移転需要は、前向きな動きが顕著。依然、タイトなマーケットが続く。
空室率は横ばいで推移
当社調査による、2017年12月期の広島市内中心部の空室率は2.8%で、前期(同年9月期)と同水準であった。広島では、昨年末、「 スタートラム広島」が満室稼働で竣工し、その二次空室の影響が懸念されていたが、同ビル入居企業の多くが2018年以降の移転であることや、郊外からの移転企業もあり、都心部の空室率は影響を受けず、横ばいの結果になったと考えられる。
テナント需要としては、引き続き、新規出店や拡張移転等の前向きなニーズが顕著に見られる。マーケットには、中小規模の空室が散見される程度であり、依然として需給バランスは逼迫している。移転を希望する企業としては、オフィス選定に際して、さらにスピード感のある意思決定が求められる。そのためには、移転検討前の段階から、マーケットの動向や将来的な予測を事前調査しておくことが、オフィス戦略を成功に導くポイントになるだろう。
供給面では、今年は主だった新規供給予定のオフィスビルがなく、2019年春、JR広島駅北口に竣工する「広島二葉の里プロジェクト」が注目を集めている。同エリアでは、コンベンションホールを併設した地元テレビ局の新社屋が完成間近となっている。また、広島駅自体も、昨年の南北自由通路の開通以降、大きな変貌を遂げていることから、今後、広島の魅力をさらに高めることが期待されている。
岡山の空室率は引き続き低下
岡山の空室率は、今期も緩やかに低下した。新規開設や郊外からの立地改善、館内増床等、前向きなニーズが空室消化を牽引している。一方、年度末に向けた解約予告は各ビルともほとんど出ておらず、市況はさらにタイトになると予想される。
テナントニーズは中・小規模の面積が中心で、大型ニーズは物件がないため、長期化かつ潜在化している。大型ニーズの持ち主は上場企業が多く、好立地やハイグレードビルを望む傾向にあるが、岡山では2009年から新築ビルが竣工していない。そのため、企業によっては、他都市に人員を回す可能性も出てきている。
そんな中、両備ホールディングスが、イトーヨーカドー跡地の再開発で約7,000坪の商業・オフィス棟を計画、2021年度の完成を目指すと発表した。岡山の発展に寄与することに期待したい。
広島支店 辻﨑 寛人 越智 昭博
- 現在募集中の広島県の賃貸オフィス
- 現在募集中の岡山県の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 9,000円~12,000円/坪 | ビルの規模を問わず、空室消化が進んでいる。移転の区画確保には、素早い判断が必要となる状況。 | |
広島駅南 | 9,500円~12,000円/坪 | 駅北エリア同様、空室消化・賃料上昇が進んでいる。移転の区画確保は厳しい状況が続く。 | |
八丁堀・紙屋町 | 10,000円~14,000円/坪 | 今春以降、大型の二次空室の発生が見込まれるものの、入居可能時期の関係もあり、マーケットへの影響はまだ少ない。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 空室が顕在化しつつあるものの、割安感のあるリニューアル物件では、依然空室が少ない状況。 | |
岡山桃太郎大通り | 8,500円~12,000円/坪 | 市役所筋で要望にマッチする物件がないため、当該エリアに移転するテナントが引き続き散見された。 | |
岡山市役所筋 | 9,000円~13,000円/坪 | 高額な募集賃料の物件はテナントに敬遠されているが、空室が少ない市場下、オーナーサイドに焦りはない。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | 空室予定が少なく、倉庫自体も不足しており、希望の物件が見つけにくい状況にある。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,100円~4,000円/坪 | 昨年、今春と新築施設が竣工したが、他地域と比較して用地取得費用が高く、相対的に割高な賃料設定となっている。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500円~3,500円/坪 | 依然として物件が不足。現在建設中の大型物件以外、新規供給は見られない。賃料については、横ばいの状況。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。