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通勤コストシュミレーション

「見えざるコスト」のの定量的比較を実現し
ファシリティ・マネジメントの効率を改善

シービー・リチャードエリス株式会社
東京本社 企画管理本部 情報企画管理部
梅田 太郎

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思いのほか影響の大きい移転による通勤費の変動

当社では、2005年より「通勤コストシミュレーションシステム」というサービスを提供しています。このサービスは、(1)オフィス移転により変動する経費である、通勤費(定期代)総額の算出、(2)社員の居住地域や営業先である顧客を勘案した、時間・コストの両面で最適となるオフィス立地の検証、の2点についてシミュレーションできるシステムです。

一般にオフィス移転の際には、保証金の預託や、引越費用、内装・通信電気工事費、旧オフィスの原状回復費といったイニシャルコスト、そして、移転後のオフィス賃料、共益費や水道光熱費、通勤や顧客を訪問するにあたっての交通費といったランニングコストが変動要素として考えられます。中でも、最も大きな比重を占めるオフィス賃料に関しては、どの企業もできれば現状より安く、あるいは高くなってもその比率をできるだけ抑えたいと考えるでしょう。当然、最もコスト意識が高まる点です。

当社では、事業用不動産の賃貸及び売買の仲介業務、不動産マーケットリサーチをメイン業務としていることから、オフィス賃料の比較検討に用いるコストシミュレーションは、かなり以前から行ってきました。また、水道光熱費等は実際に使ってみなければ分かりませんが、ビル毎の単価ベースの比較は可能であり、これも従来から行ってきたサービスです。残る変動要素が社員の通勤費・営業交通費。オフィスの最寄り駅が変われば交通費も変わるわけで、この点に着目してみたのです。

まず、自社の経費を例に試算してみると、諸々のコストが人件費などを含めた経費全体に占める割合は、オフィス賃料が7.4%、管理費が0.2%、水道光熱費が0.4%に対して、通勤定期代が1.6%となっていました。これを、移転で変動するコストのみで算出し直すと、通勤定期代は17%となり予想以上に大きな割合を占めていることが分かります。企業により多少割合は違うでしょうが、通勤コスト変動の影響はかなり大きいだろうと予測できました。これは、月額賃料における坪単価500円、1,000円レベルのコストダウンを、相殺してしまうこともあり得る水準。コストダウンを狙ったはずの移転なのに、結果的に高くなることもあるのです。しかも、通勤費はランニングコスト。継続的に負担されるものです。

移転コストというと、まずは賃料、そしてイニシャルコストに目がいきがちですが、実際には、思っている以上にランニングコストの比重が大きく、この点を加味した総額で考えるべきなのです。こうした変動コストをケアできるソリューションを提供しようとしたことが、当システムの開発のきっかけでした。

GISと路線検索システムの有機的なコラボレーション

システムの概要を簡単に説明すると、GIS(地図情報システム)と全国の鉄道路線検索ソフトの機能を組み合わせたものです。GISは、当社が取り扱う全物件データをプロットするシステムとして、5年程前から保有、運用を進めていました。駅データについては、路線検索ソフト「駅すぱあと」で有名なヴァル研究所に依頼。共同開発により、駅間の距離と時間をn対nで対応させる仕組みを作ったのです。

例えば社員の住居の最寄り駅から、オフィスがある東京駅に通うという場合に、各駅から東京に通うのにかかる時間と、運賃・通勤定期代を計算する方法を最初に考えました。

本来なら、これだけで基本となる通勤コストシミュレーションは成立するわけですが、実際にはかなりの企業で、通勤定期として購入される駅の区間を把握していないのが現状でした。居住地の最寄り駅を指定できないと、どこからどこまでという区間の特定ができません。そこで、居住地の最寄り駅を特定するため、GISを活用したのです。

GIS上で駅のXY座標を特定し、それとは別に、社員の住所データをXY座標に変換するためのツールを開発。その2つを合わせることで最寄り駅を検索する仕組みを作りました。これにより、駅までの徒歩時間を加味することも可能で、また、個人情報の保護といったことから詳細な住所データが得られない場合でも、大まかな所在地(何丁目まで)や郵便番号から、おおよその検証ができるようにしています。

この日本初となる通勤コストシミュレーションシステムは、04年12月にプロトタイプが完成し、好評だったことから05年7月よりサービスの本格稼働の運びとなりました。

ケーススタディによる通勤コスト変動の定量化

このシステムを利用することで、全従業員の住居の最寄り駅から終点であるオフィスの最寄り駅までの運賃や、1ヵ月・3ヵ月・6ヵ月の定期代はもちろん、乗換回数、所要時間、経路、距離が算出できます。移転を検討する際に、現在のオフィスと検討しているオフィスのデータを比較することで、コスト変動、ワーカーの通勤時間変動がどれだけあるかを、短時間のうちに検証することができるわけです。

また、平均通勤時間を割り出すことにより、どれだけの人が平均以上か、あるいは以下かを地図上にプロットしたり、定期代と所要時間を指数化し、その合計ポイントを比較することで、最も合理的なオフィス立地を導き出すこともできます。切り口としてはさらに、例えば役職者に比重を置いた加重平均をかけるといった、データの抽出も可能です。

一例として、当社の従業員データを使った試算をご紹介しましょう。現在の浜松町本社の場合、平均片道通勤時間は45分、1ヵ月の定期代の総額は408万2580円となっています。仮に東京駅に移転すると、平均所要時間は43分に短縮され、定期代も391万310円となり、1ヵ月で17万円強、年間では約200万円のコスト削減となります。さらに、最も通勤コストが安いと算出された渋谷に移転すれば、所要時間は45分と変わりませんが、定期代では374万9360円となり、月総額で約33万円、年間では約400万円の削減となります。したがって、仮に社員1人が2坪の面積を使うとすると、オフィス賃料が現在より坪当たり650円高くなっても、コスト削減が可能になることがわかります。

こうしたデータは、あくまでもシミュレーションであり、データ上の定期代と実際の定期代が必ずしもイコールとは限りません。なぜなら、システムに組み込まれていないバスの利用や、健康のため1駅間歩く、家から少し遠くても急行が止まる駅を利用しているといった理由で、最寄り駅で定期を購入するとは限らないからです。ですが、現実の経費とデータ上の経費の差を割り出し、候補地データにもその数値をかけることで、ブレを補完することができるようにしています。

ファシリティ・マネジメントのニーズに合わせ、多様な活用方法が

これまで当社、及び関連会社の生駒データサービスシステムでは、同サービスを最適な物件選びの手助けやファシリティ・マネジメントのツールとして提供し、多くの企業にご活用いただいてきました。最も多く利用されるケースは、移転時の物件選定に際する明確な理由付け、社内調整の裏付けデータとしてでしょう。特に外資系企業では、アカウンタビリティが重視される傾向にありますから、活用されることが多くなっています。

企業規模については50~3,000人規模まで多様で、業種等の傾向も特段は見られません。利用の目的も様々です。一例を挙げると、ある企業では、M&Aに際し合併される企業の社員のモチベーションを考慮して、新オフィスを自社と相手企業との中間点にしたいといった要望がありました。これは、コスト的な意味合いというよりも、M&Aに伴う移転において両社の社員の負担を定量化し、なるべく平等な拠点を構築したいといったものでしょう。

また、通勤以外の視点でも、営業拠点の統廃合に際し、顧客企業の所在地を訪問するのに最適なエリアの選定に活用したケースや、ある自治体が相談窓口の出先機関の開設に伴い、管轄するエリア内のすべての駅をピックアップして、人口分布からその駅を利用する地域住民数を推定し、最適な駅を割り出した事例もあります。加えて、昨今活性化している不動産投資に対して、例えばコールセンターを設置するにあたり、どの駅なら人を集めやすいか、あるいは資産としてのポテンシャルが高いかといった、投資のバックデータとしてご活用いただいたこともあります。

不動産投資や賃貸オフィスの選定では、一般論としては漠然とターミナル駅がよいと思われるでしょう。しかし、その明確な裏付けが必要な時、及ぼされる影響を定量化し、検証することができるのが、当シミュレーションをご利用いただくメリットといえます。

見えない、あるいは気に留めていなかったランニングコストを形にする、この「通勤コストシミュレーションシステム」。より多くの企業でファシリティ・マネジメントの推進にご活用いただければ幸いです。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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