いまだかつて見たことがなかった、ゴールデンウィークの人影まばらな銀座、原宿、渋谷の風景。世界中のあらゆる都市で人々は人込みを避け不要不急の外出を避け、1ヶ所の例外もなく、繁華街の店舗はなんらかの被害を被ったはずだ。リテールが、新型コロナウイルス(COVID-19)による影響が特に深刻なセクターであることに疑う余地はなく、長期にわたるショッピングモールの休業や店舗営業期間の短縮、消費者心理そのものの悪化や売り上げの多くを占めてきた観光客の減少によって、すでに多額の収益を失っている。はたして、新型コロナはどれほどの影響をリテール不動産マーケットに与え、そして今後どうなっていくのか。今号の店舗マーケット情報では、CBREリサーチのレポートから、最新の東京店舗マーケットの最新の状況と、日本に先行してCOVID-19の影響を受けたアジア各国、特に中華圏における、感染下や感染収束直後の対策、ポストコロナのリテール不動産市場への見解を紹介する。
※ 2020年7月に発表されたものです。
新型コロナウィルス感染拡大 市場概況と今後の見通し
- 売上減少に伴い既存店舗の賃料減額を要請するテナントが散見されている。
- 決裁権者が欧米にいる海外ブランドを中心に、入居申し込みのキャンセルや検討の中断がみられる。
- ただし、感染拡大を契機とする退店は、感染拡大前から業績が芳しくなかった一部のリテーラーに限定されている。
- 一方、好立地で賃料に値ごろ感のある物件では、複数の国内ブランドや、感染拡大が収束しつつある中国のブランドから申し込みが入る事例がある。