自社ビル / 賃貸オフィス 比較表
メリット | デメリット | |
自社ビル | ・トータルの支出が少ない ・賃料の値上げ交渉ができない ・不動産担保の取得 ・仕様上の制約が無い ・会社の格が上がり信用力向上 |
・初期投資費用が大きい ・移転がしにくい ・借入金返済が困難になる可能性がある |
賃貸オフィス | ・初期投資費用が抑えられる ・オフィスの移転がし易い |
・トータルの支出が多くなる ・仕様上の制約がある ・賃料の値上げ交渉の可能性がある |
※資金調達以外の自社ビル/賃貸オフィスのご判断についてもお気軽にご相談ください。
言うまでもないことだが、企業が拠点を構えるにあたっては、土地・建物を自らが所有する「自社ビル」と、ビルオーナーから賃借する「賃貸ビル」という、大きく二つの選択肢がある。いずれもメリット・デメリットがあるのは容易に想像できるが、実はこれまで、データでこれを示したものはあまり見られなかった。今回、「自社ビル事情&賃貸ビル事情」と題し同テーマを取り上げるにあたり、参考として東京本社の上場企業の状況を調査し、まずはその一部を右に表してみた。
「東京23区内に本社を置く上場企業1,720社のうち、本社が自社ビルの企業は26%」「自社ビル割合が高い業種のトップ3は、食料品、機械・電気機器、建設」「逆に賃貸ビル割合が高いのは、情報通信、サービス、金融」等々、グラフから読み取れることは数多い。また、「自社ビル本社の企業が、まだ1/4にも及ぶのか」「なぜ食料品メーカーの自社ビル率が高いのだろう」「金融業の自社ビル率はもっと高いと思っていた」という驚きや疑問もあるのではないだろうか。このデータは、あくまで東京所在の上場企業本社に限ったもので、決して法人全体を示すものではないが、その傾向には、やはりそれなりの理由が挙げられる。本稿、次章以降をご覧いただく前に、ぜひ一度、その背景を考えてみていただきたい。
そして昨今、自社ビルから賃貸ビルへの移転が、活性化してきているのは事実だろう。「自社ビル→賃貸ビルの主な事例」に記した上場企業本社の移転ケースはもとより、自社ビルを売却して賃貸ビルへ移転するといった話や、弊誌「賃貸不動産市場、その動向と相場」で全国各地の市況を見ても、「郊外の自社ビルから、都心部の築浅・好立地なビルへ移転」といった事例が多々取り上げられている。
数年前、会計制度や企業評価のグローバル化や資産効率のアップ、キャッシュフロー改善の観点から、セール&リースバック(ビルの継続使用を前提にいったん売却し借り戻すこと)が数多く行われた時期があったが、今回の動きはそれとは別に、より実務に即した動向のように感じられる。本稿では、これら自社ビル・賃貸ビルを取り巻く状況と、自社ビルから賃貸ビルへの移転ノウハウを、それぞれCBREのプロフェッショナルが解説する。