100年超の歴史を持つ老舗企業、2024年度は過去最高の営業利益を達成
私たち山九株式会社は1918年に創業した、100年以上の歴史を持つ企業です。日本国内からスタートし、中国、東南アジア、アメリカ、ヨーロッパなど、世界規模で物流事業を展開しています。物流業界を取り巻く環境が大きく変化する中、当社は2024年度、売上高・営業利益ともに過去最高額を更新しました。主に機工事業が好調だったことが大きな要因です。一方、物流事業は昨年対比では健闘していますが、人件費高騰や価格転嫁の遅れ、中国の景気低迷に関連した海外事業の苦戦などにより、営業利益面では厳しい状況が続いています。
物流業界全体を見渡すと、主要顧客業界の再編や国内市場の長期的縮小、プライム市場における投資家目線の経営へのシフトなど、業界再編が進行中です。当社としては、主要顧客の業界へのサービス向上や持続的な物流体制の構築の観点から、必要に応じてM&Aを含めた業務提携や資本提携も視野に入れています。
市場環境の変化に対応するため、業界内の連携や協業が従来以上に重要になっています。物流の2024年問題については、業務の平準化や納品時間の調整などの対応策が功を奏しました。物流の2024年問題は2024年で終わるのではなく、2024年がスタートです。これからますます厳しくなる問題だと考えています。高齢化やドライバー不足という構造的課題への対策として、処遇改善による新規採用強化、山九トラック輸送パートナー協力会〔※2〕との連携強化、物流プラットフォーム「ハコベル」〔※3〕への出資による共同物流を推進しています。また、フィジカルインターネット実現会議(現・一般社団法人フィジカルインターネットセンター)〔※4〕、化学品の分科会など、業界団体の活動にも積極的に参加し、共同物流の推進に注力しています。
〔※2〕山九の事業はパートナー企業との連携で成り立つ。各事業で関係の深い委託先企業と協力会を発足し、事業発展、信頼関係強化、友好関係維持を目的に会員相互の緊密化を図る。2025年3月末現在、パートナー企業は約15,000社。協力会は化学機工、プラント事業、鉄機工、機工、トラック輸送、倉庫オペレーションの6つ。トラック輸送パートナー協力会は2016年発足。
〔※3〕荷主と運送会社をつなぐマッチングプラットフォームを提供する企業。その提供サービスには、輸送手配サービス、物流DXシステム、倉庫検索サービスがある。「ハコベル」は、物流業界が直面する課題に対応するため、デジタル技術を駆使して効率的な物流ネットワークの構築を目指す。
〔※4〕フィジカルインターネットの普及啓発、調査研究、社会実装などの活動を行う一般社団法人。フィジカルインターネットとは、デジタル技術を活用して物流の可視化と効率化を図る概念。具体的には、複数の企業が保有する倉庫やトラックをシェアし、物資を効率的に輸送することで、燃料消費量の抑制や温室効果ガス排出量の削減を目指す。
データ連携からフィジカル連携による業界最適を目指し、DXに取り組む
当社の物流事業におけるデジタル化の取り組みには長い歴史があります。2000年問題を機に物流基幹システムを刷新し、2010年頃に一度リニューアル。2015年頃からはお客様の物流センターの自動化に本格的に取り組んできました。特に自動化については、顧客の構内作業などでの経験を活かし、比較的早い段階から取り組んできました。今後の展開として注目されるのが、データ連携からフィジカル連携による業界最適です〔図3〕。従来は個別のお客様を軸にしたデータ連携を進めてきましたが、今後はお客様自身の業界再編の動きに合わせて、共同物流を意識した「顧客軸から業界軸へ」のシフトが必要になっています。
共同物流については、人口減少や労働力減少により、特に地方では単独でネットワークを構築するより、共同物流を進めた方が効率的だという考え方が浸透してきています。物流事業の付加価値向上という観点では、お客様が意思決定を行うための付加価値情報の提供の仕組みづくりが重要です。そのためには、データ基盤の整備やデータ連携が不可欠であり、今後はステークホルダー間の連携も含めた仕組みを構築していきます。単なる物流サービスの提供にとどまらず、情報価値を高めたサービスを提供することで、顧客との関係性を強化し、競争力を高めていく方針です。
それにより、現場に近い階層で収益を生み出す体制を強化しています。電子・電気部品、化成品、鉄鋼といった業界を中心に、各インダストリー特性に応じた戦略展開を進めています。地域戦略としては、日本国内を基盤としつつ、東南アジア、インド、中東市場への事業拡大を積極的に推進しています。産業や地域戦略において、当社の強みであり従来からの得意分野である、成長分野を軸に据えて展開していきます。
当社のトップも強調しているように、私たちのサービスを可視化し、お客様や社会に対して価値を提供していくことは、とても重要なことだと考えています。当社は物流をはじめとした業界の裏方として、社会インフラを支える重要な役割を担っています。コロナ禍や震災などの危機的状況でも、働くことを止めるわけにはいきません。そのような方々を支える企業としての価値を示していきたいと思っています。




