シービーアールイー株式会社
インダストリアル営業統括部
シニアディレクター 小林 麿
近年、物流施設、特にLMT(Large Multi-Tenant Properties)と呼ばれる延床面積が1万坪以上の大型マルチテナント型物流施設に対する需要が、上昇の一途をたどっています。昨年のLMTに対する契約動向は、それを裏付けるものでした。
2014年は首都圏で過去3番目に大きなLMTの新規供給があった年でした。それにもかかわらず当社では、2014年のQ1の時点で、2015年Q1の空室率は高くても5%程度に収まるとの予測を発表していました。しかし現実には、非常に旺盛な需要
に支えられ、4%という低水準で推移することとなりました。
こうした予測、および実需の背景には、新たな需要の担い手の登場があります。振り返ってみると、2013年は通販専業の企業、例えばアパレルサイトのZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイをはじめ、アスクル、アマゾン、モノタロウなどの企業が、将来の需要拡大を見据えて、非常に大きな拠点を開発しただったと言えます。これに対して2014年は、小売業の躍進が目立った年でした。例えば現在、ユニクロのファーストリテイリングが、いわゆるマッカーサー通りの終着点である東京・有明に、大型物流施設を建設しています。新聞等でも大きく取り上げられましたが、小売企業の経営トップが、物流施設の建設で記者会見を開くこと自体、エポックメイキングなことだと言えるでしょう。フォーエバー21、良品計画、ニトリなど、実際に店舗を持つ大手小売企業が、相次いでLMTのテナントとして入居するという動きが目立った年でした。
図Aは過去2年間のLMT契約テナントの比率を示したものです。2013年の竣工物件では、物流業が62%であったのに対して、小売業は20%に過ぎませんでした。これに対して2014年は、物流企業が52%と10ポイント減少したのに対して、小売業の直接契約が増加し、26%を占めるまでに拡大しています。小売業、卸売業の直接契約が増加したことは、我々のような業界の人間から見ると、テナントの幅が広がるという嬉しい出来事でした。
また、2014年竣工のLMTと契約した、または物流会社の荷主となった企業の内訳を見ると、これまでアパレルの24%とほぼ同等だった、CVSやスーパー、ドラッグストア向けの日用品が43%を占めるほか、食品も20%に達するなど、活発な動きを見せたことが特徴と言えます。