貸店舗・賃貸店舗の記事

リテールマーケットビュー 2020年第3四半期

賃料相場(最新)

2020年12月16日

銀座・心斎橋・栄のハイストリート 空室率は、いずれも前期比で上昇

全国主要商業エリアの貸店舗市場動向をまとめた四半期レポート。
銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷、心斎橋、梅田、栄、京都、神戸、福岡の最新動向を掲載。

小売業販売額* 全国百貨店売上高** 訪日外客数*** 銀座ハイストリート賃料
Q3****

-8.7% 9月
(前年同月比)

-33.6% 9月
(前年同月比)

-99.7% 7~9月
(前年同期比)

-2.1%
(前期比)

出所: * 経済産業省、** 日本百貨店協会、*** 日本政府観光局、**** CBRE

2020年9月の訪日外客数は6カ月ぶりに1万人を超える

2020年7-9月期の全国百貨店売上高はいずれの月も対前年同月比でマイナスとなった。特に9月は、対前年同月比33.6%減となり、マイナス幅が前月(8月:22.0%減)から拡大している。昨年の消費増税前の駆け込み需要の反動や、新型コロナウイルスによる外出自粛などが影響した。

2020年7-9月期の訪日外客数は、対前年同期比99.7%減の26,182人。政府は、タイやベトナム、台湾、マレーシアなどの一部の国と、長期滞在者を対象に双方向の往来を認める「レジデンストラック」、短期出張者用の「ビジネストラック」の受け付けを、それぞれ開始した。そのため、9月の訪日外客数は13,700人と、2020年3月以来6カ月ぶりに1万人を超えた。ただし、日本における検疫強化、査証の無効化等の措置が引き続き取られていることや、欧州を中心に多くの国で引き続き海外渡航制限などの措置が取られていることから、訪日外客数は前年同期比で1%にも満たない数字となっている。

東京・銀座では、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、リテーラーの出店ニーズは減少したものの、希少な一等地への出店には前向きなラグジュアリーブランドがみられた。そのため今期(Q3)の東京プライム賃料は、20期連続横ばい*1の40万円(月/坪)となった。大阪・心斎橋でも、ハイストリートの御堂筋で複数のラグジュアリーブランドの出店ニーズがみられたことから、大阪プライム賃料は対前期比横ばいの25万円(月/坪)となった。一方の名古屋・栄では、エリア賃料を牽引していたドラッグストアの出店ニーズの消滅などにより、名古屋プライム賃料は同16.7%減の10万円(月/坪)となった。

*1 2020年Q1はプライム賃料の集計をおこなっていない。新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑み、成約事例の大幅な減少により賃料想定が困難になっていたため。

Figure 1 : 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後 Figure 1 : 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後

Figure 2 : 訪日外客数 Figure 2: 訪日外客数

Figure 3: 銀座ハイストリートの賃料 (円/坪) Figure 3: 銀座ハイストリートの賃料 (円/坪)

東京:銀座

ハイストリートの複数の物件で後継テナントを募集

今期(Q3)、ハイストリートの空室率は、前期比0.9ポイント上昇の2.6%となった。テナントを募集している物件が増えている。新型コロナウイルス感染拡大による業績不振で、退店を決めたテナントが複数あったことが理由として挙げられる。

銀座ハイストリートの賃料は、対前期比2.1%減の24.7万円(月/坪)となった。国内消費、ならびにインバウンド需要の回復には時間を要することが予想される。そのため、空室物件が今後増えることや、リテーラーの出店ニーズが弱含むことで、賃料は2021年Q4までに7.5%落ち込むとみられる。ただし、2022年Q1には上昇に転じ、向こう2年間では5.5%減と予測する。

今期、ハイストリートの中でも好立地となる複数の物件で、テナントの募集を開始した事例があった。新型コロナウイルス感染拡大による業績不振で、従前のテナントが退去することが主因。後継テナントとして複数のリテーラーが出店を検討しているが、リテーラーの賃料目線は相場ないしは相場を下回っているところがある。新規開発物件では、複数のラグジュアリーブランドが出店を検討している事例がある。他エリアの既存店舗を閉めて銀座エリアの好立地に旗艦店舗を出店しようとするリテーラーや、竣工時期が2022年に延期となったことで出店を検討し始めたリテーラーなどがみられている。一方、コロナ禍以前より空室だった物件では、リーシングに苦戦しているところが複数ある。面積が大きく賃料総額が高額となることや、区画形状が使いづらいといったことなどが苦戦の理由として挙げられる。

ハイストリートから少し中に入ったエリアの新規開発物件では、複数のリテーラーが出店を検討している事例がある。銀座エリアに路面店舗がない、または既存店舗からの立ち退きを求められているリテーラーだ。新型コロナウイルス感染症の収束がみえない現況では、年内や2021年初旬の出店は検討しづらいリテーラーが多い一方、2021年中旬から2022年の出店を見据えて、新規開発や定期借家満了の物件などを検討するリテーラーがみられはじめている。一方、建て替えまでの短期の募集物件では、人が密集しがちなポップアップストアに対するニーズが減少していることなどを背景に、引き合いは弱い。

空室率

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
銀座 2.0% 2.1% 1.7% 2.6%

出所:CBRE、Q3 2020

プライム賃料(円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
銀座 400,000 400,000 400,000 400,000

出所:CBRE、Q3 2020

東京:表参道 ・ 原宿

募集物件の増加でリテーラーの選択肢が広がる

ハイストリートの中でも好立地の物件では、日本初出店を含む複数のスポーツブランドが旗艦店舗の出店を検討している事例があった。一方、収益悪化により既存テナントが後継テナントを探している事例では、出店を検討するリテーラーはあるものの、賃貸条件に対して慎重な姿勢をみせている。また、オーナーが賃料水準を下げたものの、比較的大きい面積や立地がネックとなってテナントの引き合いが弱い物件もある。

キャットストリートの募集物件では、コロナ禍で収益が減少したことを背景に、新規出店予定の面積ならびに予算を下げたリテーラーが、値ごろ感のある物件への出店を決めた事例があった。また、セカンダリーエリアの新規開発物件では、1階を含む複数階を一括で募集していたが、1階単独での募集とし、募集賃料の水準も下げたところ、複数のリテーラーから申し込みが入った。中には、消費者の間で「巣ごもり需要」によって業績が好調なリテーラーが含まれている。

コロナ禍によってセカンダリーエリアの募集物件が増えたことで、出店を検討するリテーラーの選択肢が広がっている。そのため、賃料に値ごろ感があっても立地によってはテナントの内定に時間が掛かっている物件が複数ある。

今期、表参道・原宿のプライム賃料は対前期比9.1%減の30万円(月/坪)となった。ブランディング目的の出店ニーズの減少や空室の増加が主因。

空室率

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
表参道・原宿 1.2% 0.8% 1.9% 1.7%

出所:CBRE、Q3 2020

プライム賃料(円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
表参道・原宿 350,000 350,000 330,000 300,000

出所:CBRE、Q3 2020

東京:新宿

セカンダリーエリアではブライダルジュエリーが出店

ハイストリートに旗艦店舗を出店しているテナントが、業績不振を背景に転貸先を探している。比較的面積が大きく賃料総額が高額となるため、区画を分割する案があるものの、前面道路からの視認性が下がることなどからリーシングに苦戦している。セカンダリーエリアでは、比較的面積の大きい募集物件に対して、複数の引き合いがみられている。ただし、賃料はオーナーの希望賃料には届いていない。また、緊急事態宣言解除後にオープンしたテナントが、コロナ禍による売り上げ不振を背景に賃料減額の再要請をオーナーにおこなっている事例がある。

ハイストリートの新宿通りから少し中に入った物件では、ブライダルジュエリーの出店が内定した事例があった。コロナ禍で挙式や披露宴を諦めざるを得なかったカップルが、ブライダルジュエリーの予算を上げていることなどを背景に、出店ニーズが増えている。

今期の新宿のプライム賃料は、対前期比4.8%減の30万円(月/坪)となった。エリアを訪れる消費者が減っていることや、リテーラーの出店ニーズが弱含んでいることが主因。

プライム賃料(円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
新宿 330,000 350,000 315,000 300,000

出所:CBRE、Q3 2020

東京:渋谷

賃貸条件や受け入れ業態に柔軟なオーナーがみられる

定期借家契約の満了を迎えるハイストリートの物件では、コロナ禍によって売り上げが減少した既存テナントとの再契約交渉が難航している事例があった。セカンダリーエリアでは、周辺に募集事例が増えたことで、立地などの賃貸条件において優位性が見いだせない物件の引き合いが弱い。そのため、1階を含む複数階の一括募集を1階単独での募集とするなど、リテーラーが出店しやすいよう柔軟な対応をしているオーナーがみられている。また、出店を前向きに検討するリテーラーに対しては、希望賃料との乖離が大きくとも、定期借家契約の契約期間を短くすることで応じる姿勢をみせるオーナーもいる。募集物件の中には、リテール区画に対して集配施設や撮影スタジオの誘致を検討している事例がある。コロナ禍でリテーラーの出店ニーズが激減しており、テナントとして受け入れる業態を広げることで、可能性のあるニーズを確実に取り込もうとしている。

今期の渋谷プライム賃料は対前期比9.1%減の30万円(月/坪)となった。エリアを訪れる消費者が減少し、リテーラーの出店ニーズが弱含んでいることが主因。

プライム賃料(円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
渋谷 330,000 330,000 330,000 300,000

出所:CBRE、Q3 2020

Figure4:エリア別出店割合(路面店舗、件数)
Figure 4: エリア別出店割合(路面店舗、件数)

Figure5: 業態別出店割合(路面店舗、件数) Figure 5: 業態別出店 割合(路面店舗、件数)

Figure 5 : 主な新規出店事例(東京)Q2 2020

テナント エリア 推定面積(坪) 施設名
ゼニス 銀座 25 N/A
大塚家具 銀座 220 N/A
アレキサンダー・マックイーン 表参道・原宿 80 オーク表参道
ブルックス ブラザーズ 表参道・原宿 100 エイチキューブ南青山
ルイ・ヴィトン 渋谷 N/A レイヤード ミヤシタパーク
グッチ 渋谷 155 レイヤード ミヤシタパーク
バレンシアガ 渋谷 N/A レイヤード ミヤシタパーク
プラダ 渋谷 90 レイヤード ミヤシタパーク
アディダス 渋谷 310 レイヤード ミヤシタパーク

出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q3 2020

Figure 6 : 今後の新規供給(東京)(延床面積1,000坪以上)

施設名 エリア 推定面積(坪) 事業主 オープン
(仮称)宇田川町32開発計画 渋谷 1,000 ヒューリック 2021年3月
(仮称)新宿3-17開発計画 新宿 1,100 ヒューリック 2021年5月
(仮称)銀座6丁目開発計画 銀座 1,600 ヒューリック 2022年5月
(仮称)南青山三丁目計画 表参道・原宿 4,500 三菱地所 2022年9月
 歌舞伎町一丁目地区開発計画 新宿 26,620 東急電鉄、東急レクリエーション 2022年秋
(仮称)神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業 表参道・原宿 6,000 東急不動産など 2022年
(仮称)渋谷区道玄坂二丁目開発計画 渋谷 12,400 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 2023年3月
青朋ビル建替計画 表参道・原宿 4,840 青朋ビル、独立行政法人都市再生機構 2024年2月
渋谷スクランブルスクエア(第 II 期) 渋谷 12,100 東京急行電鉄など 2028年3月

注:店舗以外の他用途を含むケースあり 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q3 2020

関西:心斎橋

御堂筋では複数のラグジュアリーブランドによる出店ニーズ

ハイストリートの御堂筋の物件では、高級時計を扱う複数のラグジュアリーブランドが出店を検討している事例があった。株高による資産効果が背景とみられる。ハイストリートの中でも好立地であることや、50坪以下の使いやすい面積なことから、コロナ禍以前と比べても賃料単価は下がっていない。長堀通よりも北の御堂筋では、同じく高級時計を扱うラグジュアリーブランドが立地改善の館内移転を決めた事例もあった。ただし、後継テナントの引き合いは弱い。近隣にも、ラグジュアリーブランドの立地改善の移転で発生した空室があるが、面積の分割や賃料を下げるなどの措置を講じても引き合いには弱さがみられている。

心斎橋筋商店街では、閉店や退去を決めた店舗が複数みられている。その多くはインバウンド需要の取り込みを想定して、比較的高額な賃料で出店していたテナント、かつ小規模の店舗だ。コロナ禍で売り上げが減少したため家賃の高さが大きな負担となっていた。後継テナントのリーシングでは、賃料水準を下げているところがみられるものの、直近は商店街の来街者数が減少していることなどを背景に、リテーラーの決定には時間を要している。大規模の店舗は解約不可期間中のものが多く、休業している店舗が複数みられる。今期の心斎橋ハイストリート空室率は、対前期比3.7ポイント上昇の5.0%。

建て替えに伴う移転先を心斎橋エリア内で探していた海外リテーラーの中には、物件の選定や賃貸条件の交渉が終わっていたにも関わらず、本国の承認が降りずに出店を取りやめたところがある。特に、日本よりも新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な欧米のブランドは、新規投資に対して慎重な姿勢をみせている。

空室率

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
心斎橋 0.8% 0.9% 1.3% 5.0%

出所:CBRE、Q3 2020

プライム賃料 (円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
心斎橋 300,000 300,000 250,000 250,000

出所:CBRE、Q3 2020

関西:梅田

出店ニーズの多くはコロナ禍で業績を伸ばしているリテーラー

茶屋町エリアの募集物件では、業績不振を理由に退店したとみられる物件の後継テナントとして、リユースを扱うリテーラーが内定した事例があった。また、コロナ禍によって在宅勤務が増えたことでランチ需要などが減少し、既に退店したか退店を検討している飲食店舗が複数ある。後継テナントとしては、消毒関連商品の購買ニーズがあるドラッグストアや、安価な日用品を扱うリテーラー、エステやクリニックなどが興味を持っている。また、出店検討エリアを心斎橋から梅田エリアに移して、関西初出店となる店舗を探している海外リテーラーもみられている。

大阪中央郵便局跡地などで計画されている「梅田3丁目計画(仮称)」が、2024年3月の竣工を予定している。ホテルやオフィス、劇場のほか、地下1階から地上6階が商業エリアとなる。また、JR大阪駅の西側では、JR西日本の「大阪駅新駅ビル(仮称)」が2024年秋の開業を予定している。オフィスのほか、3階から5階が商業エリアとなる。複数の大型商業施設ができることで新たな賑わいが期待できるほか、人の流れにも変化がみられそうだ。

今期の梅田プライム賃料は、エリアを訪れる消費者の数が回復しており、百貨店の売上が改善していることなどから対前期比横ばいの25万円(月/坪)となった。

プライム賃料 (円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
梅田 300,000 300,000 250,000 250,000

出所:CBRE、Q3 2020

関西:京都

好立地では立ち退き移転によるリテーラーの大型出店が内定

ハイストリートの中でも好立地の募集物件では、リテーラーがコロナ禍にも関わらず大型出店を決めた事例があった。従前施設からの立ち退きによって、移転先を探していた。移転先では2021年4月のオープンを予定しており、その頃には感染収束の目途が立っていると考えた模様。また、株高による資産効果を背景に売り上げを伸ばしている高級時計のラグジュアリーブランドが、ハイストリートの中でも好立地に限定して出店を検討している事例がある。

一方、コロナ禍でインバウンド需要が激減したことなどを背景に、ハイストリート全体では空室や募集物件が増えている。リテーラーの出店ニーズは総じて減少しており、比較的面積が大きく賃料総額が高額となる物件の引き合いが特に弱い。そのため、オーナーの中には受け入れ業種の幅を広げてリーシングをしているところもある。このような情勢を背景に、今期の京都プライム賃料は対前期比16.7%減の10万円(月/坪)となった。

プライム賃料 (円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
京都 140,000 140,000 120,000 100,000

出所:CBRE、Q3 2020

関西:神戸

センター街の複数の募集物件に入居テナントが内定

ハイストリートのセンター街では、比較的面積の大きな募集物件に対して、複数のリテーラーが出店を検討する事例があった。また、10坪程度の比較的面積の小さな募集物件では、主に小ぶりな商材を扱うリテーラーの出店が内定した事例があった。ただし、賃料水準はいずれも退去したテナントに比べて安価ではあるが、現在の相場水準と同等程度となっている。今期の神戸プライム賃料は、対前期比横ばいの12万円(月/坪)。

一方、旧居留地の中でも大丸神戸店から離れた募集物件では、テナントの引き合いに弱さがみられている。コロナ禍で、街を訪れる人の数が減っている。そのため、特に立地に劣る物件では、賃料水準を下げてもリテーラーが検討しづらい状況になっている。

プライム賃料 (円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
神戸 130,000 130,000 120,000 120,000

出所:CBRE、Q3 2020

名古屋:栄

ハイストリートでは引き合いの弱い募集物件がみられる

ハイストリートの大津通にある比較的面積の大きい募集物件では、既に栄エリアに路面店舗を持つリテーラーが、2店舗目の出店を決めた事例があった。賃料は、従前のテナントと変わらない水準とみられる。一方、別の募集物件では、コロナ禍以前に比べて賃料水準を下げている事例があった。また、コスト削減を背景に、ハイストリートの既存店舗から商業施設内の区画に移転した事例が複数あった。退去後の物件では、従前のテナントと変わらない賃料水準での募集に対して、テナントの引き合いは弱い。そのほか、30坪程度の募集物件では、使いやすい大きさではあるものの、間口が狭いことなどを懸念し、出店検討を見送るリテーラーがみられた。今期の栄ハイストリート空室率は対前期比3.2ポイント上昇の3.2%。

9月には、久屋大通公園と店舗が一体になった「Hisaya-odoriPark(ヒサヤオオドオリパーク)」が開業した。コロナ禍によって出店キャンセルとなった空室が一部にあるものの、栄エリアに路面店舗がないリテーラーが複数出店している。賃料設定に際し、歩合賃料の割合を高めることでテナントが出店しやすい環境を作っている。

百貨店「丸栄」跡地に新設される商業施設の開業時期が、2021年の11月から2022年春に延期された。コロナ禍によって事業計画に遅れが出たようだ。また、建て替えが計画されている中日ビルの開業時期は、2024年春になる模様。ホテルやオフィス、多目的ホールのほか、地下1階から3階が商業エリアとなる。

空室率

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
0.0% 0.0% 0.0% 3.2%

出所:CBRE、Q3 2020

プライム賃料 (円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
140,000 140,000 120,000 100,000

出所:CBRE、Q3 2020

Figure 8 : 主な新規出店事例(大阪・名古屋)Q2 2020

テナント エリア 推定面積(坪) 施設名
ダナー 梅田 N/A ルクアイーレ
モンベル 梅田 N/A ルクアイーレ
M・A・C 心斎橋 N/A ハートンホテル別館
エルメス 心斎橋 225 心斎橋パルコ
ラルフ ローレン 145 レイヤード ヒサヤオオドオリパーク
カリマー 40 レイヤード ヒサヤオオドオリパーク
スノーピーク 195 レイヤード ヒサヤオオドオリパーク
コールハーン N/A レイヤード ヒサヤオオドオリパーク

出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q3 2020

Figure 9 : 今後の新規供給(大阪・名古屋)(延床面積1,000坪以上)

施設名 エリア 推定面積(坪) 事業主 オープン
BINO栄 1,920 パルコ 2020年11月
大阪梅田ツインタワーズ・サウス( II 期) 梅田 *7,300 阪急阪神ホールディングス 2021年秋
(仮称)「丸栄」跡地 N/A 興和 2022年3月
(仮称)新中日ビル建替 2,300 中日新聞社、中部日本ビルディング 2024年春
(仮称)梅田3丁目計画 梅田 13,310 日本郵便、西日本旅客鉄道など 2024年
(仮称)うめきた2期地区開発事業 梅田 9,650 オリックス不動産、阪急電鉄、三菱地所など 2024年8月
大阪駅新駅ビル(仮称) 梅田 17,850 大阪ターミナルビル(予定) 2024年秋

注:店舗以外の他用途を含むケースあり *百貨店部分全体から、I期に開業する面積を除く
出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、 Q3 2020

福岡:天神

エリア全体で即入居可能な空室や募集物件が増加

天神エリアでは、現在空室または募集をしている物件が複数みられた。ジュエリーやメガネを扱うリテーラーからの引き合いはあるものの、出店を検討しているリテーラーの数は少ない。緊急事態宣言の解除後には、出店の検討をはじめたリテーラーがみられたものの、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せないことから検討をとりやめた事例があった。また、9月上旬の台風10号によって九州の既存店舗がダメージを受けたリテーラーが、出店時期を先延ばしにした事例もあった。

コロナ禍以前からリーシングをしていた比較的面積の大きい募集物件では、区画を分割することで賃料総額を抑えようとするオーナーがみられた。一方、賃料水準はさほど下げずにリテーラーの動向をうかがうオーナーもみられている。

今期の天神プライム賃料は、9期連続横ばいの10万円(月/坪)となった。希少な一等地への出店には前向きなリテーラーがみられた一方、ハイストリート全体ではリテーラーの引き合いが弱く、賃料は下落傾向にある。

プライム賃料 (円/坪)

  Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020
天神 100,000 100,000 100,000 100,000

出所:CBRE、Q3 2020

調査概要
調査対象 空室率
・CBREが独自に設定した対象地
 銀座ハイストリート(161棟)、表参道・原宿ハイストリート(237棟)
 心斎橋ハイストリート(166棟)、栄ハイストリート(52棟)
・対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定
プライム賃料/銀座ハイストリート賃料
・CBREが独自に設定した対象地
・ワンフロアの面積が200㎡程度の建物を想定
・対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定
調査時点 四半期 (第1四半期)3月末(第2四半期)6月末(第3四半期)9月末(第4四半期)12月末 時点集計
調査方法 空室率
・空室は集計時点で即入居可能であるものを対象(新築施設は竣工済みのものが対象)
プライム賃料
・対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限値 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)
・主要都市における、都心商業立地の中の一等地(の賃料)
銀座ハイストリートの賃料
・対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限と下限の平均値
 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)

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