-不動産から考える2024年問題のこれから-
2000年代以降、日本の物流不動産※1市場はECの普及などにより急速に形成されたが、同時に物流需要を生み出し、トラックドライバーの労働時間は増加し、労働力不足が深刻化。物流の2024年問題によりさらなる物流の逼迫が予想され、物流の効率化は喫緊の課題となっている。政府が2023年から省庁横断で物流効率化に向けた取り組みを進める中、国土交通省は昨年より「物流拠点の今後のあり方」について議論を開始した。そこで、本特集は物流不動産マーケットの変遷や物流政策の方向性を見据え、物流効率化を支える先進的物流施設の現状に迫る。
※1:物流業務を行うための施設として第三者へ賃貸される倉庫・物流センター等の建物。ビジネスモデルの特徴として、賃貸面積に応じた賃料を収受することで成立することが挙げられる。(従来型の倉庫業は、輸送・保管量に応じた料金を収受)
物流不動産市場の急成長とその背景
日本では2000年代以降に急速に物流不動産市場が形成された。制度的な要因として、1998年に不動産証券化法が公布され、物流施設も証券化の対象になった。続いて2005年には物流施設に特化したJ-REITが上場。投資環境の整備が進み、国内外の投資家からの資金流入が増加、物流不動産の開発が活発化した。2005年に物流総合効率化法が公布されると、企業は効率的な物流拠点が必要となり、高機能な物流施設の需要が高まった。
社会的な要因として、第1にECの普及による物流不動産の需要が挙げられる。直近の10年間でECの市場規模、EC化率ともに2倍以上に拡大【図1】。迅速な配送が求められる中で、高機能な物流施設のニーズが高まった。
次に、企業はコスト削減と効率化を図るため、物流業務を外部に委託する動きが進んだ。これにより、3PL事業者が増加し、物流施設の集約化や大型化へとつながった。
さらに、グローバル競争が激化する中、企業はサプライチェーンの最適化を図る必要がある。これにより物流施設の効率化や高機能化が求められるようになった。
AIやIoTなどの技術革新によっても物流業務の効率化は進んだ。これにより、最新の技術を取り入れることのできる物流施設の需要が増加。
また、高速道路や港湾などのインフラ整備が進む中、物流施設の立地条件が改善され、需要が高まった。
賃貸施設である物流不動産は必要に応じて、必要な場所で利用でき、需要の変化に柔軟かつ迅速に対応できることから、過剰な設備投資をすることなく整備することができたため、これらのニーズに応え、急速な市場拡大を成し遂げた。2013年末には約202万坪であった4大都市圏の稼働床面積は、2024年末には約952万坪にまで拡大した。稼働床面積は需要とみることができ、引き続き、需要は拡大している【図2】。
2017年頃からはEC普及による荷物量の急増と人手不足について「宅配クライシス」と言われ、物流課題として表面化。続いて「物流の2024年問題」など、さらなる輸送力不足が懸念され、物流効率化は避けては通れない課題となっている。
政府は省庁連携し、2023年から物流の革新に向けた議論を開始し、2024年5月には改正物流法が公布された。これにより、物流効率化がより一層進むことが予想される。

