コロナ禍で空室消化が進まず、空室率は上昇傾向。
中小規模案件に動き
シービーアールイー(株)の調査によると、2020年12月期の名古屋オールグレードの空室率は、対前期(同年9月期)比0.1ポイント上昇し1.9%となった。
今期の空室率上昇の主な要因は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるオフィスの一部解約や、企業のオフィス移転・新規出店等の判断が慎重になっていることが挙げられる。そのため、空室の消化が進まず、後継テナントが決まらない空室や、新たな解約区画が顕在化してきている。一方で、短期契約ではあるが、新型コロナウイルス対策の助成金等の事務所ニーズで、大型区画が満室となったほか、分室ニーズや立地改善、コスト見直しに伴う移転等でも空室が消化され、空室率の上昇幅は、わずかにとどまったと考えられる。
テナントニーズについては、前期と比較すると、中小規模の案件が徐々に動き始めている。オフィス戦略を見直す一環で、リモートワークの拡大に伴う面積の見直しや、オフィスの分散を目的とした分室・シェアオフィスの活用等に着手する事例もあったが、大型のオフィス移転については、新型コロナの影響が不透明な状況にあることもあり、結論を出し切れない企業が多い。
グレードAの空室率再び上昇
ビルのグレード別に見ると、名古屋グレードAの空室率は、対前期比0.3ポイント上昇し1.3%となった。大型ビルでは、面積の見直しを行うテナントの動きが顕著に表れてきており、館内縮小等の動きが出ている。そのため、今後さらに空室率が上昇する可能性が考えられる。グレードBの空室率も、対前期比0.2ポイント上昇して1.6%と、市場はやや軟化してきている。
エリア別に見ると、「名駅」エリアでは、対前期比0.3ポイント上昇し2.4%となった。「伏見・丸の内」エリアは1.9%、「栄」エリアは1.1%と、両エリアとも前期から横ばいで推移している。「名古屋東」エリアは、対前期比0.2ポイント低下し1.4%となった。
来期についても、各テナントによる、新型コロナウイルスの感染状況を意識したオフィス戦略の検証が続くものと考えられる。しかしながら、企業業績も重要な要因であるため、引き続き、その点もあわせて注視していきたい。
名古屋支店 岩城 和利
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種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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名駅 | 16,500円~31,500円/坪 | 大型ビルにおいて、契約更改時期にあわせて一部床を減らす企業が散見された。 | |
名駅西 | 13,000円~17,000円/坪 | 新幹線からのアクセスが良好。専門学校等の需要が根強い印象。 | |
伏見 | 12,000円~16,500円/坪 | 減床や撤退に伴う解約が続いている。100坪以上の大型空室を中心に、現状は引き合いが少ない。 | |
栄 | 12,000円~16,000円/坪 | 駅前の商業施設「BINO栄」が2020年11月にオープン。一部解約や撤退もあるが、一方で分室ニーズによる空室消化もあり空室率は横ばい。 | |
丸の内 | 11,500円~15,500円/坪 | 館内縮小や集約移転による空室が顕在化。解約期間内に成約しない事例が増えている。 | |
周辺都市(岐阜) | 8,000円~13,000円/坪 | 岐阜駅西側のリノベーション物件で空室消化が見られた。 | |
周辺都市(三河) | 9,500円~13,500円/坪 | 会社統合に伴う大型空室が発生し、空室率は上昇。新規出店ニーズも限定的。賃料相場は横ばい。今後、さらに空室率上昇の可能性もある。 | |
周辺都市(三重) | 8,000円~10,000円/坪 | 一部ではテナントの縮小に伴う空室発生はあるものの、潜在的な需要もあり、全体としては引き続き安定した状況が続いている。 | |
周辺都市(静岡) | 9,000円~12,000円/坪 | 新型コロナウイルス緊急経済対策による短期賃借需要により、空室率は横ばい状態である。 | |
倉庫・配送センター | 2,900円~3,800円/坪 | 新型コロナの影響はあるが、業種ごとに温度差があり、引き続き需要は安定している。賃料および空室率は横ばいで推移。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。