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景況アンケートから探る

国税庁はこの8月1日に、2006年(平成18年)分の全国約41万地点における標準宅地の平均路線価が、1m2当たりで前年比1,000円増、0.9%上昇の11万4000円と、14年ぶりに上昇したことを公表した。昨年、13年ぶりに上昇した東京に加え、大阪、愛知、京都、千葉の4府県でプラスに転じ、地方も下落傾向ではあるものの、下げ幅を大幅に縮小している。昨年9月発表の基準地価(都道府県調査)、今年3月発表の公示地価に続き、地価の指標が発表されるたびに、上昇基調が鮮明になっている。

これら指標に頼るまでもなく、全国各地の活況ぶりは、当社仲介営業の現場からも伝えられている。不動産取引価格の上昇は言うに及ばず、賃貸オフィスビル市場においても、新規出店や拡張移転ニーズの増加、逼迫する需給バランス、そして需要を集める一部地域のハイグレードビルでは、すでに賃料上昇の動きさえ見られるようになっていると聞く。

こうした市場の動向が明らかになるにつれ、日増しに高まるのが「これは本物の好景気なのか」「バブルではないのか」といった声だ。確かに、ほんの数年前まで「路線価の○掛けでも土地が売れない」「大量供給されたオフィスのほとんどが余るのでは」といわれていたのだから、その変貌ぶりに戸惑うのも無理はない。10年以上もの長期にわたり沈滞した市場が続き、今日の不動産に携わる主力プレイヤーの中で、80年代後半のバブルを知る人は、いったいどれくらいいるのだろうか。過去を知らない世代は、驚きとともに、昨今の市場を捉えているであろう。また、かつてのバブルを知る人は知る人で、身を潜めて時を窺っていた不動産ブローカーが「流れが来た!」とばかりにうごめき出すのを見れば、「バブル」との声が上がっても、決して不思議ではないだろう。

そこで弊誌では、6月発行の夏季号に同梱したアンケートに「現在の市況を、"バブル"だと思いますか?」との問いを設け、広く意見を募集した。ご回答いただいたアンケート総数248通のうち、需要者サイドの一般企業が133通、供給者であるビルオーナーが108通と、需給それぞれ約半数ずつの回答となっている。

2006年夏季号アンケート:現在の市況を、"バブル"だと思いますか?

まず全体の傾向だが、何らかのバブルの兆しがあるとする回答が59.7%と、約6割の人がその気配を感じている。バブルの定義を明確にしない漠然とした設問であるため、言葉が一人歩きしている面もあるだろうが、最も多い意見が「一部に見られる」であることからも分かるように、現在の市況に何らかの違和感を持つ人は多い。一般企業とビルオーナーとで分けてみると、当事者ではない一般企業にバブル懸念が強く出ている。外から見た不動産市況の方が、よりバブル的なのかもしれない。一方、ビルオーナーは自己所有ビルの状況が切実に意見に表れてくるため、「全くそうは思わない」、「兆しはあるが健全」という回答の割合が高くなっている。

次に、かねてから不動産市況の好調ぶりが伝えられる東京(首都圏:東京都下および周辺の政令指定都市、横浜市・川崎市・さいたま市・千葉市を含む)と、このところ好況感が増してきた大阪(近畿圏:大阪府下および周辺の政令指定都市、京都市・神戸市を含む)、いまだ停滞気味といわれるその他の地方都市とに分類した結果を見てみることにする。

それぞれの集計結果を比較すると、予想通り、全体では東京のバブル感が際立っている。だが、ビルオーナーのグラフを見比べると、バブルの認識は、地方>大阪>東京と全く逆になっているのが興味深い。不動産市況が活性化してきているとはいえ、オフィス賃料に反映できているビルは、まだごく一部といわれており、東京の場合「好況だというのに、うちのビルは...」との思いが、より強く出たのかもしれない。逆に地方のビルオーナーは、「都心のビルは好調らしい...」との情報が先行して、このような結果が表れたのだろうか。もう一つの見方が、「兆しはあるが健全」での比較。東京のビルオーナーは、ファンド化・証券化の真っ只中にあり情報も多い。収益還元での評価が浸透していることから、このような傾向となったと考えられる。

一方、一般企業におけるバブル感は、東京>大阪>地方と予想通りの順番となっている。バブルを彷彿とさせる高値の不動産取引や、逼迫した市場は、今のところ東京に限られた現象であり、その情報量と身近さが、顕著にグラフに表れた恰好だ。

大阪においては、一般企業、ビルオーナーとも「兆しはあるが健全」との回答の割合が高い。大阪の場合、まさにこれからファンド進出による不動産投資が始まろうかといった状況。「なぜ、今、不動産が売れ始めたのか」の理由は理解しているものの、実際の取引はこれからであり、驚くほど高値になった事例があるわけではない。その辺りが、アンケート結果に表れたのではなかろうか。換言すれば、東京では、一部の"驚くほどの高値や上昇した賃料"が、文字通り「一部に見られる」という回答割合を高めていると思われる。

アンケートに寄せられたコメントを見ると、さらにその状況がよく分かる。「バブルではない」とする意見の傾向は二つ。一つは、「当事者として実感できない」というもの。前述した、「うちのビルの空室は決まらない」や「賃料値上げなどとんでもない」、「むしろビル経営環境は悪化」との声もある。もう一つは、東京での取引事例を知った上で、「収益力に基づいている」「実需の裏付けがある」「競争原理によるもの」「金融機関は慎重かつ堅実」といった点を健全性の根拠に置き判断しているものだ。加えて、肝に銘じる必要のあるのが、「同じ過ちは、二度としないでしょう」という意見だろう。

一方、バブルと見る向きの意見は、その一部の過熱した取引を見て、様々な面からバブル懸念を抱いている。具体的には、あまりに急激な上昇や、ファンド主体であるがゆえに撤退の心配がある点、そのプレイヤーの実力を疑問視するコメントなど。中には「バブルではない」の根拠とされている収益還元法が、形骸化していると危惧する意見もある。大きく分けると「いくら収益を考えているとはいえ、あまりに高すぎるのでは」という意見と、「転売に代表される、かつてのバブル期の動向が見受けられる」という2点がクローズアップされているようだ。

面白い意見としては「実際の取引価格は分からないが、不動産会社の株価の上昇にバブルを感じる」といった、業界全体の活況ぶりからの判断。確かに、株価のみならず、このところ住宅デベロッパーや不動産ファンド、アセットマネジメント会社の上場が相次いでいる。また、J-REITの上場数、およびその資産額も上昇の一途をたどっており、これが、業界の外から見た場合、市場がバブルに傾いているとの判断材料にされてしまう点かもしれない。

さて、これまでアンケートを元に、現在の市況感を探ってきた。次項では、早稲田大学大学院ファイナンス研究科の川口教授をはじめ、リクルート「住宅情報」の創刊責任者であり、バブル崩壊前の1989年に関西圏からの地価下落を予測、数多くの著書で知られるネットワーク88代表の幸田氏、そしてメリルリンチ日本証券においてCMBS組成を手がけ、現場の実状を最もよく知る根岸氏と3人の識者の方々に、それぞれ今の不動産市況に対する見解をうかがった。

  • 地価上昇等、市況回復の兆しは見えはじめているが、賃料に反映できるようになるのはまだまだ先。
    特に、既存の築年数の古いビルには全く影響なし。
    税理士 【神奈川】
  • 同じ過ちは、二度としないでしょう。
    製造メーカー 【熊本】
  • 東京の状況は特異であって、地方都市では賃料相場に下げ止まり感が見られるに過ぎない。
    倉庫会社 ビル事業部 【神戸】
  • 現在京都では、空室オフィスが多数あり困っています。
    介護サービス 【京都】
  • 以前のバブル期のように投資一辺倒ではなく、バランスが取れていると思う。
    製造メーカー マーケティング課 【大阪】
  • 業務縮小による館内移転や廃業による退出など、ビル経営環境は昨年よりむしろ悪化している。
    不動産 社長 【東京】
  • 日銀の総量規制解除と、金利の引き上げが始まったことは健全と言える。
    税理士 【神奈川】
  • 実需ベースで、経済性に富んだ物件の価値上昇があるのは当然。
    建設会社 不動産部 【大阪】
  • 一部の収益物件では、市場に強気の感が見られますが、住宅地などは横ばいか値が下がっている状態にあります。
    不動産 社長 【仙台】
  • バブル期のような投機はまだ多くない。
    また、中古(建築)物件流通も低調で、バブルとはなっていない。
    建設会社 設計部長 【東京】
  • 高騰が見られるのが一部地域に限られており、実需の裏付けもある。
    建設会社 【高松】
  • 金融機関は堅実である。一部の過熱感は仕方ない現象と思われる。
    不動産 支店長 【大阪】
  • 収益還元法による取得が定着し、取得価格には一定の合理性が認められる。
    ただ、一部の取引には、他の資産と比較し利回りが低すぎる、もしくは先行きの見通しが甘いと思われるものがある。
    不動産鑑定士 【大分】
  • 不動産の担保価値に対する金融市場の慎重さは評価できる。
    しかし、不動産証券化については市場が新しく、様々なプレーヤーが参入しており、今後はバブル抑制について十分な監視が必要。
    デューデリ・リスクマネジメント 社長 【東京】
  • かつてのバブル期との相違点は、キャピタルゲイン重視からインカムゲイン重視の買い手のスタンス。
    類似点は、銀行の融資姿勢と売主の強気な態度。
    建設会社 社長 【広島】
  • 土地価格や不動産証券化に関しては、商業系、住宅系ともに収益性を睨んだ実需に沿った市場形成と思われる。
    ただし、一部において周辺情勢に流されている感は否めない。
    建設会社 営業部長 【大阪】
  • 一部のデベロッパーの土地取得には、あまりにも高額な取引が見られる。特に、分譲住宅供給にて顕著。
    建築設計・監理会社 社長 【東京】
  • 2007年以降は床面積に余剰が生じると思う。ただし、交通アクセスの良い一等地は除く。
    公認会計士・大学院教授 【東京】
  • 売り手サイドの想定価格を、大幅に超える土地取引が見受けられるようになった。
    建設会社 部長 【東京】
  • 今のところ首都圏に限定されているが、それにしても急激な地価上昇である気がする。
    建設会社 管理部 【広島】
  • マンション(都心部)および商業地域の再開発の動きの中で、やや過熱化した現象が見られる。
    耐震偽装などバブル的発想である。
    卸・小売業 経営企画室長 【さいたま】
  • 不動産投資ファンドの中には、資金のダブつきから投資採算性に合わない物件についても買い入れているところがあると考えられる。
    不動産 社長 【さいたま】
  • 不動産会社や電鉄会社の株価上昇にバブル感あり。
    実際の取引価格は知ることができないが、これら企業の日々の株価の推移から、不動産取引の現状を窺い知ることができる気がする。
    運送会社 【東京】
  • ファンドの投資用として局地的に値上がりしている。ファンドが撤退すれば崩壊するのでは?
    シンクタンク 【東京】
  • 収益の裏付けがあるからバブルではないという説があるが、短期売買の"不動産転がし"が横行し始めている。
    不動産鑑定士 【東京】
  • 実力以上の投資事例が散見される。
    医療機器メーカー 社長 【大阪】
  • 物件利回りが低すぎる。これでは金利が上がると成り立たない。
    プロパティマネジメント マネージャー 【福岡】
  • 収益還元法が形骸化している。
    不動産 社長 【東京】
  • 倉庫物件の開発において、テナントの目処がなく着工したり、土地の手当をしているのは要注意だ。
    倉庫会社 業務企画部 【東京】
  • バルクセール物件から火が付いて、「大火事になったなぁ」と思います。
    不動産 社長 【北海道】
  • バブルだからこそ、六本木ヒルズのようなビルがフォーカスされるのでしょう。
    清掃サービス 【東京】
  • 将来の人口動態並びに金融市場動向を考えると、居住用資産の余剰感が増している。
    自動車部品製造メーカー 【東京】
  • 1987年頃の土地の値上がり感と現在とは、とてもよく似ている。
    不動産 社長 【神戸】

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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