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北九州市産業経済局企業立地支援課

日本のみならずアジア・世界をサポートする「バックアップ首都構想」という明確なビジョンのもと、DCをはじめとする各産業の誘致を進める北九州市。

北九州市産業経済局企業立地支援課

北九州市産業経済局企業立地支援課

官営製鉄所をきっかけに成長するも、産業構造の大変革による陰りも

九州地方最北端に位置する現在の北九州市が、全国から脚光を浴びることになったのは、 1901年(明治34年)に国内で2番目となる官営八幡製鉄所が創業したことに端を発する。福岡県の北部に位置する当時の「八幡村」が創業地に選ばれたのは、周囲に港湾と鉄道が一体となった国際貿易港である「門司」、軍事産業が集積した「小倉」、石炭の集積基地として栄えた「若松」、紡績や石炭関連産業に加えて水産基地でもあった「戸畑」など、様々に異なる産業特性を持った都市が、それぞれ発展していたことに起因する。つまり炭鉱に近く、鉄道や水運で石炭を迅速に、大量に調達できること。そして原材料の輸入や軍事防衛上の観点から、港があることが評価されてのことだった。

第二次大戦後においても、鉄鋼や金属などの重厚長大産業を中心に発展し、北九州工業地帯として、国内の四大工業地帯の一角を担ってきた。その後1963年2月には、上記の五つの市が合併して北九州市が誕生。同年4月には東京・大阪・名古屋を中心とする三大都市圏を除く地域としては初の政令指定都市となる。古くから九州の玄関口であり、九州内の主要な鉄道や国道の起点として、交通の要衝だったことからも、将来の安定的な発展が期待され、1979年には人口106.8万人に達した。だがこの時をピークに、重厚長大産業の地位の低下による産業構造の変化や、それに伴う製鉄関連企業の合理化による人口減少など、市の未来に陰りが見え始めてきた。多いときには年間1万5千人もの人口が減少したのだ。

「こうした状況に対して、行政は強い危機感を持ち、それを打開するために、30年以上も前から新たな企業誘致を担当する専属のセクションを設けて、継続的な営業活動を続けてきたのです」。そう語るのは北九州市産業経済局企業立地支援課のリーダーとして誘致活動をけん引している課長の石橋孝通氏だ。

洞海湾周辺の産業集積エリア

地域が持つ特性を存分に活用して、行政主導で展開する企業誘致活動

誘致を考えるうえでは、その地が持つ競争優位性が重要であることは言うまでもない。その点、北九州市は、かつて八幡製鉄所をピラミッドの頂点として、素材系の会社から始まって、それを使用する会社まで、その関連性が企業集積の根幹だったと言える。その影響は現在も残っており、例えばロボット分野では世界の4大企業の一つに数えられる安川電機や、三菱ケミカルなどの素材系、あるいは外部機械金属系の企業は今もこの地に健在だ。さらに市近郊のエリアには、トヨタや日産の組み立て工場が立地するなど、部品を供給するサプライヤーも含めた自動車関連産業の集積も顕著である。

加えて、こうしたモノづくりの街として発展したことを背景に、工業系の高校や専門学校、大学も集積してきている点も大きな特徴と言える。理系の学生だけでも年間約3,000人、文系も合わせれば9,000人ほどの人材が輩出されている。企業にとっては採用の競争が激しい東京よりも、採用しやすい環境が整っている。逆に言えば、行政としては若者の流出を阻止するためにも、特に人気の高いIT系企業の誘致は重要なミッションと言える。実際、近年にはIBMが地域のDXセンターを開設するなどにより、数百名単位の採用が実現するなど、IT系企業の集積も波に乗り始めている。

こうした流れを生み出すきっかけとなったのが、2008年のソフトバンクグループのデータセンター(以下:DC)が北九州市に進出したことだろう。同社では東京・大阪にDCが集中していることに危機感を持ち、BCPの観点から地方分散を考えていた。一方、北九州市はもともと地震が少ないうえに地盤が強固で、自然災害に強い街として知られている。この点が評価されてDC進出が実現したのだ。「DCは器としての建物は大きくとも、雇用は生まないと思われがち。ですが訪れるエンジニア等による経済効果や設備投資による税収面でも、かなりの効果はありますし、 DCに選ばれるということは、災害に強い=工場や物流施設も安全に操業できるというベンチマークになるでしょう。こうした間接的・波及的な効果によって、別業態の企業誘致にもつながっているのです」(石橋氏)。

さらにDC誘致に関して言えば、北九州には海底ケーブルの引き上げ拠点があるほか、現在では洋上風力発電などの再生可能エネルギーの整備も進めている。つまり、海外とのデータのやり取りも有利だし、電力を大量に消費するDCを可能な限りカーボンニュートラルに近い形で運営することも可能になるのだ。

またDCの場合、海に近い沿岸の土地は敬遠されやすい傾向があるが、北九州市では官民合わせて約100haもの土地を産業用地として確保しており、進出する企業側のニーズに合わせて提案できる体制が整っている。「企業誘致に関しては市としてもインセンティブを用意していますが、進出企業にとっては、現在はどれだけの土地があるか、そこにどれだけ早く電気が引けるかといったスピード感が重視されます。ですから行政としては、地元の送配電事業者である九州電力送配電等との関係を密にして、企業のオーダーに迅速に対応できるように努めることが最大の役割でしょう」(石橋氏)。

さらに今後の内陸部の土地確保については、国が「地域未来投資促進法」の活用を打ち出している。これにより農地の転用が可能になるため、すでに民間のディベロッパーと同法の活用について協議を進めているという。

ターゲットを明確化したことで着実に成果を上げるバックアップ首都戦略

さらに誘致活動に拍車をかけるべく、2023年2月に新市長に就任した武内氏が、同年5月に鳴り物入りで打ち出したのが「バックアップ首都構想」である。これは一言で言えば、災害リスクに強い基盤、充実したインフラなどのポテンシャルを生かし、首都圏に集中する本社やデータセンター等を誘致し、日本全体のバックアップシティとしての役割を担っていくことで、さらに企業や人を呼び込み、市の成長を目指すというもの。そのために、まずは北九州市が持つポテンシャル、具体的にはこれまで挙げたビジネス面での競争優位性に加え、社会貢献の取り組みや住みやすい環境を有した都市機能などを積極的にPRすることを掲げている。

誘致の対象としているのは、「本社機能の補完・移転」「サプライチェーンの強化」「ITの開発拠点の分散」そして「DC構築」を考えている企業。すでに実現しているプロジェクトもあり、例えばある商社が、一部の本社機能を移しているほか、某エンジニアリング系企業では全社員の半数がすでに北九州に勤務しており、首都圏の災害時に備えている。また半導体企業向けの薬品製造会社では、兵庫県や新潟県の主力工場のバックアップ用工場建設を決めている。PCがあればどこでも働けるIT系企業は第2の開発拠点づくりを進めている。

DCに関しても昨年、アジア市場で不動産投資・開発・アセットマネジメントを手がける米系大手不動産投資会社のアジア・パシフィック・ランド(APL)グループが、九州最大級のDC建設を表明したほか、問い合わせも相当数、来ているという。「バックアップ首都構想が提唱されたことで、対象企業や、そのアプローチ方法が明確になっただけでなく、庁内横断的な情報共有の体制が構築できました。今後、より多くの成果を上げられるよう、市全体を盛り上げていきたいですね」(石橋氏)。

政府のグランドデザインと相まって展開される市独自の政策によって、今後どのような効果が生み出されるのか、注目が集まっている。

「バックアップ首都構想」で目指す姿

まずは、北九州市の持つ「強み」を知ってもらう取組から推進し、北九州市に企業の経済活動継続に不可欠な機能を集積させ「稼げるまち」を実現しながら、首都圏直下型地震や南海トラフ巨大地震、更にその同時被災などの危機に対峙する日本や、アジア・世界を支える「バックアップ首都」を目指す。

「バックアップ首都構想」で目指す姿

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上記内容は BZ空間誌 2024年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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