企業のDXをサポートするデータセンターの活用
※ 本レポートは2023年3月に発表されたものです。
- 企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)による事業の変革に迫られている。DX推進にデータセンターの活用は不可欠であり、DXはデータセンター需要の拡大要因となろう。
- 日本でDXに取り組む企業は増えているものの、その成果において日本は米国に大きく遅れを取っている。その要因は多くの日本企業が抱える老朽化したレガシーシステムにある。
- レガシーシステムから脱却し、DXの成果を上げるには、データセンターが提供するサービスの使い分けが重要となる。それは「クラウド」と「コロケーション」の2つに大別される。
- 首都圏のデータセンターの需給バランスは足元で逼迫、DX推進のための受け皿は十分にない。データセンターの利用価格は、電力コストの利用価格への転嫁などで上昇が続く。
- 首都圏に比べ、地方には空き容量に余裕のあるデータセンターが多い。このため、利用目的によってシステム運用の地方分散が進む可能性がある。
1.事業の変革を迫るデジタルトランスフォーメーション
1.1.デジタルトランスフォーメーションに不可欠なデータセンター
インターネット上のサービスの利用拡大、5G通信やAIなどの普及を背景に、データセンターに対する需要は依然として強い。そして今後、データセンターの需要をさらに拡大させるとみられるのが、デジタルトランスフォーメーション(DigitalTransformation:DX)の普及である。DXとは、AIやIoTなどのデジタル技術とデータを用いて、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するプロセスをいう*1。その上で、新たな製品やサービスを開発・提供することがDXの本質とも言われている。
デジタル化の波は業界や企業を問わず押し寄せている。ほぼ全ての業界の企業がDXによる事業変革を迫られていると言えよう。そして、DXを推進する上で多くの利点があるデータセンターの活用は、DXの実現に不可欠である。本稿では、国内企業のDXの進捗状況とDXを後押しするデータセンター活用のポイント、データセンター市場の概況について解説する。
1.2. DXに取り組む企業は増加
企業のDX推進を目的に、経済産業省では2020年からDX認定制度を開始した。DX認定制度とは、経営ビジョンの策定や戦略・体制の整備などDX推進の準備が整った企業を国が認定する制度である。DX認定を取得すると、DXに必要なデジタル関連投資に対する税額控除*2や低利融資などが受けられる。また、DXの進め方がわからない企業にとって、当認定制度はDX着手のきっかけにもなる。こうしたメリットも手伝い、DX認定事業者数は着実に増えている(Figure1)。
*1 DXの定義:「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」経済産業省(2020年)「デジタルガバナンス・コード2.0」
*2経済産業省(2023年度)経済産業関係税制改正について
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1.事業の変革を迫るデジタルトランスフォーメーション
2.本質的なDXが進まない日本
3.DX推進を後押しするデータセンターの活用
4.データセンター市場の概況

作成:2023年3月