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ティーエルロジコム株式会社

ケーススタディ

2012年12月5日

ティーエルロジコム株式会社「野田吉春物流センター」

3PL事業を推し進めるティーエルロジコム株式会社は、同社3棟目となる大型物流施設、地上4階建、延床面積1万坪近い「野田吉春物流センター」を2012年10月にオープンさせた。1階にキーテナントが入居し、上層階において自社の3PL事業を展開、さらにテナント賃貸により収益化を図る。仕様は、不動産投資家が開発する一般的なマルチテナント型施設とは一線を画したものとなっている。同社の物流事業戦略・不動産戦略をレポートする。

不動産事業と3PL事業の両輪でビジネスを
推進するティーエルロジコムの先進の物流拠点戦略

ティーエルロジコム株式会社
執行役員 営業本部 ビジネスサービス第一営業部長 渡辺 長則 氏
管理本部 不動産部 係長 大城 雅良

物流の上流から下流まであらゆるニーズに対応

ティーエルロジコム株式会社は、SBSグループの総合物流事業の中核企業として、3PL・センター物流・倉庫・流通加工・運輸・通運・国際物流など幅広い物流サービスを提供する物流会社である。もともと東急グループの運送物流会社3社が合併して誕生した東急ロジスティックが前身で、創業から数えると70年以上の歴史がある。SBSグループへ加わったのを機に、2006年1月、ティーエムロジコムに社名変更した。

同社の強みは、調達や生産といったサプライチェーンの上流工程から、販売やリサイクルといった下流工程まで、さらには日本市場からアジアを中心とする海外市場まで、あらゆる物流ニーズに対応できること。物流やロジスティクス業務のアウトソーシング化が加速する中、ワンストップで複数の機能を提供できる数少ない物流企業である。

同社が近年、業務拡大を進めているのが3PL事業である。3PL事業とは、従来のように輸配送、保管、流通加工、在庫管理などの業務を個別に行うのではなく、トータルで提供することで顧客企業(荷主企業)の物流コスト削減に貢献するものである。物流企業によっては、「メーカー物流の経験はあるが、小売業向け物流業務の経験は浅い」など得手不得手があるものだが、同社はサプライチェーンのさまざまな領域において豊富な物流サービスの実績があり、あらゆる物流ニーズにバランスよく対応できるのも特長である。

3PL事業者として顧客に最適な施設を開発

3PL事業を展開するには、2通りの方法がある。一つは「アセット型」で、倉庫などの物流施設や車両などを自社保有し、そこで物流センターを運営して3PL事業を行うもの。もう一つは「ノンアセット型」で、物流施設や車両などの資産(アセット)を自前で保有せず、クライアントのニーズに応じて賃貸倉庫を借り、そこで事業を展開するというものだ。ティーエルロジコムは、この両方の手法をバランスよく採用している。もともとは運送事業が強かった同社だが、合併によって倉庫事業をメインに展開する会社も加わったことから、近年は倉庫業にも注力。関東エリアを中心に倉庫ネットワークを形成し、自社開発や施設賃借により様々なタイプの施設を提供している。

同社の事業についての基本的な考え方としては、他の不動産事業者のように自社開発した物件を賃貸して収益を上げるのではなく、3PL事業者として顧客企業の物流ニーズに最適な施設を開発し、自らが入居して物流センター事業や3PL事業を行う、もしくは自社所有の物流センターで顧客企業の物流を請け負うというものである。顧客企業の物流ニーズに最適化するという考え方から、施設の規模は延床面積2,000坪程度が中心だった。

しかし最近は、自社開発した物件を自社運営するだけでなく、賃貸からも収益を上げていく方向に変わりつつある。つまり、顧客企業が希望する立地にワンフロア面積の大きな施設を開発し、それを多層階にすることで、残りの階を賃貸スペースとして貸し出したり、自社が運営する物流センターとして活用しているのである。延床面積も1万坪クラスへと大型化した。

この背景には、企業の物流ニーズが拠点集約による大規模化、および作業効率を重視したワンフロア化へと変化してきたことがある。「最近は3,000坪クラスをワンフロアで使用したいという要望が増え てきました。従来のような小規模の施設は、今後は汎用性が低くなることが予想されます。多様な物流ニーズに応えられるよう一定規模以上のワンフロア面積を確保し、多層階にして、残りスペースを賃貸や自社運営で活用して収益を上げていこうという考え方に変わってきています」と同社執行役員、営業本部ビジネスサービス第一営業部長の渡辺長則氏は話す。これにより土地の購入基準も見直し、首都圏近郊であれば3,000坪以上、国道16号線周辺であれば5,000坪以上を目安にしている。

3PL事業と施設賃貸で収益の最大化を狙う

このような考え方で開発された大型物件は、これまでに3棟ある。「川越物流センター」(埼玉県川越市)、「野田物流センター」(千葉県野田市)、 「野田吉春物流センター」(同)。すべて延床面積が1万坪クラスで4階建である。中でも最新の野田吉春物流センターは、開発済みの施設を不動産流動化など の手法を用いて資金回収し、その原資をもとに開発するという手法が採られた。このとき不動産投資会社に売却された物件の一つである野田物流センターは、 セールアンドリースバックにより引き続き同社の主要物流センターとしての利用が続いている。

物流不動産投資家が開発する大型施設と 同社が開発する施設との最も大きな違いは、3PL事業者として自らが使用する施設であるということ。それは建物の構造にも表れている。物流不動産投資家の 大型施設には、各階へ直接トラックが搬送できるランプウェイを備えている物件が多いが、ティーエルロジコムの野田吉春物流センターの場合はトラックがス ロープを上って横付けできるのは2階までで、それより上の階はエレベータを使用するようになっている。

つまり、3~4階のスペースは、テナントに賃貸するには、トラックがその階まで自走できないが故に、その分、多少使いづらい構造になっているのである。というのも、同社では1階をキーテナントに賃貸し、2階から4階までのスペースは賃貸もしくは3PL事業者として自社運営することを想定している。賃貸だけでなく、自分たちの得意領域である3PL事業と組み合わせることで、収益の最大化を図ろうというわけである。テナント企業が使いやすいよう汎用性を重視しながらも、自社にとって運用しやすく、また限られた土地を最大限に活用して利益を追求できる施設になっていることがポイントである。

キーテナント以外の顧客獲得には不確定要素もつきまとうが、「1棟目の川越、2棟目の野田ともに竣工後ほぼ1年以内で埋まったという実績があり、関東における物流ニーズの復活の手応えを感じている」と語る渡辺氏。この秋に竣工したばかりの野田吉春物流センターにおいても早期の満室稼働を目指している。

また、立地戦略にも違いが見られる。物流不動産投資家の大型施設の多くがIC至近などアクセスを重視した立地を選ぶのに比べ、ティーエルロジコムの大型施設は必ずしもIC至近というわけではない。もちろん物流適地であることに違いはないが、前者がテナント募集を有利にするため利便性や汎用性を高める必要があるのに対し、後者は初めから特定の“顧客ありき”で開発されること、また低いコストで投資効率の最大化を狙っているという違いがある。「土地取得にコストがかかるIC直近よりも、安く仕入れて確実に収益を上げられる案件に投資しようという考え方。また、コストを抑えることができれば賃料も比較的低廉に設定でき、結果としてテナント企業にも喜ばれます」と同社管理本部不動産部係長の大城氏は語る。

LED照明を全館導入 環境と経済性に配慮

野田吉春物流センターは、ティーエルロジコムが手がけた大型物件の3棟目として、2012年10月に竣工した。首都圏の主要都市を環状に結ぶ国道16号線に面し、常磐自動車道柏ICからも約15分の距離にあるため、首都圏から北関東エリアの物流拠点として最適な立地にある。実はかなり以前に土地は取得していたものの、リーマン・ショックによる景気後退の影響を受けて開発を延期していた。その後、テナントが確保できたことと、このエリアの開発許可が3階建から4階建に拡大されたことなどから着工に至った。

同施設は、昨今の環境意識の高まりを受け、環境と経済性に配慮した仕様になっていることが最大の特長である。特筆すべきはLED照明の全館導入で、これはオフィスビルでも極めて珍しいといえる。環境への配慮はもちろん、入居テナントにとっては電力コスト低減といった直接的なメリットも享受できる。「環境への投資についてはこれまで対応が遅れていましたが、今回は社長(鎌田正彦氏)の指 示により環境への配慮と経済性を改めて検討し、限られた投資で一定基準の要求照度を満たすような照明環境を実現しました」と大城氏は話す。また、LED照明は天井への直付けではなく、レールに設置することでスライドできるようにした。これにより庫内レイアウトに応じた照明レイアウトが可能になり、通路や作業スペースに明かりを集中させることもできるようになった。さらに、廊下やエントランス部分には人感センサーを設置し、人のいない時間帯は消灯することで省エネ効果を狙っている。

外壁には断熱性に優れた金属断熱サンドイッチパネルを採用するとともに、屋根には太陽光発電設備を設置する計画である(平成25年2月工事予定)。太陽光発電は売電用のため入居テナントに直接的なメリットはないが、屋根が二重になることから断熱効果は非常に高く、最上階の居住性が高まることが期待される。「ワンフロア面積が2,000~3,000坪の施設で庫内空調設備を導入するのは難しいのですが、その代わりに太陽光発電を設置するだけで、確実に温度が下がると聞いています。また、吸気と排気を分けた換気システムを導入することで、風が流れるように工夫しています」(渡辺氏)。

災害時には非常用発電からテナントへ分電

昨年の大震災を受け、災害などの非常時にも安心して利用できるよう配慮されているのも大きな特長である。最新の耐震構造に加え、非常用発電機も設備されている。非常時においても最低限の事業継続が可能なように、照明の20%を維持したり、エレベータ2台と事務所、トイレを稼働させるなどBCP対策のための一定基準を設け、それをクリアできるよう施設設計した。

災害時には、非常用発電による電気のテナント分電が想定されている。通常の賃貸施設では、非常用発電は防災用に使われるため、テナントに分電されることはない。テナント企業が非常時に備えるには、独自に自家発電施設を持つ必要がある。そう考えると、ティーエルロジコムが管理・運営する非常用発電をテナントに分電するのは、画期的な取り組みだといえる。「昨年の震災では、テナントに電気が供給されなかったため、リフトが全面的に停止して荷物が動かせないとか、サーバーがダウンしてパソコンのデータが消滅するなどの問題が多発しました。この施設では、テナント企業も最低限の事業を続けられるよう、十分ではないにしろ電気を供給する用意があります」(渡辺氏)。こうした臨機応変な対応は、施設オーナーであるティーエルロジコムも一緒に入居しているからこそ可能だといえる。

拡大する3PL案件に対応するため に開発された、延床面積約1万坪の大型施設、野田吉春物流センター。その規模だけでなく、施設オーナーがそこで物流事業を営んでいるという事実がもたらす 信頼感とメリットは計り知れない。最後に渡辺氏はこう語った。「私たちが常にそこにいるわけですから、使用面積や荷物、日々のちょっとした物流ニーズにも フレキシブルに対応できます。そのメリットは、物流担当者さんであれば十分にお分かりいただけるのではないでしょうか」。

建築経過

2012年1月

2012年1月

2012年4月

2012年4月

2012年6月

2012年6月

2012年7月

2012年7月

2012年8月

2012年8月

2012年10月 竣工

2012年10月 竣工

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上記内容は オフィスジャパン誌 2012年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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