企業は依然マイナスの動きが主流。市内全エリアで空室在庫が増加。
新大阪の空室率大幅上昇
シービーアールイー(株)の調査による、2021年6月期の大阪グレ ードAの空室率は1.7%と、前期(同年3月期)より0.2ポイント上昇した。大阪グレードBの空室率は、前期より0.4ポイント上昇し、 2.1%となった。
オールグレードの空室率をエリア別で見ると、「梅田」エリアは対前期比0.2ポイント上昇し1.8%。「新大阪」エリアは、対前期比1.3ポイント上昇の3.8%となり、他の大阪市内のオフィスエリアと比べ、変動幅が大きく、空室率は上昇傾向にある。
全体として前年同期(2020年6月期)と比べると、大阪オフィスマーケットの主要6エリアすべてで、空室在庫が増える傾向が続いている。空室率は、引き続き低水準ではあるが、前期と同様、長期化するコロナ禍が、企業のオフ ィス移転・新規開設などの経営判断に、継続的に影響を及ぼしている。テナントの動きは、コスト削減を目的とした賃借面積の見直しや拠点集約などが、依然として主流となっている。
一方で、空室率の上昇に伴い、好調な業績を背景に、館内増床による借り増しや移転をした事例も見受けられる。旧耐震基準のビルから、新耐震基準に準拠したビルへの移転を検討する企業もあり、立地改善と併せ、ビルグレードのアップによる、BCP対応可能なビルへのニーズは、今期確認された事例である。
ワークプレイス戦略の再構築
新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言の発出、ワクチン接種の遅延や変異型ウイルスへの警戒感を背景に、大阪のオフィスマーケットは、空室が徐々に増加している。昨年下半期以降に解約予告が出された区画の空室の長期化リスクも顕在化し、新規テナントの取り込みに対する柔軟性や、既存テナントの流出防止も課題となっている。ビルオーナー、テナント双方のオフィス環境整備や働き方の多様性を前提とした、ワークプレイス戦略の再構築は、今後も同様のトレンドが継続すると予想される。
今後に控える「梅田」「新大阪」エリアの新規供給は、新たなワークプレイス構築の実施の受け皿として、テナントサイドへアピールする機会が多くなることが、大いに期待される。
関西支社 三島 玄吉
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