空室率はさらに低下し0.4%に。賃料相場は引き続き上昇。
今期も空室率は最低値を更新
シービーアールイー(株)の調査による、2018年3月期の福岡主要オフィスゾーンの空室率は、対前期(2017年12月期)比0.1ポイント低下し0.4%となった。前期から引き続き、増床、建て替えに伴う立ち退き、IT企業を中心とした福岡への新規開設、自社物件からの移転等、二次空室の発生しない純増のオフィス需要が活況である。特に、再開発の検討による物件の動きが増えており、今後、立ち退きによる移転が増加するものと予測される。
福岡市の想定成約賃料は、前期の13,270円/坪(共益費込)から2.4%上昇し、13,590円/坪となった。成約賃料は、まだ高止まりは感じられず、今後も上昇が続いていくと推測される。また、天神のランドマークビルの相場は、リーマンショック以前の賃料水準に戻しつつあり、エリア内では最高値23,000円/坪 で新規募集を行っている。他にも、空室を外部に出さず、館内増床を検討するテナントを対象に入札を行いテナントを決定をするなど、異例のマーケットとなっている。
新築ビルに需要が殺到
再開発の動向については、「紙与博多中央ビル」が今年4月に満室で竣工。その後は、「博多祇園NKビル」「(仮称)冷泉町ビル」と続くが、両ビルともに検討テナントが殺到しており、満室竣工になることは間違いなさそうである。今後も新築予定のビルが控えているが、いずれも、すでに複数のテナントが検討しており、一般公募する前に内定するケースが出てくると考えられる。
福岡市が進める再開発事業「天神ビッグバン」の新たな動きとしては、今年3月に優先交渉事業者が決定された「旧大名小学校跡地活用事業」が今後の大きな目玉となる。3グループからの提案の中、積水ハウス㈱を代表とするグループが優先交渉権を得た。2022年12月頃の竣工を予定し、公民館や消防分団を含む公共施設、ワンフロア約756坪のオフィス、九州初出店となる5つ星ホテルの「ザ・リッツカールトン」、その他保育施設やコワーキングスペース等の民間施設が入居する予定だ。当プロジェクトに掲げる基本方針の通り、同事業グループがグローバル企業を呼び込み集積させることができれば、天神の西側の雰囲気が大きく変化するだろう。
福岡支店 午頭 涼輔
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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博多駅前 | 12,500円~15,500円/坪 | 既存ビルで潜在的な大型の空き予定はあるが、水面下の動きの中で高水準の賃料で決定している。その影響もあり、賃料上昇は続いている。 | |
博多駅東 | 10,500円~13,000円/坪 | 大型空室はないが、小規模な面積を中心に内定している。エリア全体の空室も減少。新規成約賃料は上昇傾向。 | |
呉服町 | 11,000円~13,500円/坪 | 福岡市全体の空室が逼迫している状況下、新築物件に対して募集条件での応募が殺到している。 | |
天神 | 13,500円~16,000円/坪 | 需要は引き続き旺盛であるが、博多同様、大型空室はほぼない。中小規模も中心部は極めて少ない。新規・継続賃料ともに上昇傾向にある。 | |
赤坂大名 | 10,000円~11,500円/坪 | マーケットが停滞しているエリア。新規供給もなく、賃料・空室率の推移は横ばいとなっている。 | |
北九州小倉 | 7,500円~10,000円/坪 | 大型テナントの需要は多少あるが、決定しているのは小規模な新規出店となっている。空室は微減、賃料は横ばい。 | |
中・大型倉庫 市内 |
2,700円~3,200円/坪 | 需要は堅調で、依然、中型物件を中心に品薄感が続く。賃料の下限はやや上昇の気配を見せている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 |