全主要エリアで空室率が低下。 グレードA·Bともに1%未満に。
需要は引き続き旺盛
シービーアールイー(株)の調査によると、2018年12月期の名古屋オールグレードの空室率は、対前期(同年9月期)比0.2ポイン ト低下の1.1%となり、今期も当社調査における過去最低値を更新した。前期と同様に、館内増床、老朽化したビルからの移転、名古屋市郊外からの立地改善目的の移転が見られた。
今期の名古屋グレードAビルの空室率も、対前期比0.1ポイント低下の0.5%と、連続して過去最低値を更新。グレードBビルの空 室率は、対前期比0.3ポイント低下して、0.9%となった。立地改善によるランドマークビルへの移転や、入居企業による館内増床が、今期の空室率の低下要因と考えられる。
主要エリアで軒並み1%未満
エリア別に見ると、「名駅」エリアの空室率は、前期とほぼ変わらず0.7%であった。今後、リニア中央新幹線工事に伴う立ち退き 移転が本格化すると思われるが、検討できる物件の選択肢は、依然少ないままである。
「伏見・丸の内」エリアの空室率は、対前期比0.3ポイント低下の0.9%となった。今年、「伏見」エリアで竣工予定の物件が2棟あるが、ほぼ全フロアが内定している。
「栄」エリアの空室率は、対前期比0.4ポイント低下の0.9%。「名古屋東」エリアの空室率は、対前期比0.6ポイント低下の3.6% となった。今期は、「名駅」エリアのみならず、「伏見・丸の内」「栄」エリアでも、空室率が1%以下となった。これらのエリアでは、ビルグレードを問わず、空室が少ない状況となっている。選択肢が限られているため、物件によっては、複数の企業で一つの空室を取り合うケースも見られた。また、貸室内を内覧することもなく、成約に至っているケースもある。
空室減少に伴い、移転や館内増床を検討する企業の意思決定のスピードが速くなってきている。今年は、前述の2棟以外に大型の新 規供給がない。そのため、中心部では、タイトなマーケットが続くことが予想される。移転を検討する企業は、早期の情報収集と、一層迅速な意思決定が求められるだろう。こうした市況を受け、今後は、新規入居テナントの成約賃料の上昇のみならず、既存テナントの賃料値上げのケースも増えていくことが予想される。
名古屋支店 立松 誠二
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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名駅 | 18,000円~32,000円/坪 | 増床ニーズや新規出店、立地改善移転を中心に需要集中が継続。今後はリニア開発に関係する移転需要も喚起される見込み。 | |
名駅西 | 13,000円~16,000円/坪 | 名駅(東側)エリアの染み出し需要が発生。もともと少ない空室も消化された。 | |
伏見 | 12,000円~17,000円/坪 | 築浅物件に限らず、マーケット全体で空室が減少傾向。解約が出た直後に成約となるケースも散見される。 | |
栄 | 12,000円~16,000円/坪 | 足元の空室は少ない状況だが、開発予定案件は存在。中長期的ではあるが期待が高まっている。 | |
丸の内 | 11,000円~16,000円/坪 | 桜通り沿いの築浅物件は、ほぼ空室がない状況。駐車場確保も、増車需要で難しい傾向に。 | |
周辺都市(岐阜) | 9,000円~12,000円/坪 | 引き続きテナントの動きが少ない状況である。岐阜駅前の物件では、100坪以上の大型の面積を確保するのが困難な状況が続いている。 | |
周辺都市(三河) | 9,500円~13,000円/坪 | 昨年供給された三河安城エリアの2物件は、竣工時満室稼働。自動車関連企業のニーズは変わらず旺盛で、新規供給が待たれる状況がしばらく続く。 | |
周辺都市(三重) | 8,000円~11,000円/坪 | 四日市エリアでは、高稼働も相まって、一部ビルで賃料を値上げする動きが見られる。一方、津エリアは空室状況や賃料水準に大きな動きはなく、停滞。 | |
周辺都市(静岡) | 8,500円~11,500円/坪 | 新築オフィスビルへの移転に伴う空室が発生しているが、1990年以降竣工のビルについては空室が減少傾向である。 | |
倉庫・配送センター | 2,800円~3,800円/坪 | 東海エリア全体で、新築、既存にかかわらず引き合いが多い状況が続く。空室情報も少なく、愛知県内の需給バランスは逼迫したままである。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。