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工業用間接資材通信販売の最大手である株式会社MonotaROが、2011年6月、東日本大 震災の傷痕も生々しい宮城県多賀城市に新物流センターを開設した。関西本社での1拠点 体制を競争力の源としていた同社が、なぜ仙台に? なぜこの時期に?

今号スタートのシリーズ企画「物流拠点設立ケーススタディ」第1回は、同社の仙台進出をレポートする。

間接資材をワンストップで提供するオンリーワンのプラットフォーム

株式会社MonotaRO 物流部次長 前田宣人氏

株式会社MonotaRO
物流部次長 前田宣人氏

インターネットを通じた工業用間接資材のe-コマース、それが株式会社MonotaROのビジネスモデルである。間接資材とは、切削工具や研磨材などの工業用資材や自動車関連商品、工業用品、事務用品など、主に現場や工場で必要とされる製品を指す。

同社の特徴は、これらの膨大な商品を最小単位で取りそろえる、ワンストップのプラットフォームを提供していること。ユーザーにとって、求める資材が少量・多品種でそろえられることは、探す手間はもちろん、注文・支払いといった煩わしい作業を大幅に解消できる。

「商品のスピーディーな在庫確認はもちろん、いつ発注すればいつ届くかが明確であること。これが利便性であり、安心感につながっています」。物流部次長の前田宣人氏はこう説明する。

同社では、約600万種類あるとされる間接資材のうち約150万アイテムを扱っている。事業者向けのBtoBが主体だが、一部は個人消費者向けのBtoCサイトも運営しており、ユーザー数は事業者サイトだけでも70万を超える。

1拠点にこだわることで実現した顧客満足度の向上

株式会社MonotaRO:新物流センター 宮城県多賀城市

同社の設立は2000年10月。当初は東大阪の1,000坪の拠点からスタートし、後に同地で1,000坪ほど面積を拡大したが、2007年に尼崎の現拠点に移転。約8,000坪の物流センターに、売れ筋商品を中心とした約6万点弱の在庫をストックしている。

受発注はこれまでこの1拠点で対応し、午後3時までの注文はその日のうちに出荷し、全国どこでも翌日到着という体制を構築している。「1拠点により多くの商品を持ち、徹底した在庫管理を行っています。これがコスト削減と顧客の利便性につながっているのではないでしょうか」(同氏)と言うとおり、同社は高い競争優位性を有しており、今日のところ競合他社はいない。

物流センター内は、「当社の成長スピードを考えても、現在の注文の量・中身と5年後のそれとは大きく異なることが想定されます。5年後に利用できるマテハンは考えにくい」(同氏)との言葉どおり、受発注を管理するコンピュータのシステムを除けば大きな設備はない。商品を格納するラックが整然と並び、発注頻度によって分類された商品が納められている。

商品のピッキング・発送はもっぱらマンパワーによるもの。現在は、ここで約200名のワーカーがシフト制で働いており、新人教育のための「トレーナー制度」の導入や、リフレッシュのためのフリードリンク・バーの設置などの福利厚生面を充実させている。

いち早く決定した震災直後の仙台進出

株式会社MonotaRO:新物流センター

その同社が、2011年4月、宮城県・多賀城に新物流センターの開設を告げるニュースをリリースした。そのきっかけとなったのは、いうまでもなく3月11日に発生した東日本大震災である。

大震災の直後から、同社のサイトである「monotaro.com」には大量の注文が殺到。土嚢袋やブルーシ-ト、電池、懐中電灯など災害対策用品を即座に海外から調達して需要に応えた。例えば電線は、通常なら5年分程度のストックがあったが、結果的に2~3ヶ月ですべてが捌けてしまったほどだ。災害で近くの仕入先が営業していないために、ネットに頼ってMonotaROを知ったという企業も多かったという。

「スタッフの多くが阪神淡路大震災の経験者なので、被災地がこれからどう動いていくか、何が求められるかのイメージができていました」(同氏)ことから、トップダウンによりすぐさま仙台への進出が決定する。経営陣と現場との日頃のコミュニケーションの良さもあり、もちろんスタッフにも異論はない。震災の1週間後には社長自ら物件探しに同地に赴いたという。本来の拠点戦略から逸脱しても、ニーズに応えるためには現地近くに拠点を持つことが重要、との意思を優先させた決断だった。

株式会社MonotaRO:新物流センター

とはいえ多賀城といえば、市街地にまで津波が押し寄せた地域。被災後1週間では、まだ水が引ききっておらず、なんとか視察できたのは2物件のみ。その中から三陸自動車道仙台港北ICから程近く、仙台塩釜港からは目と鼻の先にあることから、「プロロジスパーク多賀城」に約2,500坪の物流センターを開設することを決めた。国内輸送、海外からの輸入についての利便性を考慮しての選択だ。先のプレスリリースが発表されたのは、震災からわずか42日後のことである。

震災から約3ヶ月で本格稼働コストのコントロールが今後の課題

株式会社MonotaRO:新物流センター

物件は決まり開設を5月26日に決定したものの、状況が状況だけに、その後の工程は困難を極めた。周辺は戦災を思わせるような状態で、自衛隊の救護車両がなんとか通っているような有様。施設自体も津波の被害を受け電気が来ておらず、オーナーからは「最大限の努力はするが、期日までに使えるようになる保証はできない」と念を押されるような状況であった。

もちろん倉庫内部の準備も必要であったが、作業員を集めようとハローワークに問い合わせても、「多賀城は被害が大きかったので求人できるかなぁ」とまで言われる始末だ。それでもなんとか5月20日には入居可能な状態になり、そこから急ピッチで作業が進められた。最初の2日間でラックを設置し、余震による転倒防止のための器材の取り付け。その後、ピッキング作業のためのフェイス作りや、商品管理のためのバーコードの設置。ここまでのスケジュールを約2週間でやり遂げた。「東大阪の頃の拠点と規模が同程度だったため、設備配置のイメージがしやすかったのが幸いしました。これがスピーディーな工程につながったと思います」(同氏)。

不安視されていたワーカーも、準備段階で10名、出荷を開始した6月20日からは20名体制にすることができた。このうち大阪から派遣された経験者は3名で、あとはすべて現地の人材を採用している。物流施設経験者はほとんどいなかったが、ミスが起こりにくいシンプルなワークフローと、トレーナー教育制度のおかげで、問題なく作業は回り始めた。現在では40名で約3,000件/日のオーダーに対応。まだ1,000件ほどの余力があるという。

株式会社MonotaRO:新物流センター

同社では、主要マーケットである東京近辺に拠点を置く計画は今のところない。前述した1拠点での優位性と、東京に入る物流は発達しているため、逆に近くである必要性はないと考えているからだ。その意味で今回の仙台進出は、輸送動線が乏しい東北・北海道エリアをカバーするうえで最良のポジションを確保したと言える。「拠点を増やしたことで増加するコストを抑えるために、いかに在庫をコントロールできるかが最大の課題」(同氏)。今後、多拠点化の合理的な運用とコストバランスが、同社のさらなる進展に向けた鍵となることは間違いないだろう。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2012年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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