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OniGO株式会社|コロナ禍で激変!小売業の新潮流―広がるダークストア

日本発のQコマース企業が 11.8億円の調達資金を背景に
日本のマーケットに本格チャレンジ

OniGO株式会社
取締役/共同創業者 山本 敬明

コロナ禍の影響を受け、消費者の購買行動は変化し、注文から短時間で、食材や日用品を自宅に届けるクイックコマース(以下Qコマース)が、米国や英国、ドイツ、中国などの国々で、急速にマーケットを拡大している。そうした中、昨年6月に起業した日本発のスタートアップ企業OniGOが、11.8億円の資金を調達し、注目を集めている。同社の事業展開の課題と今後の展望を訊いた。

OniGO株式会社 取締役/共同創業者  山本 敬明氏

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スタートから2ヶ月で ダークストアを立ち上げたOniGO

最寄りのスーパーまで徒歩10分。着替えも必要だし、女性ならお化粧も。買い出しして重い荷物を持ちながらまた10分歩いて家路につく。トータルでゆうに1時間はかかるだろう。例えば小さい子どもがいたり、介護中だったりなど買い物に出るのも一苦労といった場面は多いだろう。だがスマホの画面で商品を選んで、決済ボタンをクリックすれば、10分後には1品から家に届けてくれる。便利なだけでなく、スーパーでまとめ買いをして、結局使いきれずに食品ロスにつながるといったケースも、大幅に減るかもしれない。

近年、海外ではそんな可能性を秘めたQコマースと言われるサービスが急速に拡大しており、日本に参入してくる外資系企業も多い。そうした中、昨年6月に日本初のQコマース企業であるOniGOが誕生した。きっかけは、代表取締役である梅下直也氏が、以前に中古車のオークション事業を楽天に売却し、スタートアップのコンサルタントをしていた時のこと。「Qコマースの海外での流行の兆しを知り、興味を持ったのがきっかけのようです。ただ、日本にはスーパーやコンビニエンスストアが街中にたくさんあるうえ、フードデリバリーも多いので懐疑的だったのですが、既存のサービスとは異なるビジネスモデルであることを知り、仲間を集めてスタートしたのです」そう説明するのは、創業メンバーの一人である山本氏だ。

確かに、店舗はたくさんあるが、Qコマースのターゲットのひとつは店舗に行きにくい人々。また、すでに大手スーパーが提供するネットスーパーは、オーダーから最短でも3時間ほどは時間がかかる。また、OniGOのサービス提供エリア内であれば、自宅でなく、例えば花見をしている公園でも届けてもらえるのだ。

OniGO株式会社

効率だけでなく地元と密着 めざすは町の酒屋さん

同社が2021年8月に最初にオープンしたダークストアは、東急東横線「学芸大学」駅を最寄り駅とする東京・目黒区の鷹番店だった。このエリアをターゲットにしたのは、リサーチの結果、子育て世代が多く、世帯年収が高かったことが最大のポイント。創業メンバーに土地勘があったことも、決定を早める要因だったという。以前は外車専門の中古車販売店だったので、床や内装に手を加えない、居抜きの状態で使えたことも大きいだろう。

スタート当初の取り扱いアイテム数は700くらいだったが、現在では1,800ほどに拡大している。主に生鮮野菜・肉・魚・飲料・加工品・ソフトドリンク・アルコール飲料など、日々の食事で使う食材・飲料を、スーパーと同レベルの価格で提供する。配送料は初回無料、2回目以降は一律300円だ。「1店舗しかないときは、サービスを提供できる地域が限定されているので、オンライン広告は効率がよいとは言えず、チラシを配るなど地道な活動から始まりました」(山本氏)。

2022年6月時点において、店舗数は8店舗(うち直営4店舗)。アイテム数は、直営店はすべて同じ。限られたスペースなので、死に筋をいかに減らして、売れるものに置き換えるか、その見直しは毎月行っている。だが、一部の品揃えには工夫を凝らし、ナショナルブランドではない、既存の流通に乗りにくい商品も用意している。例えば米は、地元の老舗の米店から仕入れるといった具合だ。

顧客の決済が終了し、オーダーが確定するとダークストア内のチャイムが鳴り、スマホに注文一覧が表示される。ピッカーはスマホに表示される棚番号と写真で商品を確認しながら、ピッキング。バーコードをスキャンして完了し、間違えればエラーが表示される。その商品をライダーがデリバリーする。ピッキングに要する時間を3分以内にすることで、商品到着まで10分前後というスピードを実現している。

ライダーは、フードデリバリーのようなギグワーカーに頼らず、自社の専門スタッフとして雇用している。配送スピードを高めるだけでなく、接客面での評価にもつながるだけに、同社では「ライダーファースト」を掲げ、定着率を高めるためにも厚遇しているという。ライダーは常に待機しており、同じ地域に同じライダーが配達をすることで、顔見知りという安心感も併せて届ける。今では少なくなった、町の酒屋さん的な存在をイメージするとわかりやすいかもしれない。

OniGOには、直営店以外に、ローソンストアや、セブン&アイグループのヨークマートといったコンビニエンスストアやスーパーとの提携店もある。品揃えはそれぞれの店舗の商品となるが、ピッカーやライダーは、同社のスタッフが提携先に常駐し、作業をしているという。

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2022年内に都内23区をカバー  スピードとシステム開発力で急成長をめざす

同社では2022年中に東京23区内をカバーする出店数をめざしている。だが、その実現にはいくつものハードルがあるという。「新型コロナウイルスの影響で、消費者の購買行動は、スーパーなどの実店舗からデリバリーへと、潮目が変わり始めています。それだけに規模の拡大は重要ですが、店舗開発は多大なコストがかかると同時に、いわば面取り合戦の様相を呈しています。いかに早く、できるだけ低コストで広げていけるかが重要なポイントになるのです」(山本氏)。

課題のひとつはシステム開発。先に紹介したシステムは、すべて自社で開発している。他社製品をカスタマイズするより、コストはかかるが短期間で業務に最適化されたシステムであることが重要。商品や出店地域など、効率よく展開するための様々なデータを分析する、データサイエンティストなどの人材確保も急務だ。通常であれば、これには多大のコストがかかる。また、支払いはカード決済になるが、専用アプリにアカウントを開いてもらい、カード番号を入力してもらうにも、抵抗感が強いようだ。そのため、シニアにも扱いやすいPC版を開始した。

もうひとつの大きなハードルが、ダークストアのための物件探しだ。2トンや4トンのトラックが停まれる場所にある、できれば柱が少ない1階の店舗。大型の冷蔵庫や冷凍庫が必要なので、動力電源が引き込まれていること。もしなければ、引き込み工事に何ヶ月もかかるので、工事にかかる時間やコストが障害になる。さらに配送効率を考えると、店舗前に、10台前後のデリバリー用の自転車やミニバイクを停めて置ける、スペースがあることも重要だ。

こうして考えると、一見手軽そうに見えて、大きな資金力が必要なことは明白だ。OniGOは今年に入って新たに7.2億円の資金を調達。これで資金総額は11.8億円に達している。「店舗展開だけでなく、市場と拠点の間に倉庫機能としての集中センターなども必要になるでしょう。幸い、お客様の反応はすこぶる良好ですので、これからが本格的な勝負ですね。」(山本氏)

米国・英国・ドイツ・中国など、海外の先行市場に比べて、まだまだ伸びしろのある日本のマーケット。日本発のQコマース企業がどこまで伸びるか、その発展を期待したい。

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上記内容は BZ空間誌 2022年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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