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第3章:欧州の賃貸オフィス市場

欧州の雇用環境と賃貸オフィス市場

失業率の推移

【図6】はイギリス、フランス、ドイツ、スペインの失業率の推移を示したグラフである。当該グラフを見ると、欧州内でも雇用環境は大きく異なっていることが確認される。特に、スペインでは失業率の上昇が顕著である。2013年9月時点の失業率は26.6%となっており、4人に1人が職に就けていない状況である。フランスも雇用環境は厳しい状況が続き、2012年に失業率が過去最高となる10%を超え、今も上昇を続けている。イギリスは、リーマンショックを契機に8%程度まで失業率は上昇したものの、最近では緩やかな低下傾向に転じている。

唯一、失業率が順調に低下しているのはドイツである。製造業が盛んなドイツでは、ユーロ安による恩恵を受けやすいため、雇用環境は相対的に良好である。

 

雇用環境は、各国主要都市の賃貸オフィス市場にも影響を与えている。ロンドン(イギリス)やフランクフルト(ドイツ)では、直近の空室率が過去の推移の中でも低位な水準にあり、賃料もロンドンでは上昇基調に転化、フランクフルトではリーマンショック以前の水準を維持している。フランスの失業率の上昇は止まらない一方で、首都パリの空室率は低位な水準に留まっている。理由は後述する。ただし、2012年後半頃から高額賃料での成約件数は減少傾向にある。マドリッド(スペイン)は、空室率が過去最高値を更新しており、未だ賃料の下方調整局面が続いている【図7】【図8】

 

賃貸市場の動向は、売買市場の動向に大きく影響している。欧州全体で見ると経済環境は厳しい状況が続いているが、その中でも相対的に需給バランスが安定しているロンドン、パリ、フランクフルト、その他ドイツの主要都市ではオフィスビル売買が活発である。

空室率の推移
賃料指数の推移

ロンドン、フランクフルト、パリの賃貸オフィス市場

ロンドン

ロンドンは、EMEA最大の金融センターとして、業務集積度が高い都市である。2013年のロンドンの賃貸オフィスマーケットは、緩やかながらも堅調な回復を示した。ロンドンは欧州内の他の都市と比較しても、海外企業の参入が盛んである。特に、世界の金融機関が欧州進出を実施する際「まずはロンドンから」というニーズは未だ根強い。そのため、ロンドンは景気感応度の高い海外企業の占有比率が高くなっており、景気の回復局面では他の都市に先行して回復を示しやすい傾向が見られる。

足元では回復局面にあるロンドンのオフィスマーケットであるが、金融機関が集積する「シティ」地区で、複数の大規模ビルの供給が控えている。ロンドンは建造物保護法が厳しく、都心部では近代的な大規模ビルを開発することが難しかった。そのため、ストック構成は築年数の経過した小~中規模ビルが中心である。都心部に金融機関の本社機能としての受け皿が少なかったため、HSBCやCitigroupなどの大手金融機関は、都心からやや距離が離れているものの、大規模ビルが集積する「ドックランズ」地区への集約統合移転を実施した。

ロンドン地図

しかし、都心部での大型ビル開発を望む声は多く、2000年頃から都心部であるシティの一部で規制緩和が実施された。そのため、最近では都心部でも近代的な大型ビルの開発が進んでいる。これらの開発の中には、受け皿不足のためドックランズに移転していったテナントの都心回帰ニーズを狙ったものもあり、そのテナント誘致動向が注目される。

 

 

パリ

フランスでは経済や行政といった都市機能が、パリ及びパリ周辺部を含むイルドフランス地方に集中している。都心部に該当するパリ市内は、建造物保護や高さ制限が極めて厳しく、オフィスビルも伝統的な住宅をコンバージョンしたものが多数を占める。

そのため、パリ市内ではオフィスビルであっても、周辺の住宅、ホテル、商業施設と区別がつかない外観の建物が多くなっており、規模や設備によるビルの競争力格差は生じにくい。従って、パリ市内のオフィスビルの競争力は立地によるところが大きい。極端な言い方をすれば、基幹鉄道路線である「1号線」沿線の中でも凱旋門の最寄駅となる「シャルル・ド・ゴール=エトワール」駅に近いビルほど、市場競争力を発揮しやすい環境であるといえる。

パリ市内の優良立地には、大型需要の受け皿となるストックが存在せず、新規開発も抑制されていることから、都心部の空室在庫は、恒常的に不足した状況である。そのため、フランスの雇用環境は悪化を続ける一方で、パリ市内の需給バランスは安定した状況が続いている。ただし、経済成長が伸び悩んでいることから、高額賃料で成約に至るケースは減少している。

パリ地図

しかし、パリ市周辺部では状況が異なる。パリ近郊には、近代的なオフィスビルが集積する「ラ・デファンス」地区が存在する。ロンドンのドックランズと同様に、まとまった需要の受け皿となる大規模ビルの開発が活発なエリアだ。2013年に、当該エリアで3棟のオフィスビルが竣工を迎えたが、テナント需要を確保しきれず、エリアの空室率は上昇している。また、ラ・デファンス以外でも、パリ郊外のオフィスエリアは需要の減退が目立つ状況にある。

 

フランクフルト

ドイツは都市機能の分散が顕著な国である。金融のフランクフルト、行政のベルリン、貿易のハンブルクといったように、都市によって特徴が異なる。

フランクフルトは、EU加盟国17ヶ国の金融政策を決定するECB(欧州中央銀行)が所在していることから、ドイツのみならず、EU全体でも金融センターとして重要な位置付けにある。

フランクフルトのストック構成は、西欧諸国では珍しく、近代的で大規模なビルが中心のマーケットとなっている。これらのビルの主要テナントは、世界各国の金融機関である。マーケット内でも特に市場競争力が高い優良ビルには、ドイチェ銀行やコメルツ銀行など、国内大手行が本社機能を構えている。

リーマンショック以降、フランクフルトの空室率は2010年まで上昇を続けたものの、優良ビルの賃料はリーマンショック以前の水準を維持していた。ドイツ系の金融機関は、他の欧米系の金融機関と比較して、リーマンショックのダメージが小さかったため、フランクフルト本社の床を返す動きは限定的であったことが要因と推察される。景気後退局面でも、優良ビルの賃貸床が市場に供されなかったことが、賃料の下落を抑制したものと考えられる。

その後、ドイツ経済は順調に回復しており、フランクフルトの空室率は低下傾向で推移している。ただし、欧州債務危機以降、高額賃料を負担してでも事業所を新設拡張したいという動きは限定的であるため、賃料は概ね横ばいの状況が続いている。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2014年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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