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大和ハウス工業株式会社|物流施設クロニクル

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2018年10月23日

常に新たな挑戦を続ける大和ハウス工業が次代を見据えた新物流ソリューションを展開 

取締役常務執行役員  浦川  竜哉氏

大和ハウス工業株式会社
取締役常務執行役員 浦川 竜哉氏

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強みは土地開発の専門部門と全国に広がる支店ネットワーク

当社は1955年の創業以来、常に時代の変化に即した製品やサービス、ビジネスモデルを展開することで発展を続けてきました。2017年度のグループ連結の売上高は3兆7959億円に上っていますが、その構成比を見ると、大和ハウス工業という社名からイメージされるであろう戸建住宅の比率は10%強です。賃貸住宅やマンションなどを含めた住宅関連事業を含めても、46%と多角化経営に舵取りしております。一方、事業用施設は全体の22%を占めており、賃貸住宅事業に次ぐ2番目のカテゴリーとなっています。そして、その約半分を占めるのが物流施設という構成です。

当社の競合他社に対する競争優位性のポイントは2つあります。1つ目は土地の取得に関して、入札だけでなく手間ひまをかけて用地づくりをする、土地開発の専門部門を有していることです。当社では1959年、創業時のメイン商品であるパイプハウスを応用したプレハブ住宅の原点と言われる「ミゼットハウス」を開発し、爆発的なヒットを記録しました。そして60年代初頭からは、プレハブ住宅を建てるための、住宅地の造成に乗り出しました。土地開発の専門部門はその頃にできた部署ですから、実に50年以上の歴史があるのです。

入札で得られる土地は、宅地としてすぐ使える反面、競争が激しく高額になってしまいます。対して、地権者をまとめた区画整理開発や工業団地開発などは用地づくりには時間が掛かるものの、その分コストが抑えられるため、仕上がり価格には圧倒的な差が出るのです。当社ではこの手法のウエイトが高く、公営団地の造成や、商業施設・事業用施設開発の事業拡大につながる大きな礎となっています。

また、プレハブ住宅の販売に伴い、住宅ローンの先駆けとなる「住宅サービスプラン」を当時の住友銀行と組んで発売したのも当社でした。そういった意味で、用地流通の金融面のバックアップについても、極めて早い時期からノウハウを持っていたと言えます。もう1つの優位性は、全国に張り巡らせたネットワークです。住宅関連をコア事業とする当社には、支社・支店などを合わせると、日本各地に81の拠点があり、多くの社員が働いています。彼らの活動により、リアルタイムの情報を迅速に収集できることが大きな強みになっていることは言うまでもありません。

時代の変化を先取りした物流ソリューションの展開

ここで、当社の物流ソリューションの変遷を見てみましょう。当社の事業が、まず倉庫からスタートしたことをご存知の方は少ないと思います。先にご紹介したパイプハウスは、鋼管(パイプ)構造で組み立てが簡単な、規格型仮設建物です。この商品が国鉄(現JRグループ)の、線路を補修するための道具入れとして採用されたことをきっかけに、全国に広がっていきました。これにより、当社は設計・施工の建設会社として、幸先の良いスタートを切ることができました。この頃が第1ステージとなります。

続く第2ステージが始まったのは1960年。当時の池田内閣が提唱した「所得倍増計画」を引き金に、国民の生活レベルは向上し、モータリゼーションが発達。特に地方では、駅前の商店街から、ロードサイドの郊外型商業施設に主役が移り始めました。これに伴い当社では、地主に出店テナントを紹介し、自前で店舗や倉庫を建設してもらい、テナントと長期の建物賃貸借契約を締結いただく。当社は建設会社ですから、特命で建設受注をするビジネスモデルを確立いたしました。

しかし、物流施設について見ると件数はそれほど多いものではありませんでした。と言うのも、店舗建設については、商習慣上、敷金や建設協力金などのテナントからの預入金がありましたが、倉庫建設については、そのような慣習がなく高い自己資本負担が求められたので、資金の借り手である地主も、貸し手である銀行も慎重にならざるを得なかったからです。そのため、物流施設の建設は、この頃、商業施設ほどには広がっていきませんでした。

その潮目が大きく変わったのが、1992年の借地借家法の改正です。これにより、10年以上20年以下の事業用定期借地(2008年以降は10年以上50年以下)が可能になりました。結果、地主は建物建設のコストを負担することなく、土地のみを貸すだけで毎月の借地料が得られ、契約期間が満了すれば、建物は解体され更地で返還されます。またテナント側は、自社の求める仕様の施設を作ることができるようになりました。

つまり、コスト負担を抑えたい地主にとっては、倉庫という土地活用の選択肢が増えたわけであり、この改正により事業用借地権設定方式を使った物流施設の建設が大きく進展していきました。

当社では、地主と入居テナントをグリップした上で、施設をリース会社に建設してもらい賃貸するという方式を、数多く採用してきました。つまり、建設主体が個人から事業者に変わったのです。この1992年以降が第3ステージになります。

そして第4ステージの始まりとなったのが、建設業や物流業のみならず、経済界全体に影響を与えたSPC法の施行です。これにより、日本の不動産の流動化・証券化が活発になり、ノンアセットによる土地活用が可能になりました。

当社では、早くから証券化に興味を持っていました。土地を自分たちで購入すれば、今まで難しかった土地の有効利用のチャンスを、自ら創出することができるからです。そこで当社を含む3社で出資し、残りは銀行からのデットで補おうとしました。しかし、当時はSPC、あるいは不動産の証券化といっても、銀行や投資家から理解を得るのが難しい状況でした。そこで、エクイティの部分を徐々に増やし、最終的にはフルエクイティでの開発となりました。同時に、バランスシートが重くなるのを避けるために、当初は私募ファンドを作ってすぐ売却し、その後はJ-REITや私募REITを作ったりして、出口を増やしていったのです。

当社では現在、物流不動産ソリューションとして「Dプロジェクト」を展開し、これまで約210棟の開発実績に加え、多数の開発予定案件を抱えていますが、その第一歩となったのがこのときの物件です。ちょうどプロロジスさんが新木場で物流施設を開発していたのと同じ時期であり、同社と私どもが日本の物流不動産流動化の先駆けと言えるのではないでしょうか。現在、この手法による不動産開発のプレーヤーは、不動産業者のみならず、商社、生保、ゼネコンなど、合わせて31社にもなり、開発のメイン手法となっています。

また、J-REITに参画した当時、物流施設をポートフォリオに加えているのは、当社を含めて3社でしたが、その後は増加し、現在は10社以上となっています。

時代の変化に対応してきた大和ハウス工業の物流ソリューション

時代の変化に対応してきた大和ハウス工業の物流ソリューション

BTSからマルチテナント型へ時代とともに変化する施設形態

当社は従来、BTSの施設建設を得意としてきました。同じお客様と長くお付き合いすることで、ニーズに対してより精度の高い建物が作れるという自負がありましたし、カラの施設を作って待つという企業文化もありませんでした。

ですが、ここ10年の間に、マルチテナント型の施設が増えてきているのも事実です。その変化の最大の要因が時間軸です。BTSをはじめから開発すると、最低でも2年はかかります。一方、お客様が求めるリードタイムはどんどん短くなっており、BTSでの対応では間に合わないのです。「すぐにでも拠点が必要だ」とするお客様に出来るだけ早く提供するには、マルチテナント型の施設を用意しておく必要があるのです。

もう1つの大きな要因は、BCPの観点からの、緊急時の物流需要です。このところ5年に1度ぐらいの頻度で、大きな自然災害が日本を襲っています。こうした非常時に、サプライチェーンマネジメント(SCM)を途切れさせることなく対応するためには、マルチテナント型が必要であると考えています。

もちろん、現金輸送の専門センター、セキュリティ重視の高額商品専門施設、あるいはもっと身近な冷凍冷蔵庫まで、BTSでないとできない倉庫のニーズはたくさんありますから、BTSにも力を入れています。また、当社は建設会社ですから、既存物件を作り変えるノウハウもあり、現に三郷や川口の施設の1階を、冷蔵庫に変えて無事に稼働させています。

変化という視点から見ると、事業のグローバル化も大きなテーマの1つです。一例を挙げれば日本の食料自給率の低下に伴う安全性の確保の問題です。わが国の食料自給率は38%。一方、小麦のように98%を輸入に頼っている食材はたくさんあり、温度管理がいらないものはありません。つまり、コールドチェーンを世界につないでいかないと日本の食の安全は守れないのです。そのためには、国内外の物流施設を充実させて、コールドチェーンでつなげることが必要でしょう。その意味でアジアの中でも特に日本企業の進出が目立つベトナム、インドネシア、タイ、マレーシアなどに加え、米国や中国にも、今まで以上に事業を拡大することが不可欠だと考えています。

大和ハウス工業の第5ステージ→ダイワロジテックを立ち上げ、保管以外の80%に着手

大和ハウス工業の第5ステージ→ダイワロジテックを立ち上げ、保管以外の80%に着手

第5ステージで目指すのは次世代型物流ソリューション・プロバイダー

ここまでは建設会社および開発デベロッパーとしての立ち位置から見た、当社の物流ソリューションの変遷をご紹介してきました。そしてこれからの第5ステージで、当社が新たに展開していくのが、物流にかかる各領域におけるサービスを提供することです。言い換えれば、業務の効率化をお手伝いする物流ソリューション・プロバイダーの領域です。

賃貸倉庫の場合、コストの中で保管費が占める割合は20%程度だと言われています。そして残りの80%は、庫内作業や搬送、マネジメントなどの人件費(25%)、車両による配送費(40%)、維持費や設備費、システム費などのその他の経費(15%)という内訳になっています。つまり、従来は手付かずだったこの80%を効率化できれば、トータルのベネフィットが提供できるということになります。

そこで当社では2017年11月、物流IT企業のホールディングスとしてダイワロジテックを設立し、AIやロボット、IoT、ビッグデータを駆使したプラットフォームを誕生させました。具体的にはモノプラス(クラウドシステムの構築支援)、アッカ・インターナショナル(ネット通販のフルフィルメント事業)、グラウンド(自動搬送ロボットシステム)、ハコブ(クラウド型配車・運行管理システム)、フレームワークス(物流システム構築/物流コンサルティング)といった各社の専門性をネットワークし、お客様に最適なソリューションをご提供しようというものです。

そのR&Dの場として今年の4月、DPL市川に「インテリジェント・ロジスティクス・センター・プロト」を誕生させました。ここではショールームとして、自動搬送ロボットシステムが実際に稼働している様子などもご覧いただけます。

そして何より画期的なのは、複数の荷主企業が同一施設内で共同利用するシェアリングモデルを導入していること。同じスペースの中で、当社が作業員や設備、システムをトータルで提供し、テナント企業はサービスを利用した分だけ料金を支払うという、従量課金制を採用しているのです。これにより初期投資を削減するとともに、スピーディーに物流サービスを構築することが可能になります。

さらに当社では、大和ハウスと大和物流のデータを公開しての「オープンデータ活用コンテスト」を開催。物流効率化に向けたアイディアを、世界中から募っています。「市川プロト」はその実証実験の場でもあり、今年中にはDPL流山に第二弾を誕生させる予定です。

当社のこうした試みが、いずれ国内のみならず、世界中の物流の現場で、新たな潮流となることを切に願っている次第です。

ntelligent Logistics Center PROTO

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上記内容は BZ空間誌 2018年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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