昨今、企業は事業分野のさらなる拡大や専門性の向上、高度な人材の確保を目的として、研究開発環境の整備をますます求められています。こうした背景のもと、R&D施設の在り方も大きく変化しつつあります。
このたび、細胞療法等製品の開発製造に関する革新的な技術を有する米国企業Cellares社のご厚意により、CBRE Japanのアドバイザリー、オフィス担当者が、同社がニュージャージー州に開設した最先端ラボ施設を日本での施設展開に先駆け、見学させていただきました。
本記事では、Cellares社のラボ担当者へのインタビューと、CBRE Japanの営業担当者による見学レポートを通じて、最先端R&Dの今をお届けします。
ご協力いただいたCellares社について
Cellares社 (セラレス)は、細胞療法等製品の製造を自動化・統合する「世界初の統合開発製造機構(IDMO)」を有する米国のバイオテック企業です。 同社の技術により、対象製品の効率的かつ大規模な生産が可能となります。 本社はカリフォルニア州サウスサンフランシスコにあり、商業規模のIDMOスマートファクトリーはニュージャージー州ブリッジウォーターに設置されています。
ニュージャージー州 IDMOスマートファクトリー
| 所在地 | 95 Corporate Drive, Bridgewater, NJ |
|---|---|
| 開設 | 2024年1月 |
| 面積 | 118,000平方フィート(約11,000㎡) |
| 雇用創出 | 約350人 |
| 製造能力 | 年間40,000バッチ(7日間の自家細胞プロセスベース) |
Cellares社ご担当者様にインタビュー
CBRE:Cellares社IDMOスマートファクトリーの特徴を教えてください。
Cellares担当者:Cellaresは、世界初の統合型開発・製造機関(IDMO)および品質管理機関(QC)であり、再生医療業界における製造上のボトルネックに対応するために、インダストリー4.0の概念を導入しようとしています。 具体的には、Cellaresは自社の技術スタック(Cell Shuttle™およびCell Q™)をIDMOスマートファクトリーにグローバル展開することで、命を救う再生医療へのアクセスを加速させることを目指しています。 CellaresのIDMOスマートファクトリーの差別化要因は、技術スタックの統合とその機能に加え、サプライチェーン全体と患者の治療プロセスの統合にあります。 患者のアフェレーシスが当社の倉庫に到着してから、最終的な医薬品が梱包されて臨床現場へ輸送されるまで、当社の業務システムとプロセスは技術スタックの処理能力とスループットに合わせて設計されています。 これにより、スマートファクトリーはバランス良く、目的に応じて構築され、IDMOパートナー企業が再生医療に関する患者の総合的な需要に応えることが可能になります。
CBRE:ご担当者様が日本とアメリカのR&D施設の違いを感じた点はありますか?
Cellares担当者:我々が日本のIDMOスマートファクトリーの立地選定プロセスにおいて特定した違いはいくつかあります。 大きな違いのひとつは、商業規模の細胞療法製品製造を支えるためのブラウンフィールド(既存施設)ロケーションの選択肢が限られていることでした。 日本の多くのブラウンフィールド施設は、小規模で従来型の研究開発(R&D)ラボ活動に適しており、米国で見られる高スループット・大容量製造が可能な物件ではないことがほとんどでした。 また、日本の施設に特有の要因として、米国のIDMOスマートファクトリーのようにすべての細胞療法製品等製造を1フロアで行うのではなく、複数階にわたる建物で製造能力を持つ必要がある点が挙げられます。 これらを総合的に考慮し、Cellares社は日本において、学術機関、バイオテック企業、製薬企業の細胞療法製品等製造ニーズに応えるために、信頼できるパートナーと連携して、目的に合ったグリーンフィールド(新規開発)施設を構築する必要があると判断しました。
CBRE:Cellares社がR&D施設に求める性能(設備面、アクセス、行政の規制など)はどんなものでしょうか?
Cellares担当者:我々がグローバル展開の選択肢を検討する中で、米国外で初となるIDMOスマートファクトリーの立地選定にあたり、包括的な評価フレームワークを活用しました。 このフレームワークでは、以下のような複数の要素が重要視されました。
- 再生医療エコシステムにおける全体的な強度
- バイオ医薬品分野の人材へのアクセス
- バイオ医薬品のイノベーションを支える強固なビジネス・規制の枠組み
- ロジスティクス(物流)インフラ
- 患者中心の医療体制
施設インフラの観点においては、患者のニーズに応え、命を救う細胞療法製品を製造するために、重要なユーティリティへのアクセスを含め、当社の技術スタックを24時間365日稼働させることができる施設を求めていました。これらの要素を総合的に考慮した結果、日本の千葉県にIDMOスマートファクトリーを設立することを決定しました。
CBRE:今後、日本での研究開発施設が目指すゴールはありますか。
Cellares担当者:日本におけるIDMOスマートファクトリーは、当社のIDMOスマートファクトリーネットワークの戦略的なグローバル展開の一環であり、IDMOパートナーが細胞療法に対する患者の総需要に応えられるようにすることを目的としています。 この施設内では、Cellares社のCell Shuttle™およびCell Q™プラットフォームを導入し、年間数万件の細胞療法製品等を製造する予定です。これらは、血液系および腫瘍性疾患、自己免疫疾患など、複数の臨床適応症の治療に活用される可能性があります。 最終的に、日本のIDMOスマートファクトリーは、統合された技術、システム、業務プロセスを活用することで、現在の細胞療法製品製造および品質管理(QC)試験におけるボトルネックを解消し、命を救う再生医療へのアクセスを加速させる上で重要な役割を果たします。
CBRE:弊社との協業についての感想をいただけますと幸いです。
Cellares担当者:CBREチームは、日本における当社初のIDMOスマートファクトリーの構築を実現する上で、これまでも、そしてこれからも、かけがえのないパートナーです。 CBREのリーシングチームは、当社のプロジェクト要件を満たす候補地の選定、現地視察の調整、信頼できるプロジェクトパートナーやデベロッパーの紹介、そして開発・賃貸契約交渉の主導において、極めて重要な役割を果たしました。 同時に、CBREのプロジェクトマネジメントチームは、日本での事業立ち上げに際し、現地での貴重なサポートを提供し、IDMOスマートファクトリーの構築成功に向けて尽力してくれています。 CBRE日本チームは、プロジェクト初日から当社のミッションを全力で支援してくれています。ありがとうございました。







