オールグレード空室率が3年ぶりに低下。グレードBへの底堅い需要が継続。
グレードA空室率も低下
シービーアールイー(株)の調査による、2022年12月期の名古屋市オールグレードの空室率は、 5.7%と、前期(同年9月期)から0.1ポイント低下した。今期も、オフィスの集約や使用面積の見直しを要因とする募集区画の発生は続いているが、グレードアップや立地改善を目的とする移転や、立ち退き移転による空室消化も見られ、空室率は低下している。
グレード別に見ると、グレードA空室率は、対前期比0.4ポイント下落し8.1%。想定成約賃料は、対前期比-1.1%の26,500円/坪となった。コロナ禍で動きが鈍くなった高額賃料帯のビルであるが、賃料調整を行うビルが増え、大型の引き合いがやや増加し、テナント誘致が促進された。
グレードB空室率は、対前期比0.1ポイント上昇し5.2%、想定成約賃料は、3期連続で14,300円/坪と横ばいとなった。今期は、 2022年度末を期限とする立ち退き移転案件により、空室を消化するビルが複数見られたほか、郊外から中心部への分室の開設、館内増床、賃料調整を行ったビルへの移転など、多様な移転理由の案件が確認された。反面、今期も拠点集約による大型募集区画が発生したことにより、空室率は上昇した。グレードB空室率は、2022年6月期に約2年ぶりに低下したが、その後また上昇に転じている。テナントのコスト意識は依然として高く、グレードや立地に照らして、賃料が割安な中型ビルの需要は高い。そのため、グレードBの需要は底堅く、同グレードのビルをターゲットとした移転ニーズが、引き続き確認できる。
エリア別の空室率で、今期最も動きがあったのは、対前期比0.8ポイント上昇した「栄」エリアである。拠点集約により発生した募集区画と、近隣で竣工した新築ビルへの移転によって発生した大型空室区画が、複数棟重なったことが上昇要因である。
大量供給の影響
今年の新規供給は、過去の年間平均よりも30%多い約2万坪が予定されている。その半分の約1万坪が、グレードAによる供給である。当面、名古屋の空室率は、上昇基調が続くと見られる。市場の需給緩和が継続する中、オーナーサイドは、セットアップオフィスへの仕様変更など、テナント需要を喚起できるように注力している。
名古屋支店 武田 稔
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