賃貸条件緩和による大型成約で、グレードA空室率が低下。
堂島の空室率が大幅上昇
シービーアールイー(株)の調査による、2022年12月期の大阪グレードA空室率は4.3%と、前期(同年9月期)より0.4ポイント低下した。以前から募集していた物件が、募集賃料を引き下げるなどして大型空室に成約があった。大阪グレードB空室率は、今期も3.2%と横ばいで推移している。
大阪オールグレード空室率を、エリア別に見ると、「梅田」エリアは、対前期比0.7ポイント低下し4.8%、「堂島」エリアは、対前期 比4.1ポイント上昇し6.8 %、「新大阪」エリアは、対前期比0.6ポイント低下し8.4%、「本町」エリアは、対前期比0.3ポイント低下し2.9%となった。「堂島」エリアでは、「東洋紡ビル」の大型空室が顕在化したため、空室率が大幅に上昇した。「淀屋橋」「本町」エリアではテナントの動きが活発化してきており、面積帯を問わず成約も増えてきている。竣工後、苦戦していた「淀屋橋PREX」「瓦町スクエア」といった、比較的ワンフロア面積が小さい物件も順調に成約数を伸ばし、おおむね満室が見えてくるまで空室を減らしている。また、昨年8月に「淀屋橋」エリアで竣工した「日本生命淀屋橋ビル」も、竣工時は8割程度の成約率だったが、12月時点で空室は残すところ約100坪程度となった。大阪では、竣工前にこれほど成約がある物件はあまり例を見ないが、竣工から約4ヶ月での満室稼働となった。
来年の梅田の大量供給が今後の鍵に
ただし、2024年には、大阪中心部で大型供給が続くため、空室率の上昇傾向は極めて強いと言える。特に、「梅田」エリアでは、「大阪駅新駅ビル」「梅田3丁目計画」「うめきた2期」といった新築ビルが、2024年に竣工を迎え、約6万坪超のオフィス床が供給されることになる。これらの物件は、オフィスビルの建て替えなどによるものではない開発案件のため、オフィス床が純増する形になる。これらの新規オフィス床に対して、どのように新規需要を喚起し、成約率を高めるかが、空室率の大幅上昇を抑え、今後の大阪オフィスマーケットを左右すると言える。
一方で、ウクライナ情勢や世界的なインフレといった、新たな外的要因を注視する必要もある。企業は引き続き、柔軟な対応を求められるだろう。
関西支社 藪田 俊貴
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