成約賃料の上昇が続くも、 マーケットの動きは以前より鈍化。
空室率はやや上昇
シービーアールイー(株)の調査による、2020年6月期の福岡主要オフィスゾーンの空室率は、前期(同年3月期)から0.2ポイント上昇の0.6%となった。今年竣工の新築ビルに移転を予定している企業の解約に加え、昨今世界的に猛威をふるっている新型コロナウイルスの影響による解約が、マーケットで動きを見せ始めている。
ただ、依然として、立ち退き需要はもちろん、拡張移転や新規開設等の需要も見られる。大小の規模を問わず、空室に対して引き合いが発生している状況に変わりはないが、とりわけ“三密”を避けるような拡張分室の動きが目立っている。
想定成約賃料は、上昇率が前期より落ちているものの、0.5%上昇し、16,530円/坪(共益費込)となった。引き続き、博多・天神エリアを中心に、想定成約賃料の低下は見られず、福岡市全体で賃料上昇の動きが続いている。
しかし、新型コロナウイルスの影響により、マーケットの動きは以前より鈍化している。テナント企業は、これまで以上に慎重に、移転や開設を検討している様子がうかがえる。そのため、ビルによっては、空室状態が以前より長期 化する状況になりつつある。また、これまで以上に、換気機能等のビル設備に注目するテナントが増加。ビルのスペックも、すでにテナントが検討する際の重要項目の一つとなっている。
今後の新規供給
新築物件については、今年6月に竣工した「大名センタービル」は、基準階満室の状態で竣工。空室として募集した貸室は、20,000円/坪以上で成約し、テナント需要の高さが見られた。1年後には、「(仮称)天神ビジネスセンター」が竣工を予定している。また、今年6月には、西日本シティ銀行本店の建替計画が着工した。今後も、「天神ビッグバン」をはじめ、「博多コネクティッド」等、大規模再開発計画が、着々と進んでいる。
前述したように、福岡のオフィスマーケットは、現時点では新型コロナウイルスの影響による大きな変動は見られない。しかしながら、企業の働き方や将来的な考え方は変化を見せ始めている。今後はマーケットにそれらを反映した 動きがでてくることが予想されるため、注視していく必要があるだろう。
福岡支店 湯本 佳弘
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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博多駅前 | 17,000円~21,000円/坪 | 既存ビルに一部解約が発生するも、変わらず空室率は低く、引き続き賃料上昇傾向。ただし、上がり幅は鈍化。 | |
博多駅東 | 15,000円~17,000円/坪 | 既存ビルに一部解約が発生するも、博多駅前エリアに比べて値ごろ感もあり、空室率は依然低く、賃料は横ばい。 | |
呉服町 | 15,000円~17,000円/坪 | 既存ビルに一部解約が発生するも、空室率は依然低く、賃料は横ばい。 | |
天神 | 19,000円~22,000円/坪 | 立ち退きテナントによる需要が引き続き堅調。空室率も継続して低水準。賃料も上昇傾向にあるが、上がり幅は鈍化。 | |
赤坂大名 | 14,000円~16,000円/坪 | 既存ビルに一部解約が発生するも、空室率は依然低く、賃料は横ばい。 | |
北九州小倉 | 9,000円~11,000円/坪 | テナント動向は停滞。賃料についても横ばい。 | |
中・大型倉庫 市内 |
2,800円~3,200円/坪 | 大型倉庫は変わらず満床。2021 年の供給が待たれる。コロナ禍においてもニーズは堅調。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。