テナントニーズは100坪未満が中心。グレードAの賃料相場が大幅に下落。
大型移転の決定スピードが鈍化
シービーアールイー(株)の調査によると、名古屋における2021年6月期のオールグレード空室率は、対前期(同年3月期)比0.5ポイント上昇し、2.8%となった。空室率上昇の要因は、解約予告が出された区画で後継テナントが決まらず、空室が顕在化したためと思われる。これらの空室には、リモートワーク導入により、減床となった区画も含まれている。
一方で、自社ビル売却や建て替えに伴う移転により、まとまった空室が消化された事例が見られた。ただし、テナントニーズは100坪未満が中心で、大型ニーズは限定的である。
ビルのグレードアップや立地改善、オフィス集約などの移転ニーズはあるものの、最適なオフィス面積の再検討などにより、移転の決定までに時間を要するケースが多い。このため、まだしばらくは、空室率の上昇基調が続く可能性が高いと考えられる。
今期のグレードA賃料は、対前期比1.4%下落の27,500円/坪となった。四半期で1%以上の下落は7年ぶりとなる。まとまった空室を抱えるビルを中心に、募集賃料を引き下げる動きが見られた。
今年末までに、名古屋で3棟のオフィスビルの供給が予定されている。立地改善やオフィス集約のニーズを取り込み、成約に至るケ ースが散見される。大型ビルでは、グループ集約の移転案件がある一方、グレードB以下の物件については、テナント誘致で苦戦を強いられている。オフィス自体の再定義を行うテナント企業が増加していることから、今後も、大型の移転案件については、決定に時間を要する傾向が見られるだろう。
一方、小型の新規出店や分室案件などの動きは、徐々に活発化してきており、空室率の低下に、わずかではあるが寄与している。
全エリアで空室率上昇
名古屋市内の今期のエリア別空室率を見てみると、「名駅」エリアは、対前期比1.1ポイント上昇し4.1%、「伏見・丸の内」エリアは、対前期比0.2ポイント上昇し2.0 %、「栄」エリアは、対前期比0.2ポイント上昇し2.2%、「名古屋東」エリアは、対前期比0.1ポイント上昇し1.4%と、全エリアで空室率が上昇した。景気後退局面で、賃料相場の高い「名駅」エリアにおいて、特に館内減床や名古屋拠点の撤退などの解約案件が増加していると推測される。今後の景気回復局面における、各企業のオフィス戦略が注目される。
名古屋支店 近藤 実
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