100年企業が挑む「人×デジタル」による物流サービスの未来創造
経済産業省が2018年に公表したレポートをきっかけに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が特に注目されるようになった。これは、古いITシステムの維持が経済損失を招く可能性を指摘し、「2025年の崖」という概念を提唱する内容で、古くなったITシステムが企業のDXの障害となり、毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるという警告だ。このレポートを受けて、多くの企業がDXの重要性を認識し、デジタル技術を活用した業務プロセスの革新に取り組むようになった。
創業100年を超える、物流、機工を提供する山九株式会社も、DXを軸に、新たな取り組みを展開している。ドライバー不足や高齢化、2024年問題など、物流業界が直面する課題は年々深刻化。物流事業本部では、そうした課題に立ち向かうため、早くからDXに取り組んでいたが、この度、全社を対象に「2030年に向けたDX戦略」を策定。300億円の大規模投資と8,000名へのDX教育を通じて、サービスのアップデートと業務プロセスの革新を目指している。この戦略は顧客軸から業界軸へのシフト、物流業界全体の最適化に向けた意欲的な取り組みだ。物流という社会インフラを支える企業として、デジタル技術を駆使した成長を掲げる、山九の挑戦に迫る。
〔※1〕デジタル技術を活用してビジネスを変革する準備が整っていると国から認定された企業。この認定は、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」に基づいて行われる2020年5月創設の制度。