今後、2023年に約1万坪強、 2024年には、「梅田」エリアを中心に、過去最大となる約8万坪、 2025年には約3万坪と、大量の新規供給が予定されている。
前述の通り、中・低価格帯のビルには、比較的堅調な需要があるものの、高額価格帯がほとんどである新築物件への引き合いは限定的であり、空室の消化については、不安感が拭えない状況である。実際、昨年竣工したビルの空室も、いまだに多く残っている。
一方で、ここ数年のコロナ禍の影響で、各企業が、オフィス移転の検討を一時保留する傾向があった。しかし、徐々に、一時保留から移転検討を進めるフェーズに、変化している状況も見受けられる。オフィス市場を取り巻く様々な要因がある中、企業として、オフィスの意義を本格的に見直し、ビルグレードの向上、立地改善、リクルート対策などを考慮して、オフィス移転を実行する企業が増えると思われる。
関西支社 山口 高志
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