前向きなニーズの堅調な増加で、 空室率は前期に引き続き低下。
貸し手優位のマーケットが継続
シービーアールイー(株)の調査による、2018年12月期の広島市内中心部の空室率は2.3%と、対前期(同年9月期)比0.6ポイント低下した。空室率低下の要因としては、2017年末に竣工した「スタートラム広島」の二次空室の消化が影響していると思われる。また、それ以外でも、新規出店や拡張移転といった前向きなニーズが、堅調に増加している。
継続賃料を見ても、依然として増額改定交渉を行うビルは多く、新規契約賃料も、この数年間上昇傾向である。多くのビルが普通借家契約のため、大幅な増額はないものの、貸し手優位の状況は、まだ続くと思われる。
今年3月には、JR広島駅北口に「GRANODE(グラノード)広島」が、10月には中区幟町に「新広島ビルディング」が、それぞれ竣工する。共に、環境改善・立地改善を求める企業のニーズを取り込み、空室は順調に消化されるものと予想される。
広島では昨年10月、市中心部の紙屋町・八丁堀地区が、国の「都市再生緊急整備地域」に指定された。新たな開発案件のきっかけとして、官民の期待が膨らんでいる。2003年に、先んじて整備地域に指定され、大きく変貌を遂げたJR広島駅周辺のように、長年抱える再開発事業や建て替え等が本格化してくれば、紙屋町・八丁堀地区のみならず、広島市全体の街づくりが、より飛躍していくであろう。
岡山では新規開設ニーズが増加
岡山では、前期に引き続き空室率が低下した。特に今期は、新年度に向けた新規開設需要が増加。面積帯は20坪前後と、選択肢が少ない中、立地・スペック等において上位のビルから決定した。一方、拡張移転や立地改善等による既存オフィスの移転は、候補となるビルがなく、潜在化する傾向が続いた。新築ビルの計画は、イトーヨーカドー跡地で2021年竣工予定の「杜の街づくりプロジェクト」までないため、景気の減速がない限り、今後もタイトな状況が続くと考えられる。
岡山の市街地では、再開発計画が目白押しである。ただし、そのほとんどが分譲マンションを核とし、飲食・物販・サービス等の商業施設かホテルが併設されるものが多い。中四国のハブに立地する政令指定都市として、ビジネスマンが働くオフィスビルの開発が待たれるところである。
広島支店 辻﨑 寛人 / 越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 10,000円~13,000円/坪 | ビル規模問わず空室消化が進んでいるが、今春竣工の新築物件により、空室率に影響が出る可能性も。 | |
広島駅南 | 10,000円~14,000円/坪 | 駅北エリア同様、空室消化・賃料上昇が進んでおり、区画確保が厳しい状況が続く。 | |
八丁堀・紙屋町 | 11,000円~15,000円/坪 | 高グレードビルを中心に、空室がほとんどない状況が続いている。成約賃料も上昇傾向。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 上記のエリアに比べ、空室は顕在化しているが、賃料に割安感があるためニーズは増えつつある。 | |
岡山桃太郎大通り | 9,500円~12,000円/坪 | 商業系や1階物件以外の、純粋なオフィスの空室はほとんどない状況。 | |
岡山市役所筋 | 10,000円~13,000円/坪 | 主要ビルは満室稼働中。企業の組織再編による岡山からの撤退により、空室が出るビルもあるが、館内増床が優先され市場には出てこない。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | 引き続き物件探しには厳しい環境にあるが、長期的に物件動向を注視していくことが重要と思われる。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,200円~4,000円/坪 | 倉庫が少なく、希望面積でのマッチングはかなり厳しい。数社での賃借やサブリースなどの手法も検討する必要がある。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500円~3,500円/坪 | 需要は横ばい。供給は現状少ない状況であるが、今後のテナントの動きによっては増加すると予測。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。