本稿では、路面店舗スペースのポップアップストアの実態や出店傾向を定量化し、テナントとしてポップアップストアを出店する場合のメリットとリスク、そして不動産オーナーとしてポップアップストアを運営する場合のメリットとリスクをまとめた。
路面店舗スペースのポップアップストアは、今後も増加傾向が続くと考えている。その主な理由は、次世代の無線通信システム、5G(※6)が2019年からはじまることだ。5Gの導入によって、「超高速」「超大容量」「超大量接続」「超低遅延」といった無線通信環境が整う。それにより、大容量の映像配信やVRと呼ばれる仮想現実を使ったポップアップストアの企画・運営が可能となるだろう。また、プロモーションの方法や実施の幅が広がることで、出店需要のみならず、出店エリアが拡大することも考えられる。
“消費者嗜好の多様化”や、“モノが売れない時代”といったことが言われる中で、メーカーや小売企業は消費者とのコンタクト・ポイントとなる実店舗を重要視している。特にポップアップストアは、特定の商品やイベントのプロモーションに向いている。また常設店舗に比べて柔軟な出退店が可能となるほか、コストを抑えることもできる。新しい路面店舗スペースの貸し方として、ポップアップストアという選択肢が不動産オーナーに浸透することで、出店需要はさらなる広がりをみせるだろう。
※6:現在の最新モデル4G(第4世代携帯電話)あるいは4G LTEの上位に位置づけられる次世代の移動体通信の通信方式や携帯端末の通称