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先進物流都市へと変貌しつつある福岡から考える日本の未来戦略

CBRE株式会社 アドバイザリー&トランザクションサービス インダストリアル&ロジスティクス シニアコンサルタント 伊藤憲一

私たちの暮らしになくてはならない社会インフラの一つ「物流」。

経済活動の始点である「生産」と終点である「消費」の間を繋ぐこのシステムによって、私たちの暮らし、そして日本、世界が支えられていると言っても過言ではありません。

つまり、物流を考えることは、私たちの未来を考えることになります。

この連載では、世界100カ各国以上で事業用不動産サービスを展開するCBREグループの日本法人であるシービーアールイー株式会社が、日本国内の注目すべき物流用不動産をご紹介し、そこから見える私たちの未来を考えていきます。

連載の第二回目は、「日本のシリコンバレー」とも呼ばれる福岡の最新物流事情、そして見えてきた「先進物流都市」としての未来について話を聞きました。

労働人口減による経済の衰退という明日が見えている日本において、福岡の躍進は未来を照らす希望の光となるでしょうか。

伊藤憲一

シービーアールイー株式会社(CBRE)
アドバイザリー&トランザクションサービス
インダストリアル&ロジスティクス
シニアコンサルタント

CBRE株式会社 アドバイザリー&トランザクションサービス インダストリアル&ロジスティクス シニアコンサルタント 伊藤憲一

中途でCBREへ入社し15年、現在に至るまで物流業務に従事。2020年より、福岡支店物流賃貸仲介部門の責任者を務める。福岡を始め九州他県の担当も経験。物流はもとより工場誘致も実績あり。

商人の街、福岡がもつ寛容さ

― 今日はよろしくお願いします。近年、福岡の発展が目覚ましいですが、その根底にはどのような理由があると思われますか?

伊藤:そうですね。たしかに福岡はここ数年で大きく成長したと思います。海外・国内のスタートアップが日本の拠点として 福岡を選んだり、また台湾の半導体大手TSMCが隣県の熊本に工場を建設したりと、活発な動きがあります。

その理由は2つあると考えています。1つは、地の利があることです。福岡から東南アジア圏が非常に近いことは地図を見るとわかりますが、実は福岡-東京間よりも近いんです。なので、TSMCの例を始め、アジア圏から企業が進出しやすいですし、貿易的なやりとりもスムーズに行なえます。

もう1つは、福岡が商人の街であるということでしょう。あまり知られていませんが、福岡市は政令指定都市としては唯一、一級河川を持っていません。そのため、大量の水を必要とする工業があまり発展しなかった一方、伝統的に商業が栄えてきました。商人の街なのです。

また、人柄としても柔軟性に富み、新しいものを受け入れることに抵抗が少ないという特徴があります。だからこそ、海外から進出してくる企業も受け入れられやすく、日本の拠点として福岡を選ぶという選択肢が自然と出てくるのかもしれません。

― 日本の半導体産業がもっと元気だったころ、九州はその中心地でした。そこへ台湾企業であるTSMCが半導体工場を新築するという流れは、地元ではどう受け止められていますか?

CBRE株式会社 アドバイザリー&トランザクションサービス インダストリアル&ロジスティクス シニアコンサルタント 伊藤憲一

伊藤:もちろん歓迎していますよ。先ほど申し上げたように福岡は水に恵まれていませんが、熊本には阿蘇の水がありますし、もともと1960年代ごろから半導体工場があった土地でもあります。

地理的にも福岡の中心部から遠くないので、熊本はもちろん、福岡をはじめとした九州全体がより活気づいてくるでしょうね。

福岡がこれから迎える「物流の新陳代謝」

― モノの生産が盛んになるということは、物流のニーズも高まっていくと思いますが、今後はどのような動きがあると考えられますか?

伊藤:実はこれまで、福岡は賃貸用物流施設の充実度という観点から見ると国内の他の地域に対して一歩遅れている状態でした。

日本中にある大型倉庫は、工場の跡地などもともと整備された大きな土地を利用して作られていることも多いのですが、さきほどもお話ししたように福岡ではそういった工場が発展してきませんでしたから、そもそもその跡地と言ったような土地が少ないのです。

小さな倉庫が点在していますが、ハブになれるような大型倉庫は数が限られています。

― たとえば博多湾の「アイランドシティ」などは、ハブになりうるサイズ、立地だと思いますがいかがですか?

伊藤:確かにそうなのですが、逆に言うと「そこしかなかった」という面もありますね。過去にはアイランドシティは立地としての評価が低く、新聞などでは「博多湾のお荷物」なんて書かれていたこともありますが、今では価値が高まって昨年ごろから非常に高い土地価格での取引が相次いでいます。

これは福岡をとりまく物流事情において非常にエピックな話題です。お荷物とまで言われたアイランドシティにニーズが生まれているということは、それだけ福岡をハブとした物流にニーズが高まっているということを示しています。

― では今後、倉庫などの物流拠点は充実していくのでしょうか。

CBRE株式会社 アドバイザリー&トランザクションサービス インダストリアル&ロジスティクス シニアコンサルタント 伊藤憲一

伊藤:今まさに、私たちの方でも手を打っているところです。福岡にある倉庫は非常に古いものが多いので、その刷新を促しています。

いま、最先端といわれる倉庫にはいくつかの条件があります。働く人が快適であること、さまざまな荷主のニーズに応えられる設備を持つこと、DXを前提とした設計になっていること、などです。

― 具体的にはどのような変化が求められているのでしょうか?

伊藤:まずは古い倉庫業が持つイメージを刷新して働き手を集める必要があります。働く人のために空調を設置したり、休憩室、コンビニ、食堂、託児所など従業員向けのサービスも充実させて「働きたい」と思えるものにしなくてはなりません。幸い、福岡は若い人が多いですから条件さえ整えば働き手は確保できるでしょう。

次に、冷蔵・冷凍設備や防塵設備など荷主に合わせた設備投資も必要です。ECにまつわる物流は年々盛んになっていますので、食品を扱える倉庫を持てばそれだけ倉庫の利用価値は高まりますし、半導体を扱えるレベルの防塵設備を持てば、これから急成長することが見込まれる半導体ビジネスと一緒に倉庫業も成長することができます。

そしてさらに、ロボット動線を確保しやすいよう倉庫内の柱を少なくするなど、省人化・自動化を前提とした設計も大切です。どのような荷主の荷物を扱うにしても、DXによる効率化は利益を最大化するためには欠かせません。

そういったことを啓蒙するセミナーなどは弊社でも行っています。今まさに、福岡の倉庫業は新陳代謝の時を迎えていると言えるでしょう。

九州全体が先端物流網でつながる未来

― 九州最大のハブである福岡の物流施設が進化することで、九州全体の物流の質的・量的な向上も見込めると思います。その点について、どのようなビジョンをお持ちですか?

CBRE株式会社 アドバイザリー&トランザクションサービス インダストリアル&ロジスティクス シニアコンサルタント 伊藤憲一

伊藤:九州全体に目を広げると、大都市であり空港、港湾を持つ福岡市が最大のハブであることは間違いありませんが、そこから九州縦貫自動車道を南下していくと陸の大ジャンクションである佐賀県鳥栖があり、さらに南下すると半導体工場を持つ熊本県です。

まずはこの「縦のライン」の充実がみえてくると思います。

そこから、京セラが新工場を建設予定である鹿児島をはじめ、佐賀、宮崎、そして北九州市が繋がっていけば九州全体をカバーする一大物流網を構築することができるはずです。

― 具体的にはどのような施策が求められているのでしょうか?

CBRE株式会社 アドバイザリー&トランザクションサービス インダストリアル&ロジスティクス シニアコンサルタント 伊藤憲一

伊藤:福岡市と鳥栖を中心とした物流網の周辺地域を開発していくことで、より強いネットワークを築くことが必要です。実際、もともと人気のあった鳥栖エリアでも倉庫の供給が追いつかずに近隣市域にも開発が広がっていますし、鳥栖と福岡を繋ぐ筑紫野IC近辺にも新たな倉庫が作られています。

弊社では、こういった物流施設のニーズがありそうな土地を開発して工業団地、物流団地を作るプロジェクトも進めています。あくまでも不動産仲介業を主業とする弊社において、福岡支店が積極的に取り組み、成功事例もあるユニークなプロジェクトです。

福岡エリアで物流適地となりそうな耕作放棄地と言ったような土地を持つ方々とお話をして、近隣一帯の開発を打診しています。大きな土地を確保できますから、そこへ先ほどお話ししたような最先端の物流施設や工場が建てば、九州の物流網はより充実していくでしょう。こういった事業がスムーズに進められるのも、福岡という土地柄、そこに住む人々の人柄のなせる業かもしれません。

― 倉庫の供給量はこれからも増え続けそうですね。

伊藤:これからもそうですし、現在進行形でもどんどん倉庫物件は供給され続けていますが、2021年に竣工した3棟はいずれも満室稼働し、空室率はゼロ。今年2022年に9.3万坪の供給がありますが、引き合いは順調で満床に近い状況になってきました。

TSMCの進出、その他日本企業の新工場設立など大きなトピックが続いたことも追い風となって需要は増す一方です。その需要に追いつくよう「伸びしろ」となっている土地の開発を進めていくことができれば、九州全体の物流が大きく変わるはずです。

お互いの強みを活かし合う「寛容さ」が日本発展のカギに

CBRE株式会社 アドバイザリー&トランザクションサービス インダストリアル&ロジスティクス シニアコンサルタント 伊藤憲一

― 福岡を中心とした九州全体を物流という観点から見ることで、その未来が明るいことがよく分かりました。日本全体をより元気にするために、私たちはここから何を学ぶべきでしょうか?

伊藤:強みを活かしながら、新しいものを拒まずに受け入れていくというのが大切かもしれません。福岡は、ここまでお話ししてきたように隣県に鳥栖を持つ佐賀県、半導体工場を持つ熊本県があります。

さらに、日本でもまれな都市型国際空港である福岡空港があり、港湾があり、東南アジアへのアクセスが良いという地の利も持っています。

しかし、地の利はそれだけで利益を生んではくれません。これらの強みを活かせたのは、新しいものを柔軟に受け入れるマインドがあったからでしょう。

新しく倉庫を作ろう、工場を作ろうというときに拒絶反応があまり出ません。どんどんやっていこう、というマインドが根底にあります。

さらに加えて、九州全体で手を取り合って発展していこうという流れもあります。福岡と佐賀、福岡と熊本が共に手を取り合ってお互いの発展を支え合っているんです。

双方のメリットを尊重し合うからこそ、どちらも成長できる。そういった互恵関係が全国に広がって、それぞれがもともと持っている強みを活かしていくことができれば、日本全体としてもきっと成長できると私は思いますね。

― 今日はありがとうございました!

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