新築ビルの空室消化スピードが鈍化。新規空室の発生も増加傾向にある。
グレードB空室率5%台に上昇
シービーアールイー(株)の調査による、2022年3月期の名古屋オールグレードの空室率は、前期(2021年12月期)から変わらず、4.6%であった。マーケットでは、新築ビルが空室を抱えたまま竣工したほか、部分解約などで空室が発生した。一方、「栄」エリアで今期竣工した物件は、ほぼ満床の状態で竣工し、さらに、まとまった空室消化が見られたため、空室率は横ばいという結果となった。
引き続きマーケットに空室は多い状況で、移転を検討しているテナントの選択肢が増えてきている。「名駅」エリアでは、大型の空室を抱える物件が、まだ複数あるのが実情である。来期以降に予定されている新規供給のリーシングの進捗も鈍く、今後も空室率は上昇していくだろう。
グレード別に見ると、今期の名古屋グレードAの想定成約賃料は、対前期比-0.4%の27,050円/坪。空室率は、対前期比0.1ポイント低下し、3.8%となった。グレードBは、前期から変わらず14,350円/坪。空室率は、対前期比0.2ポイント上昇し、5.1 %となった。
エリア別のオールグレードの空室率を見ると、「名駅」エリアの空室率は、対前期比0.3ポイント上昇の5.9%、「伏見・丸の内」エリアの空室率は、同0.1ポイント上昇の5.2%、「栄」エリアの空室率は、同0.4ポイント低下の2.6%、「名古屋東」エリアの空室率は、同0.2ポイント低下の1.5%となった。
「名古屋東」エリアの取り壊し予定の物件から、「栄」エリアの物件へ移転を決めた企業があり、「栄」エリアの空室率は低下した。対して「名駅」「伏見・丸の内」エリアでは、ビルグレード、面積帯を問わず、新規の空室が増加している。その反面、需要は限定的であるため、両エリアでは空室率が上昇している。
100坪超の移転が徐々に増加
新築ビルの空室消化が鈍化し、既存ビルの部分解約で、「名駅」「伏見・丸の内」エリアでは、前述のとおり空室が増えているが、一方で、前期に続き、100坪を超える移転が徐々に増えてきている。また、オフィスの総面積を減らしつつも、立地改善やグレードアップを図る集約移転なども散見された。テナントとしては、昨今の需給緩和で、選択肢の幅や諸条件も変化していくマーケットを、注視していく必要があるだろう。
名古屋支店 立松 誠二
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