貸店舗・賃貸店舗の記事

リテールマーケットビュー 2020年第4四半期

賃料相場(最新)

2021年3月26日

銀座・⼼斎橋の空室率上昇、出店ニーズは好⽴地に集中

全国主要商業エリアの貸店舗市場動向をまとめた四半期レポート。
銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷、心斎橋、梅田、栄、京都、神戸、福岡の最新動向を掲載。

小売業販売額* 全国百貨店売上高** 訪日外客数*** 銀座ハイストリート賃料
Q4****

-0.3% 12月
(前年同月比)

-13.7% 12月
(前年同月比)

-98.1% 10~12月
(前年同期比)

±0.0%
(前期比)

出所: * 経済産業省、** 日本百貨店協会、*** 日本政府観光局、**** CBRE

2020年10-12⽉の全国百貨店売上⾼は、⾼額商材がプラスで推移

2020年10-12⽉期の全国百貨店売上⾼は、いずれの⽉も対前年同⽉⽐でマイナスとなった。新型コロナウイルス感染症が再拡⼤した11⽉中旬以降は、⾼齢層を中⼼とした外出⾃粛などによって、来店客数が減少している。⼀⽅、時計・宝飾品やラグジュアリーブランドなどの⾼額商材は、3か⽉連続で前年同⽉を上回った。特に10⽉の美術・宝飾・貴⾦属は対前年同⽉⽐52.7%増、11⽉は同12.0%増と⾼い伸びを⽰した。

2020年10-12⽉期の訪⽇外客数は、対前年同期⽐98.1%減の142,786⼈。10⽉1⽇以降、⼀定条件下のビジネスなどに限り、許可数は限定的ながらも、すべての国・地域からの新規⼊国が可能になった。11⽉1⽇以降は、中国や韓国など11の国と地域に対する感染症危険情報が、⽇本政府によってレベル2に引き下げられた。これらの緩和措置によって、訪⽇外客数の実数は前期に⽐べて増加している。ただし、新型コロナウイルス感染症の拡⼤により、依然として世界的な旅⾏需要は停滞している。2020年通年の訪⽇外客数は、対前年⽐81.7%減の4,115,900⼈。なお政府は、2021年1⽉13⽇の会⾒で、緊急事態宣⾔の期間、ビジネストラックおよびレジデンストラックは⼀時停⽌すると発表した。

東京・銀座では、希少な⼀等地への出店には前向きなラグジュアリーブランドが複数みられた。そのため今期(Q4)の東京プライム賃料は、21期連続横ばいの40万円(⽉/坪)となった。⼤阪・⼼斎橋でも、ハイストリートの御堂筋で複数のラグジュアリーブランドの出店ニーズがみられたことから、⼤阪プライム賃料は2期連続横ばいの25万円(⽉/坪)となった。また、名古屋・栄でも⾼級時計ブランドの出店ニーズがみられており、名古屋プライム賃料は対前期⽐横ばいの10万円(⽉/坪)となった。

*1 2020年Q1はプライム賃料の集計をおこなっていない。新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑み、成約事例の大幅な減少により賃料想定が困難になっていたため。

Figure 1 : 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後 Figure 1 : 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後

Figure 2 : 訪日外客数 Figure 2: 訪日外客数

Figure 3: 銀座ハイストリートの賃料 (円/坪) Figure 3: 銀座ハイストリートの賃料 (円/坪)

東京:銀座

ハイストリートでは複数のラグジュアリーブランドの出店ニーズ

今期(Q4)、ハイストリートの空室率は、対前期⽐0.7ポイント上昇の3.3%となった。理由として、新型コロナウイルス感染拡⼤の影響でテナントが退店を決めた事例があったことなどが挙げられる。

銀座ハイストリートの賃料は対前期⽐横ばいの24.7万円(⽉/坪)となった。ラグジュアリーブランドを中⼼に、銀座エリアに路⾯店舗がないブランドの出店ニーズがみられた。ただし、2021年1⽉7⽇に再び緊急事態宣⾔が発令されたことで、回復傾向にあった国内消費が再び落ち込むことが予想される。そのため、空室物件が今後さらに増えることやリテーラーの出店ニーズが弱含むことで、賃料は向こう1年間で7.5%落ち込むとみられる。ただし、経済の回復が進むことで2022年Q1には上昇に転じ、向こう2年間では4.3%減の⽔準まで回復すると予測する。

今期、ハイストリートの中でも好⽴地となる物件では、ラグジュアリーブランドが出店を検討している事例が複数あった。中には、銀座エリアの既存店舗の契約が残存するラグジュアリーブランドが、後継テナントを探しつつ、⽴地改善の移転を検討している事例があった。また、拡張移転を予定しているラグジュアリーブランドの⼊居区画に、別のラグジュアリーブランドの出店が内定したとみられる事例もあった。ラグジュアリーブランドは、その価値がブランドイメージによって確⽴されている。そのためコロナ禍においても、消費者にイメージを伝達する⼿段として、ブランドの世界観に基づく実店舗の作り込みや実店舗の出店エリア/⽴地戦略を重要視している。また、⽐較的⾯積が⼩さく賃料総額が抑えられるハイストリートの物件では、⽇本初出店となる⾼級コスメブランドが出店を検討している事例があった。賃料⽔準はオーナーの希望⾦額を下回っているものの、確実に出店できるリテーラーであればオーナーは受け⼊れる姿勢をみせている。

⼀⽅、ハイストリートの中でも中⼼地から離れたエリアでは、リーシングに苦戦し空室が⻑期化している物件が複数ある。背景として、ラグジュアリーブランドの出店エリアから外れていること、インバウンド需要が消失していること、ハイストリートの中でも好⽴地となる物件の空室が複数あることなどが挙げられる。こういった物件では、賃料⽔準を下げたとしても決まりづらい状況となっている。

銀座エリア内の複数のビルが、⽼朽化などを背景に建て替えの検討を進めている。オーナーの中には、新型コロナウイルス感染症の収束を前提に、建て替え後の路⾯店舗の賃料を現在の相場よりも⾼めに想定しているところがみられている。また、当該ビルに出店しているテナントの中には、建て替え後は再び同ビルに出店することを希望しているリテーラーがみられている。

空室率

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
銀座 2.1% 1.7% 2.6% 3.3%

出所:CBRE、Q4 2020

プライム賃料(円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
銀座 400,000 400,000 400,000 400,000

出所:CBRE、Q4 2020

東京:表参道 ・ 原宿

好⽴地の物件にラグジュアリーブランドの出店ニーズが集まる

ハイストリートの中でも好⽴地の物件では、複数のラグジュアリーブランドが出店を検討している事例があった。中には、既に表参道・原宿エリアに店舗があるリテーラーが、2店舗⽬として出店を検討している事例や、現在の複数階の募集から1Fのみの募集に変更するのであれば、コロナ禍以前の賃料⽔準で出店を検討するという事例が含まれている。海外リテーラーの中には、欧⽶に⽐べて⽇本では新型コロナウイルス感染者数が抑えられていることから、⽇本における販売戦略を強化したい考えを持っているところがある。別の好⽴地の物件では、売り上げ不振を理由としたテナントの退去に伴い、表参道・原宿エリアに路⾯店舗がないラグジュアリーブランドが、出店を検討している事例があった。今期、表参道・原宿のプライム賃料は対前期⽐横ばいの30万円。

別のハイストリートでは、既存店舗が⼊居するビルの建て替えに伴い、スポーツブランドが新規開発物件への出店を決めた事例があった。⼀⽅、売り上げ不振に伴い、賃料の減額交渉をおこなっているスポーツブランドもみられている。

セカンダリーエリアでは、売り上げ不振やインバウンド需要の消失によって、解約を検討するテナントや既にテナントが退店し空室となった物件がみられている。また、新型コロナウイルス感染拡⼤を契機に、出店を検討していたリテーラーが検討を取りやめたことで再募集になった事例が複数みられている。

空室率

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
表参道・原宿 0.7% 1.8% 2.7% 2.9%

出所:CBRE、Q4 2020

プライム賃料(円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
表参道・原宿 350,000 330,000 300,000 300,000

出所:CBRE、Q3 2020

東京:新宿

800坪の⼤型の募集物件でテナントが内定

ハイストリートの物件では、売り上げ不振により既存テナントが退去をする事例が複数あった。ラグジュアリーブランドなどの引き合いがみられる物件がある⼀⽅、前⾯道路からのセットバックや間⼝が狭く視認性が弱いことなどが懸念され、引き合いが弱い物件もある。

セカンダリーエリアにある800坪を超える⼤型の募集物件では、複数の引き合いの中から新宿エリアに路⾯店舗がないリテーラーの出店が内定した事例があった。また、同じくセカンダリーエリアにある4,000坪程度の募集物件では、複数のリテーラーが出店を検討していたものの、賃料総額が⾼額となることから内定に結びつかなかった事例があった。ただし、オーナーが希望する賃料⽔準の半分程度であれば、出店を検討するリテーラーがみられている。ハイストリートから少し中に⼊ったエリアでは、飲⾷店舗やドラッグストアが退去した募集物件が複数あるが、具体的な引き合いはみられていない。

今期の新宿のプライム賃料は、対前期⽐横ばいの30万円となった。希少性の⾼いプライム⽴地では、新宿エリアに路⾯店舗がないブランドの出店ニーズがみられている。

プライム賃料(円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
新宿 350,000 315,000 300,000 300,000

出所:CBRE、Q4 2020

東京:渋谷

優位性が低い募集物件では後継テナントの内定に苦戦

渋⾕駅から少し距離のあるエリアでは、歩⾏者量の減少や売り上げ不振などによって、退店を決めた、または退店を検討しているテナントが複数みられた。中には、数億円という⾼額な原状回復費⽤が掛かるにも関わらず、退店の検討を進めているテナントが含まれている。

セカンダリーエリアにある募集物件では、引き合いはあるもののワンフロアの⾯積が⽐較的⼩さいことや物件の視認性の弱さなどが懸念され、契約には結びつかない事例があった。また別の募集物件では、リテーラーが出店しやすいよう柔軟な対応をしているオーナーがみられている。例として、①1階を含む複数階の⼀括募集を1階単独での募集とする、②テナントとして受け⼊れる業態を広げる、③希望賃料との乖離が⼤きくとも定期借家契約の契約期間を短くすることで応じる、などが挙げられる。背景として、周辺に募集事例が増えており、⽴地などの賃貸条件において優位性が⾒いだせない物件では、テナントの内定に時間が掛かっていることが挙げられる。

今期の渋⾕のプライム賃料は、対前期⽐横ばいの30万円となった。若年層にブランドを訴求したいラグジュアリーブランドの出店ニーズなどがあった。

プライム賃料(円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
渋谷 330,000 330,000 300,000 300,000

出所:CBRE、Q4 2020

Figure4:エリア別出店割合(路面店舗、件数)
Figure 4: エリア別出店割合(路面店舗、件数)

Figure5: 業態別出店割合(路面店舗、件数) Figure 5: 業態別出店 割合(路面店舗、件数)

Figure 5 : 主な新規出店事例(東京)Q2 2020

テナント エリア 推定面積(坪) 施設名
ポールスチュアート 表参道・原宿 100 ジ アーガイル アオヤマ
ヨックモックミュージアム 表参道・原宿 N/A N/A
ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ 表参道・原宿 90 サンドー原宿ビル
アンノン原宿 表参道・原宿 30 N/A
ベイス ラボ 表参道・原宿 10 ラフォーレ原宿
フェンディ カフェ 表参道・原宿 N/A アニヴェルセル表参道
ハーマンミラー 表参道・原宿 40 第42荒井ビル
コール ハーン 表参道・原宿 50 310表参道
メゾンコーセー 表参道・原宿 60 スタービル表参道
ラルフズ コーヒー 新宿 N/A ルミネ新宿2
ココカラファイン 新宿 270 ヒューリックアンニュー新宿
イケア 渋谷 1,450 高木ビル
MASK CLUB 渋谷 N/A 渋谷センタービル

出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q4 2020

Figure 6 : 今後の新規供給(東京)(延床面積1,000坪以上)

施設名 エリア 推定面積(坪) 事業主 オープン
(仮称)宇田川町32開発計画 渋谷 1,000 ヒューリック 2021年3月
ヒューリックアンニュー新宿 新宿 1,100 ヒューリック 2021年5月
(仮称)銀座6丁目並木通り開発計画 銀座 1,600 ヒューリック 2022年5月
(仮称)南青山三丁目計画 表参道・原宿 4,500 三菱地所 2022年9月
歌舞伎町一丁目地区開発計画 新宿 26,620 東急電鉄、東急レクリエーション 2022年秋
(仮称)神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業 表参道・原宿 6,000 東急不動産など 2022年
(仮称)渋谷区道玄坂二丁目開発計画 渋谷 12,400 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 2023年3月
青朋ビル建替計画 表参道・原宿 4,840 青朋ビル、独立行政法人都市再生機構 2023年9月
渋谷スクランブルスクエア(第 II 期) 渋谷 12,100 東急など 2028年3月

注:店舗以外の他用途を含むケースあり 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q4 2020

関西:心斎橋

御堂筋では複数のラグジュアリーブランドの出店ニーズ

ハイストリートの御堂筋の募集物件では、⾼級時計ブランドの出店が内定した事例があった。コロナ禍以前と⽐べても賃料単価は下がっていない。また、御堂筋の別の募集物件では、複数のラグジュアリーブランドが出店の申し込みを⼊れた事例があった。賃料⽔準は募集賃料と同程度となっている。さらに、株⾼を背景に売り上げ好調な⾼級時計ブランドや、⼼斎橋エリアに路⾯店舗がないラグジュアリーブランドが、近い将来の出店を⾒据えて具体的な物件検討をはじめている事例が複数ある。⼀⽅、⻑堀通以北の募集物件では、⾯積の分割や賃料を下げるなどの措置を講じてはいるものの、引き合いには弱さがみられている。

⼼斎橋筋や戎橋周辺では、インバウンド需要の消失に加えて⽇本⼈の来街者も減少したことで、賃料負担が⼤きくなり退店を決めた、または退店を検討するテナントが複数あった。オーナーは、出店の可能性があるリテーラーに対して、賃料設定には柔軟な姿勢をみせている。中には、新たな借り⼿がみつかりづらいマーケット環境に鑑み、現⾏テナントに対して賃料を減額することで残留を望むオーナーもみられている。

11⽉には⼤丸⼼斎橋店北館がリニューアルし、「⼼斎橋PARCO」として開業した。地上14階、地下2階、店舗⾯積は約12,100坪。店舗数は約170店舗となり、コロナ禍以前の事業計画では、年間売上⽬標を約220億円としていた。

空室率

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
心斎橋 0.9% 1.3% 5.1% 6.5%

出所:CBRE、Q4 2020

プライム賃料 (円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
心斎橋 300,000 250,000 250,000 250,000

出所:CBRE、Q4 2020

関西:梅田

⼤阪駅南側の商業施設でコロナ禍を契機に空室が増加

茶屋町エリアでは、売り上げ不振によって退店した飲⾷店舗の後継テナントとして、別の飲⾷店舗の出店が内定した事例があった。また同エリアの新規開発物件では、コンビニエンスストアの出店が内定した事例があった。⼀⽅、既存テナントの中には、コロナ禍による売上減少が⻑期化していることを背景に、賃料の減額期間の延⻑をオーナーに要請したテナントがみられている。

⼤阪駅周辺の商業施設では、⽐較的⾯積の⼩さな区画に対してファッション⼩物のブランドが申込みを⼊れた事例があった。賃料は従前のテナントと同⽔準となる。⼀⽅、⽐較的⾯積の⼤きい区画では、集客数の減少を理由に⼀部区画を返却する事例があった。また、飲⾷区画の空室が⻑期化している事例もみられている。⼤阪駅南側の商業施設では、100坪超の⾯積でショールームを出店したいという企業のニーズがみられた。ただし、コロナ禍以前より空室がみられた、⼤阪駅南側の駅から少し距離のある商業施設では、コロナ禍を契機に退店を決めたテナントが増えたことで空室の数がさらに増えている。

今期の梅⽥プライム賃料は、新型コロナウイルス感染症の再拡⼤でエリアを訪れる消費者の数が減少したことなどから、対前期⽐20%減の20万円となった。

三菱地所を代表企業とする、うめきた2期開発事業者JVの9社は12⽉、「(仮称)うめきた2期地区開発事業」の⼯事に着⼿すると発表した。南街区地下1階から3階の約3,800坪、南街区・東棟3-4階「都市型スパ」の約1,800坪、北街区1-2階の約900坪、合計6,500程度が商業エリアとなる予定。

プライム賃料 (円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
梅田 300,000 250,000 250,000 200,000

出所:CBRE、Q4 2020

関西:京都

ハイストリートでは複数の⾼級時計ブランドの出店ニーズ

ハイストリートの新規開発物件では、⾼級時計ブランドが出店を検討している事例がある。賃料⽔準は、相場並みの募集賃料に対して2割減程度となる。また、別の⾼級時計ブランドも、四条通にある定期借家契約の満了が近い物件への出店を検討している事例があった。⼀⽅、⽐較的⾯積が⼤きく賃料総額が⾼額となる募集物件では、後継テナントの内定に時間が掛かっている事例がある。国内ブランドからの引き合いがあったものの、新型コロナウイルス感染症の感染再拡⼤などによって、交渉が停滞している。オーナーは出店の可能性があるリテーラーに対して、賃料⽔準を下げることも厭わない姿勢をみせている。こういった状況を背景に、今期の京都プライム賃料は対前期⽐5%減の9.5万円となった。

コロナ禍以前は国内外の観光客が多く訪れていたエリアでは、昨年夏に新規出店したテナントが閉店を視野に後継テナントを探そうとしている事例があった。背景として、想定よりもコロナ禍が⻑期化していることなどが挙げられる。

プライム賃料 (円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
京都 140,000 120,000 100,000 95,000

出所:CBRE、Q4 2020

関西:神戸

リテーラーの出店ニーズが弱含みプライム賃料が下落

三宮駅に近い⽐較的⾯積の⼩さいセンター街の物件では、コロナ禍以前と変わらない賃料⽔準で出店を検討しているリテーラーが複数ある。⼀⽅、センター街の中でも⽐較的⾯積の⼤きい物件や、駅から少し距離がある鯉川筋や仲町通などの複数の物件では、業績不振を背景に既存テナントが閉店を決めたとみられる事例があった。また、旧居留地エリアでは、⽐較的⾯積の⼤きい物件を中⼼に、募集賃料を下げても後継テナントが決まりづらい状況が続いている。

新型コロナウイルス感染症の再拡⼤などによって、エリアの来街者数が減少している。そのためリテーラーの出店ニーズは全体的に弱含んでおり、今期の神⼾プライム賃料は対前期⽐16.7%減の10万円となった。

プライム賃料 (円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
神戸 130,000 120,000 120,000 100,000

出所:CBRE、Q4 2020

名古屋:栄

複数階の⼀括募集を優先していた物件に、複数のリテーラーから1階単独の引き合い

ハイストリートの⽐較的⾯積の⼩さい募集物件では、⾼級時計ブランドが出店を検討している事例があった。賃料⽔準は、従前のテナントが⽀払っていた⾦額と同⽔準とみられる。⼀⽅で別の募集物件では、⽴地評価は⾼いものの相場を超える賃料設定や間⼝の狭さがネックとなり、引き合いに弱さがみられている。前期(Q3)賃貸借契約を締結した複数のリテーラーは、予定通り来期(2021年Q1)中のオープンを⾒込んでいる。

セカンダリーエリアでは、⽐較的⾯積が⼤きい募集物件で、海外ブランドの出店が内定した事例があった。1階を含む複数階の⼀括募集を優先していたが、複数のリテーラーから1階のみの賃借ニーズがあったため、複数階から1階単独の賃貸に切り替えた。賃料単価は、従前のテナントよりも低⽔準とみられる。⼀⽅、同じセカンダリーエリアにある1棟貸しの募集物件では、1階単独の引き合いはあるものの1棟での引き合いは弱い。

11⽉には、広⼩路通と⼤津通が交差する栄交差点に新たな商業施設「BINO栄」が開業した。サカエチカ「クリスタル広場」と直結しており、テナントはB2階から5階まで全16店舗が⼊居している。名古屋初出店となる⾼級時計ブランドが複数オープンしたほか、同じ栄エリアからの移転テナントやドラッグストア、複数の飲⾷店舗がオープンしている。

空室率

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
0.0% 0.0% 3.2% 0.0%

出所:CBRE、Q4 2020

プライム賃料 (円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
140,000 120,000 100,000 100,000

出所:CBRE、Q4 2020

Figure 8 : 主な新規出店事例(大阪・名古屋)Q3 2020

テナント エリア 推定面積(坪) 施設名
洋服の青山 梅田 230 梅田清和ビル
ティファニー 心斎橋 90 心斎橋パルコ
エンポリオ アルマーニ 心斎橋 N/A 心斎橋パルコ
メゾン マルジェラ  心斎橋 40 心斎橋パルコ
バーバリー 心斎橋 40 心斎橋パルコ
ザ ノース フェイス アンリミテッド 心斎橋 40 心斎橋パルコ
チューダー 心斎橋 30 クリエイティブ心斎橋
IWC 20 BINO栄
ロレックス 70 BINO栄
ウブロ 40 BINO栄

出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q4 2020

Figure 9 : 今後の新規供給(大阪・名古屋)(延床面積1,000坪以上)

施設名 エリア 推定面積(坪) 事業主 オープン
大阪梅田ツインタワーズ・サウス( II 期) 梅田 *7,300 阪急阪神ホールディングス 2021年秋
(仮称)「丸栄」跡地 N/A 興和 2022年3月
(仮称)新中日ビル建替 2,300 中日新聞社、中部日本ビルディング 2024年春
(仮称)梅田3丁目計画 梅田 4,840 日本郵便、西日本旅客鉄道など 2024年
(仮称)うめきた2期地区開発事業 梅田 6,500 オリックス不動産、阪急電鉄、三菱地所など 2024年8月
大阪駅新駅ビル(仮称) 梅田 17,850 大阪ターミナルビルなど 2024年秋

注:店舗以外の他用途を含むケースあり *百貨店部分全体から、I期に開業する面積を除く
出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、 Q4 2020

福岡:天神

賃料総額が⾼額となる物件では空室が⻑期化

天神エリアでは、⽴地改善による移転が決まった事例があった。賃料は従前のテナントの⾦額をやや下回ったものの、ほぼ同⽔準と⾔える。⼀⽅、ハイストリートの複数の募集物件では、空室が⻑期化しつつある。⽐較的⾯積が⼤きく賃料総額が⾼額となることから、リテーラーからの引き合いは弱い。しかし、これらの物件を⻑期保有する地元オーナーからは、賃料⽔準を引き下げてリテーラーの受け⼊れ業態を広げる、または誘致を急ぐといった動きはみられていない。そのため、今期の天神プライム賃料は10期連続横ばいの10万円となった。

プライム賃料 (円/坪)

  Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020
天神 100,000 100,000 100,000 100,000

出所:CBRE、Q4 2020

調査概要
調査対象 空室率
・CBREが独自に設定した対象地
 銀座ハイストリート(162棟)、表参道・原宿ハイストリート(238棟)
 心斎橋ハイストリート(173棟)、栄ハイストリート(53棟)
・対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定
プライム賃料/銀座ハイストリート賃料
・CBREが独自に設定した対象地
・ワンフロアの面積が200㎡程度の建物を想定
・対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定
調査時点 四半期 (第1四半期)3月末(第2四半期)6月末(第3四半期)9月末(第4四半期)12月末 時点集計
調査方法 空室率
・空室は集計時点で即入居可能であるものを対象(新築施設は竣工済みのものが対象)
プライム賃料
・対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限値 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)
・主要都市における、都心商業立地の中の一等地(の賃料)
銀座ハイストリートの賃料
・対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限と下限の平均値
 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)

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2020年5月22日

全国主要商業エリアの貸店舗市場動向をまとめた四半期レポート。 銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷、心斎橋、梅田、栄、京都、神戸、福岡の最新動向を掲載。 ...