オールグレード空室率は過去最低値の2.0%。 二次空室確保の競争も熾烈に。
グレードA·B共に空室率1%台
シービーアールイー㈱の調査による、2018年3月期の名古屋オールグレードの空室率は、対前期(2017年12月期)比0.6ポイント低下して2.0%となった。
グレードAの空室率は、オールグレードと同じく、対前期比0.6ポイント低下の1.7%となり、新築のグレードAビルの稼働状況も好調である。「伏見」エリアで竣工したグレードAビルについても、建て替えを理由とした移転企業により満室稼働し、空室率の低下を後押しした格好と言える。また、グレードAビルの入居企業による館内増床ニーズも多く、今後グレードAビルの空室確保競争は激化していくことが考えられる。また、グレードBビルの今期の空室率も、対前期比0.7ポイント低下の1.8%と低水準である。
今年も、業容拡大や働き方改革を背景に、増床や新規開設の需要が増加しており、二次空室をめぐる競争は加速している。新規供給は当面予定がなく、需給が逼迫している。オーナー側による、募集賃料の見直しや入居テナントへの賃料増額交渉の動きが増加する背景には、このような状況があると推測される。テナントが二次空室確保の競争に勝つためには、不動産市況を念頭に置いた事業戦略の構築が必要となるだろう。
名駅は実質空室なし
エリア別の動向を見ると、「名駅」エリアの今期の空室率は、対前期比0.7ポイント低下して1.5%となった。これは、実質的には空室がないと判断してもよい水準である。リニア中央新幹線工事に伴う立ち退き移転が具体化している中で、名駅にこだわった移転の検討は、難易度が非常に高いと考えてよい。二次空室への引き合いも活発で、貸室内を内覧せずに成約する事例も散見されている。
「伏見・丸の内」エリアの今期の空室率は1.5%、「栄」エリアは2.3%となり、いずれも対前期比でマイナスとなった。「名古屋東」エリアは5.3%とやや上昇したが、成約賃料は上昇傾向にある。
今後も、空室率の低下が予測される一方で、リーマンショック以降、割安な賃料で入居したテナントにとっては、賃料の増額交渉が行われる機会が増えてくると思われる。市場動向に注視し、情勢を綿密に分析することが必要となってくるだろう。
名古屋支店 稲垣 豪
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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名駅 | 16,000円~31,000円/坪 | 築浅大型ビルの空室は極めて少ない状況。立地改善移転を中心に需要が集中。 | |
名駅西 | 12,000円~15,000円/坪 | 土日入館可能な物件への需要は強いが、対象物件は少ない。駅東側からの需要の滲み出しも増加傾向。 | |
伏見 | 10,500円~15,500円/坪 | 築浅物件だけではなく、マーケット全体で空室が減少。 | |
栄 | 11,000円~16,000円/坪 | 新築物件の供給がなく、大型面積の確保は厳しい状況になりつつある。駐車場は比較的確保しやすい。 | |
丸の内 | 10,000円~15,000円/坪 | 大通り沿いの築浅物件はほぼ満室。成約賃料の上昇が予想される。 | |
周辺都市(岐阜) | 8,000~10,000円/坪 | 駅近の物件は空室が少ない状況である。駅から少々距離のある物件は、空室を長期間抱えている。 | |
周辺都市(三河) | 9,500円~12,500円/坪 | 刈谷駅エリアの新規供給物件は、順調に成約。三河安城駅エリアの新規供給物件も、刈谷駅エリアの代替地として、順調に需要を吸収。需要は引き続き好調である。 | |
周辺都市(三重) | 8,000円~11,000円/坪 | 近鉄四日市駅周辺は新規出店、増床により空室が希少に。津駅周辺と合わせ、両エリア共に新規供給の予定はなく、駅近、築浅物件の空室消化が顕著。 | |
周辺都市(静岡) | 8,500円~11,500円/坪 | 静岡市内数ヶ所に再開発が計画されており、静岡呉服町再開発ビル「札の辻クロス」が10月オープン予定である。 | |
倉庫・配送センター | 2,800円~3,800円/坪 | 引き続き、尾張・名古屋港・三河の主要エリアへの需要は多いが、空室情報が少ない。そのため、新築案件に竣工前の引き合いが多くなっている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。