空室率は依然1%未満で推移。成約賃料の上昇傾向が継続。
空室のほとんどは早期内定
シービーアールイー(株)の調査による、2019年12月期の福岡主要オフィスゾーンの空室率は、前期(同年9月期)から0.1ポイント上昇の0.7%となった。今年竣工の新築ビルに移転を予定している企業の解約が出るなど、僅かながら市場が動きを見せ始めている。
ただ、依然として、拡張分室、新規開設等の需要が活発で、大小の規模を問わず、空室のほとんどが早期に内定する状況に変わりはない。また、新たに立ち退きを始めたビルもあり、立ち退き移転の需要も継続しそうだ。
今期の想定成約賃料は、前期から2.0%上昇し、16,170円/坪(共益費込)となった。天神エリアでは、既存ビルの最高値25,000円/坪(共益費込)が更新され、中には26,000円/ 坪(共益費込)で内定したビルも見られた。赤坂エリアでも、最高値が更新され、24,000円/坪(共益費込)となり、主要オフィスゾーン全体で賃料が上昇している。
また、競争力の高いビルで空室が出た際には、多くの引き合いの中で、検討企業が貸室を確保するために、賃料を上乗せして申し込むケースや、ビル側が入札形式の募集にすることで、賃料が上昇するケースが多く見られ、最高値を更新する要因となっている。
今後5年で5万坪超の供給
オフィスビルの開発状況については、今後5年間で20棟を超える開発が予定されており、5万坪超の大量のオフィス床が供給される。今年竣工する「(仮称)福岡第一生命館」(貸床面積約2,600坪)や「(仮称)九勧博多駅前一丁目ビル」(貸床面積約3,600坪)等へ移転を予定している企業の二次空室が出てきているが、募集開始前から多くの企業が検討を始めている。募集前に内定、もしくは募集後すぐに内定すると見られ、空室率への影響は限定的である。今後予測される二次空室も限定的で、市場に及ぼす影響は少ない。
博多エリアでは、西日本シティ銀行に大きな動きがあり、福岡地所㈱と共同で、本店本館・別館・事務本部ビルの3棟を連鎖的に開発していくと発表した。10年間で20棟の建て替えを目指す「博多コネクティッド」に大きく貢献する動きとなり「天神ビッグバン」後の福岡を、さらに発展させてくれる開発となるだろう。
福岡支店 午頭 涼輔
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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博多駅前 | 17,000円~20,000円/坪 | 空室率は低く、引き続き賃料上昇傾向。新築物件も好調。 | |
博多駅東 | 15,000円~17,000円/坪 | 募集賃料が上昇し、そのまま募集通りで成約する状況。需要は多く、堅調。 | |
呉服町 | 14,000円~16,000円/坪 | 大型空室が出ても、成約スピードは速い。空室少なく、賃料上昇傾向。 | |
天神 | 19,000円~22,000円/坪 | 立ち退きテナント需要により空室が少ない状況は変わらず。引き続き賃料も上昇傾向。 | |
赤坂大名 | 14,000円~16,000円/坪 | 新築物件が高水準で内定。他エリアの空室が少ないため、需要が流れてきている状況。 | |
北九州小倉 | 9,000円~11,000円/坪 | 新築物件の影響で、賃料はやや上昇気味。空室率は変わらず目立つ動きなし。 | |
中・大型倉庫 市内 |
2,800円~3,200円/坪 | 中型・大型倉庫共に空室がない状況。LMTは2020 年竣工の物件もすでに満室。中・大型ニーズは引き続き多数。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。