空室率は微増するも、2%台で推移。 前向きなニーズは引き続き堅調。
注目される広島駅北口再開発
シービーアールイー㈱の調査による広島市内中心部の2018年3月期の空室率は2.9%で、対前期(2017年12月期)比0.1ポイントの上昇となった。微増とはいえ、引き続き低水準で推移している。
昨年末に竣工した「スタートラム広島」は、竣工と同時にほぼ満室となったが、同ビルへ移転したテナントの影響で、市内中心部のビルに大型空室が発生した。しかし、旺盛なテナント需要により、空室率は微増にとどまっている。引き続き新規出店や拡張移転等、前向きなニーズが多く、優良な人材を確保するために、ビルのグレードアップや郊外から中心部、もしくは中心部からより駅前への好立地を求め、移転を検討する企業が増えてきている。
供給面では、広島駅北口に商業施設・オフィス・ホテルで構成される「(仮称)二葉の里プロジェクト」が、2019年春に竣工する予定である。ワンフロアの面積は広島市内最大級の約658坪を確保でき、立地やフロアが分散しているテナントからの注目度が高まっている。隣地には、今年秋に広島テレビ放送が完全移転する予定である(6月に同ビル内1~3階にコンベンションホールが先行完成予定)。将来的には、高速5号線が開通し、路面電車が「アッセ」2階に乗り入れるなど、広島駅周辺における、さらなる利便性の向上が期待される。
岡山の成約賃料は上昇傾向
岡山の空室率は、今期も緩やかに低下した。特に、新規開設需要を取り込んだ市役所筋のオフィスビルの空室が減少している。ただし、全体としては活発な動きではなく、これは拡張や郊外からの移転需要を取り込める物件が少なく、需要が潜在化・長期化しているためだと考えられる。
供給面では、自社ビルの一部賃貸や改修工事が終了し、来期以降、市場に出る物件があり、今後の動向が注目される。
成約賃料は、市役所筋の物件を中心に上昇傾向が続いている。桃太郎大通り周辺も、上昇幅は大きくないが確実に上がっている。数年前から、満室または満室に近いビルのオーナーやPM会社が継続賃料の交渉に着手していたが、この市況を受け、交渉を始めたビルの棟数は増加傾向にある。
また、市役所筋のビブレ跡の計画が動き始めたが、賃貸オフィスの供給については、今のところ聞こえてこない。
広島支店 柴﨑 雅史 越智 昭博
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種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 9,000円~12,000円/坪 | 中小規模の需要が多い。空室、ビル内駐車場とも不足気味。 | |
広島駅南 | 9,500円~12,500円/坪 | 需要が高く空室は減っており、賃料も上昇傾向。 | |
八丁堀・紙屋町 | 10,000円~14,000円/坪 | 新築ビルはほぼ満室状態。大型空室が発生したビルでも、埋め戻しには時間がかからない見込み。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 平和大通りから国道2号線の間は、大型空室を抱えるビルもあり、中心部と比べると比較的条件交渉の余地はある。 | |
岡山桃太郎大通り | 8,500円~12,000円/坪 | 空室が顕在化したビルもあれば、長期空室にテナントが決定したビルもあり、需給バランスは均衡している。 | |
岡山市役所筋 | 9,000円~13,000円/坪 | 新規開設の需要を、高止まり賃料で顕在化していた空室が取り込み、さらに空室は減少した。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | 慢性的に物件は不足しており、改善される様子はない。老朽化した物件では、使い勝手に難があるケースも多い。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,100円~4,000円/坪 | 300坪前後のニーズが多く、空室があればテナントの入居判断は早い。大型面積は判断に時間を要している感じ。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500円~3,500円/坪 | 物件が不足している状況が続いている。需要については落ち着いており、賃料相場も横ばいで推移している。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。