新築ビルの竣工により空室率が上昇。
需要は底堅く、賃料は高水準で推移。
100坪超の空室不足が継続
2023年3月期の仙台市内の空室率は3.2%と、前期(2022年12月期)より0.8ポイント上昇した。上昇の要因は、新築ビルの竣工によるものであるが、マーケ ット全体としては、引き続き、 100坪を超える空室は少なく、館内増床の動きが活発である。働き方改革や採用強化といった理由から、駅前など立地条件のよい物件や、ランドマークビルへの移転のほか、耐震不安などBCPの観点からの移転、立ち退き需要とい った様々な理由から、テナントの動きが見られる。また、IT系企業や、コロナ禍では、積極的な出店攻勢ができなかった業態が、コロナ収束を見据え、新規出店やマーケットの拡大を図る動きも、見られるようになってきた。
一方、コロナ禍においても、テナント需要が堅調であったため、賃料水準は下落することなく、高水準で推移した。2007~2010年頃までの新築ビルの大量供給と、リーマンショックという、二重の影響により、賃料が大きく下落した時期に、格安の賃料で入居した企業は、自らの入居賃料と現在のマーケット水準との乖離に直面している。賃料を重視した物件選定を行う場合、選択肢が限られ、手頃な物件が出てくるのを待つしかない状況である。そのため、一部の企業では、コストダウンを必須条件としている場合、郊外物件への移転を決断するケースも出始めている。
今後2年間で新築ビル8棟供給
2023~2024年の2年間には、新築ビル8棟の供給が予定されている。前述のとおり、テナントの需要は底堅いため、これらの新築ビルが需要を取り込んでいくことが予想される。一方で、新築ビルの賃料と現状の入居賃料との乖離が大きい企業が多い中、どれだけの企業が、実際に新築ビルを検討できるのかという懸念はある。新築ビルが、好調にリースアップされていけば、賃料水準の底上げとなるが、逆に、リースアップに手間取れば、賃料水準が引き下がっていくことが予想されるため、これら新築ビルの動向が注目されている。
また、複数の老朽化したビルの建替計画が徐々に見え始めており、「せんだい都心再構築プロジ ェクト」の効果が表れ始めていると言える。再開発によるマーケットの盛り上がりから、さらなる開発へ連鎖し、ますます魅力的な都市へと変貌することが期待される。
仙台支店 後藤 拓己
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