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クーパンジャパン合同会社|コロナ禍で激変!小売業の新潮流―広がるダークストア

アジア最大級のEコマース企業が そのテクノロジーを活かして展開する
クイックコマースビジネスの独自性

クーパンジャパン合同会社
物流事業部 本部長 山田 勝彦

韓国が世界に誇るEコマースサイトを展開するクーパン。その同社が2021年6月、東京・品川区にクイックコマース(以下Qコマース)のダークストアの日本1号店をオープンしサービスを開始、さらに同年9月には目黒区に2号店を誕生させた。最短10分で自宅まで届けるという利便性と、スーパーマーケット並みの圧倒的な品揃えで市場に乗り出した同社のサービスに注目が集まっている。同社の日本進出の経緯と、今後の事業展開における課題と展望を訊いた。

クーパンジャパン合同会社  物流事業部 本部長  山田 勝彦氏

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韓国最大手のEコマース企業が 日本で展開するQコマースとは

クーパンは2010年、韓国においてキム・ボムソク氏によって設立された、アジア最大級の規模を誇るEコマース企業の1つである。取扱商品はまさに多岐にわたり、Amazonをイメージするとわかりやすいだろう。2018年にはソフトバンクから20億米ドルの投資を受けて事業を拡大し、さらに2021年3月にはニューヨーク証券取引所に上場し、数千億円の資金を調達した。現在では、韓国:ソウル本社のほか、中国の北京や上海、米国のロサンゼルスやニューヨーク、シアトルなどにもオフィスを構えている。

クーパンのミッションは「クーパンなしには生活できない」。その言葉通り注文の当日、あるいは翌日には荷物が届くロケット配送を最大の武器とするEコマースの運営に加え、シンプルな決済サービスを提供するクーパンペイ、動画配信サービスを手掛けるクーパンプレイなど、様々なサービスを展開しており、年間収益は40億米ドルを超える。

そして昨年4月、アジア市場に進出する第一号として、日本法人であるクーパンジャパンを設立し、6月よりわが国でも事業を開始した。同社が提供するのは、食品や日用品を、注文から30分以内で届ける、Qコマースと呼ばれる領域だ。スマホの専用アプリを通じてオーダーし、カード決済が済めば配達される仕組みだ。「日本は共働き世帯が多く、ニーズはあるはずなのに、ネットスーパーなどのEC化率が低い。子供が小さい家庭で買い物が大変な時に、スマホをタップしただけで、生鮮食品が短時間で届くのですから、お客様の課題を解決する価値は大きいでしょう」。同社の物流事業部本部長である山田勝彦氏は、日本進出の経緯をこう説明する。本社を構えるのは東京・目黒区青葉台、1階にダークストア2号店が入居するビルの2階だ。近隣住民の所得と子育て世代の多さから割り出した結果だという。

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スピードと品揃えの多さで勝負する クーパンジャパン独自のサービス

同社のサービスには大きな特徴が2つある。1つは配送のスピードで、注文が確定してから、最短10分で自宅に到着する。実際、ツイッターで検索するとユーザーからの、驚きの体験談がいくつも出てくる。

もう1つは品揃え。一般的なコンビニエンスストア1店舗当たりの取り扱いアイテム数が、概ね3000点と言われているのに対し、クーパンは5,000~6,000点と、中規模の食品スーパーに匹敵する商品がストックされている。一般的なコンビニエンスストアより少し大きい程度の面積の、倉庫と実店舗を兼ねたダークストアの棚には、商品が整然と並んでいる。これだけの品数を欠品がないように管理するには、大本である入出荷センターから、高い頻度での補充が必要。この拠点間の物流をいかに効率的に、スピーディーに実現するかが重要であることは言うまでもない。この2つのポイントこそが、クーパンが提供するQコマースの、競争優位性の源泉と言えるのだ。

ダークストア内で働くスタッフは、概ね2職種に分けられる。オーダーされた商品を袋に詰めるピッカーと、それを電動アシスト付きの自転車で配送するライダーだ。中でもライダーは、唯一、消費者と直接的に接するサービサーなので、その質がサービスの評価に直結する。そのため、ライダーはギグワーカーではなく、ライダー専門会社とパートナーシップを組んで洗練されたスタッフを揃えている。そのため、配達する瞬間まで商品を安心・安全にお届けできる。

さらに同社では、商品の清潔さにもこだわっている。スーパーでは、お客が生鮮食品を選ぶときに、あれこれ触ることは珍しくない。だがコロナ禍にあって、それを不潔だと感じる消費者が増えているのも事実だ。同社では、ピッカーが野菜をピッキングする際には手袋をするなどした上で、在庫の中から状態がいいものを紙袋に入れて、配送するライダーに手渡す。つまり口に入れる商品には一切、直接触れることはないのだ。割れやすい卵などは別包装にする。つまり消費者が選ぶ視点をサービスに取り入れているのだ。もちろん、冷凍、冷蔵、常温の商品の温度管理も、頻繁にチェックしている。「昨年にサービスを開始してから、お客様からのご評価も高く、一定の需要はあると感じています。生産者から、拠点を通して消費者まで、清潔を保った物流チェーンを構築していることが、クーパンのQコマースの新しい魅力として、認知されている証でしょう。今後も、お客様の課題をいかに早く解決できるかが、さらなる発展にとっての重要なテーマでしょう」(山田氏)。

先に述べたとおり、クーパンは巨大ECサイトを運営するテクノロジー企業であり、韓国、日本に加え、台湾にもほぼ同時期に進出している。サービスに関するテクノロジーの土台は共通なので、あるマーケットで求められるサービスを、他国にも短期間で導入できる即時性も、同社の強みと言えるだろう。

加えて今年3月からスタートしたのが、地元のショップとパートナーシップを結び、パンや総菜を同時に配送するサービスだ。消費者に対する商品のバリエーションを増やすだけでなく、地域店舗の発展に寄与することで、共存を図ろうとするものだ。

さらに今年6月には、髙島屋との提携、大創産業との提携を開始し、髙島屋が取り扱う高級食品や、「DAISO」が取り扱う人気商品や便利グッズの取り扱いを開始した。

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課題はダークストア用物件の数点ではなく 面の広がりが重要

同社の注文受付時間は8:00~23:00。現在は品川・大田・目黒・渋谷の各区でサービスを展開している。今後も東京23区内に積極的に出店する予定だが、その中で課題となるのがダークストアを出店できる、物件が少ないことだという。コンビニエンスストアやスーパーと違って、表通りに面した人通りが多い立地である必要はない。だが、2トンあるいは4トンのトラックでの着車・搬送ができること。配送用の自転車を10台前後、常時、店前に駐輪しておける事など、制約が多いという。

また、日本のインターネット決済の方法はクレジットカードが主流であるため、キャッシュレス化が社会的に浸透している韓国と比較して、カード情報の入力など、ハードルが高いのも事実だろう。「昨今、拡大しつつある電子決済は、日本社会全体が抱えるEC化率の伸び悩みを徐々に解決していくと考えています。ダークストアの展開に当たっては、商品入荷センターからストアへの配送効率を考えると、飛び地ではなく現在の店から徐々に広げていくのが正しい方法でしょう。当社の意思決定のスピードはとても速いので、お客様の反応やフィードバックなどを重視して、柔軟に変化に対応していきたいですね。」(山田氏)。

急速に広がり始めたQコマースが日本社会にどこまで浸透するか、その鍵を握るのは韓国企業のクーパンかもしれない。

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上記内容は BZ空間誌 2022年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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