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山九株式会社 首都圏物流センター

都市別特集

2013年3月21日

グローバル3PL事業の第一人者・
山九の東扇島における物流戦略ケーススタディ

山九株式会社 矢野 峰男 氏

山九株式会社
首都圏エリア
執行役員 エリア長
矢野 峰男

山九株式会社 有地 貴史 氏

山九株式会社
東京支店 営業グループ
マネージャー
有地 貴史

国内外で3PL物流サービスを展開する山九株式会社は、東扇島の港頭地区に同社最大規模の首都圏物流センターを建設し、2010年1月より営業を開始した。東扇島の物流拠点としての立地優位性、3PL業務構築の具体的な事例を聞いた。

海外と日本を結ぶ 国際3PLが事業の柱

山九首都圏物流センター

当社の3PL事業の特長は、海外と日本を結ぶグローバルな物流サービスです。中でも大きな割合を占めているのが、生産拠点を海外に持つ日本企業への物流サービスの提供。中国や東南アジアで生産した製品を日本へ輸送し、日本の物流センターから全国のユーザーへ配送するまでの物流業務を、一貫して請け負っています。生産拠点の海外移転は今後も進んでいくことが予想されるため、海外ネットワークが豊富な当社としても、こうしたグローバル3PL事業を主力事業として推進しています。もう一つの柱として注力しているのが、日本に進出している外資系企業の国内配送サービスです。外資系の消費財メーカーが日本市場向けに輸送した商品を、国内全域に配送するサービスを提供しています。このように、海外と日本を結んだグローバル3PLサービスが、当社の特長であり強みといえます。

こうしたグローバル3PLに対応する拠点として、以前から東京港に近い平和島やお台場などに物流施設を構えてきたのですが、10年ほど前から、外資系クライアントが取り扱う消費財の貨物量が一気に増大。そのため規模拡大と拠点集約による効率化を狙って移転したのが東扇島でした。まずは6,000坪規模の物流倉庫を賃借し、6年ほど運営していました。ところが、取り扱い量の増加によりさらなる拡大が必要になったため、2008年、川崎港の港頭地区の公募地を賃借し、当社最大規模の首都圏物流センターを建築するに至ったというわけです(2010年より営業開始)。

東扇島は国内外の貨物配送に最適 東京港と横浜港にも至便

東扇島を選んだ理由としては、国内外貨物の集配送に最適な湾岸地域であったことが一つ。規模の面から考えても、大規模施設の用地を内陸部で探そうとすると、工場跡地でもない限り難しいのが現状です。しかも、工場跡地は土壌汚染のリスクも高いことが懸念され、埋め立ての湾岸用地のほうが荷主企業やテナント企業の誘致にも有利だろうという判断がありました。また、当社の物流センターが立地する川崎港の港頭地区は、「東扇島総合物流拠点地区」と位置づけられており、災害時や緊急時にも安定した電力供給を確保できることが魅力です。さらに、湾岸部は道路幅が広く確保されており、トラックやトレーラーの通行はもちろん、40フィートのコンテナ車が対面通行できるのも利便性が高い立地だといえます。

川崎港を擁する東扇島の立地優位性にも着目しています。川崎港は輸出入に対応した国際港であるため、輸出入品を取り扱う総合的な物流拠点を構築できると考えています。また、東京港と横浜港の中間地点に位置するため、どちらの港にも容易にアクセスできることは大きな利点です。通常、海外からの船はまず輸入港である東京港に寄港し貨物を下ろします。仮に物流拠点が横浜港の近隣にあった場合に比べると、東扇島からなら1日早く貨物を引き取れることになります。その逆もまた然り。船が次に、輸出港である横浜港に寄港して貨物を積む際にも、拠点が東京港の近隣にある場合と比べて、東扇島であれば1日遅く輸出貨物を出すことができます。東扇島という立地は、東京港と横浜港における輸出入にもジャスト・イン・タイムで対応できるという優位点があるのです。加えて、羽田空港に近接していることから、航空貨物にも対応することができることもメリットといえるでしょう。

流通加工ニーズにも対応した マルチテナント型施設

こうした東扇島の立地特性を生かして建設されたのが、当社の首都圏物流センターです。首都圏における物流事業のさらなる拡大を視野に入れ、ワンフロア約6,500坪、4階建、床面積が約2万6000坪の当社最大規模の施設として誕生しました。当社の3PL業務のほか、テナント企業にも便利にお使いいただけるよう、マルチテナント型を採用しています。各階に直接車両が乗り入れられるランプウェイ構造、通路での荷役が可能な14メートルの通路幅、待機スペースを十分に確保した屋外駐車場のほかにも、監視カメラや感知センサーによる監視システムなど充実したセキュリティ設備も設置しています。

加えて、庫内での加工作業にも適した構造であることも特長です。最近の物流施設では、単なる荷物の出し入れだけでなく、荷揃えや検品などの作業も求められる傾向にあります。当施設においても、流通加工のためのマテハン機器の導入を可能にしたり、庫内作業に適した照度を考慮するなど、流通加工ニーズにも対応しています。庫内作業のための人材確保については、近隣の川崎市や横浜市のほか、アクアラインでつながる君津市や木更津市、ベッドタウンの船橋市などから高速道路を用いた動員が可能です。

海外現地倉庫からの タイムリーな国内搬入を実現

当社が行っているグローバル3PL業務として、大手GMSの事例をご紹介します。このケースでは、マレーシアのベンダーが生産する家具を輸入、販売。当社では、マレーシアの工場から製品を出荷する時点からの物流業務を一括して請け負っています。まず、マレーシアの工場で生産した製品を、マレーシアのジョホールバルにある当社の倉庫に搬入し一時保管します。その後、日本での家具の販売時期に合わせて日本に輸出し、日本国内での荷受け、当社の物流拠点での一時保管、さらには全国各地のエンドユーザーへの配送やそこでの搬入設置までも行っています。

日本へ輸出する前に現地倉庫で一時保管するのは、日本市場に合わせたタイムリーな製品供給を行うためです。現地倉庫は日本に比べて賃料が安く、こうした物流システムを構築することでコストメリットが享受できるわけです。従来は、海外ベンダーが生産した商品を一度にすべて輸入し、日本国内の店頭に並べていました。その後、売れ残った商品は在庫となり、その保管料や廃棄料が発生するだけでなく、そこまでの輸送費や関税も無駄になっていました。それに対して当社の3PL事業では、現地倉庫で一時保管し、国内での販売状況や営業情報をもとに、売れ筋商品だけをタイムリーに輸出するスタイルを採用しています。現地に残った在庫は現地で販売したり、第三国へ輸出することで、大幅なコストダウンを図ることができるのです。こうした効率的な物流業務をグローバルに展開できるのは、国内のみならず、中国や東南アジアなど27の現地法人と国際ネットワークを構築してきた当社ならではの強みだと自負しています。

山九首都圏物流センター内部

当社のグローバル3PLを推進する拠点として、今後も東扇島の首都圏物流センターが中核的な役割を果たしていくことに変わりはありません。川崎港に隣接し、神奈川、東京、千葉への配送にも便利な立地である利点を活かし、大型貨物や消費財などを中心に3PL事業を展開していく予定です。また、首都圏を攻略するためのもう一つの拠点として考えているのは平和島です。こちらは東京23区により近い立地特性を活かし、より付加価値の高い貨物の3PLを展開していきたいと考えています。

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上記の記事の内容は オフィスジャパン誌 2013年春季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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