貸店舗・賃貸店舗の記事

リテールマーケットビュー 2021年第2四半期

賃料相場(最新)

2021年8月27日

銀座の空室率は上昇が一服 ラグジュアリーが出店ニーズを牽引

全国主要商業エリアの貸店舗市場動向をまとめた四半期レポート。
銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷、心斎橋、梅田、栄、京都、神戸、福岡の最新動向を掲載。

小売業販売額* 全国百貨店売上高** 銀座ハイストリート空室率Q2*** 銀座ハイストリート賃料
Q2***

+6.5% 4~6月
(前年同月比)

+42.8% 4~6月
(前年同月比)

-0.6pts
(前年同期比)

±0.0%
(前期比)

出所: * 経済産業省、** 日本百貨店協会、*** CBRE

Q2 2021の全国百貨店売上高は前年同期比でプラス

2021年4-6月の全国百貨店売上高は、対前年同期比42.8%増のプラスとなった。前年同期の緊急事態宣言に伴う、臨時休業や時短営業などの営業自粛の反動によるもの。ただし、期中に3度目の緊急事態宣言が発出されたことから、外出自粛などによる集客減の影響があった。そのため、前々年の同期間と比べると、31.8%減のマイナスとなった。

商品別では、ラグジュアリーブランドや高級時計、美術宝飾品などの高額品の売り上げが好調に推移した。また、巣ごもり需要関連の家電、高級家具などの商品も好調だった。

今期(Q2)の東京・銀座ハイストリート賃料は、対前期比横ばいの24.30万円(月/坪)。ハイストリートの募集物件では、ラグジュアリーブランドを中心とした複数のリテーラーから引き合いがみられている。東京プライム賃料は、23期連続横ばいの40万円となった。希少な一等地への出店に、前向きなラグジュアリーブランドがいることが主因。大阪・心斎橋では、心斎橋筋商店街を中心に需給バランスの緩みがみられた。そのため、心斎橋ハイストリート賃料は対前期比2.1%下落の13.81万円となった。ただし、御堂筋を中心にラグジュアリーブランドからは強い出店ニーズがみられており、心斎橋プライム賃料は4期連続横ばいの25万円となった。名古屋・栄でも高級時計ブランドの出店ニーズがみられている。ただし、ハイストリートの中でも高級時計の出店エリアからはずれたところでは、出店ニーズは弱含んでいる。そのため、栄ハイストリート賃料は対前期比1.4%下落の7.05万円となった。プライム賃料は3期連続横ばいの10万円(月/坪)。

Figure 1 : 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後 Figure 1 : 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後

Figure 2 : 訪日外客数 Figure 2: 訪日外客数

Figure 3: 銀座ハイストリートの賃料 (円/坪) Figure 3: 銀座ハイストリートの賃料 (円/坪)

*1 22020年Q1はプライム賃料の集計をおこなっていない。新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑み、成約事例の大幅な減少により賃料想定が困難になっていたため。

*2 今期の銀座ハイストリート賃料の予測には、2021年7月12日から東京都および沖縄県に発出された緊急事態宣言の影響は加味されていない。

東京:銀座

ハイストリートにラグジュアリーの旺盛な出店ニーズが集中

今期(Q2)、ハイストリートの空室率は、前期比0.6ポイント下落の5.1%となった。ラグジュアリーブランドやファッションブランドの需要が空室率を押し下げた。

銀座ハイストリート賃料は対前期比横ばいの24.3万円となった。今後、賃料は向こう1年間で3.2%落ち込むとみられる。ただし、2022年Q3には上昇に転じ、向こう2年間では1.9%減の水準まで回復すると予測する。ワクチン接種の進展などによって今後の不透明感が払拭されつつあることから、長期的な視点を持って今から物件を抑えようとしているラグジュアリーブランドが複数みられている。7月に入って東京都では4回目となる緊急事態宣言が発出されたが、銀座ハイストリートの出店ニーズへの影響は今のところ限定的と考えられる。今後の賃料は、現在のCBRE予想に対して上振れる可能性もある。

前期(Q1)に引き続き、ラグジュアリーブランドから強い出店ニーズがみられている。ハイストリートの晴海通りにある募集物件では、10社ほどの申し込みの中から、ラグジュアリーブランドが内定した事例があった。立地改善の移転ニーズで、賃料はコロナ禍前の水準とみられる。並木通りの募集物件では、既に銀座エリアに2つの既存店舗を持つラグジュアリーブランドが、3店舗目の出店を決めた事例があった。好調な業績を背景に商品展開の拡充を図っており、相場並みの募集賃料に対して満額の申し込みだった模様。また、ハイストリートの中でも好立地にある新規開発物件では、数年先の竣工にもかかわらずラグジュアリーブランドを含む20社ほどからの引き合いがみられている。

ハイストリートの新規開発物件や募集物件が増えており、銀座エリア内での移転ニーズや、銀座エリアに路面店舗がないリテーラーの出店ニーズを集めている。定期借家契約の満了や、建て替えに伴う立ち退き移転のニーズがあるリテーラーは、立地が希望に合えば面積や賃料はオーナーの希望条件を受容しやすい。なぜなら、銀座エリアの既存店舗に固定客がついているため、空白期間を作らずに移転先を決めることが重視されるからだ。一方、銀座エリア初の路面店舗を探しているリテーラーは、よりよい賃貸条件の物件に出店しようとする傾向が強い。そのため、最終的な出店の意思決定に時間が掛かっているところがある。

ハイストリートで総じて旺盛な出店ニーズがみられている一方で、セカンダリーエリアにある、空室が長期化している複数の物件では、オーナーが賃料水準を下げる、または固定+歩合賃料にするなどの柔軟な姿勢をみせている。ただし、リテーラーの引き合いは弱く、テナントの決定には時間を要しそうだ。また、売上に占めるインバウンドの比率が高かったテナントの中には、オーナーに対して現在も賃料の減額交渉をおこなっているところがある。

空室率

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
銀座 1.7% 2.6% 3.3% 5.7% 5.1%

出所:CBRE、Q2 2021

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
銀座 252,200 247,000 247,000 243,000 243,000

出所:CBRE、Q2 2021

プライム賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
銀座 400,000 400,000 400,000 400,000 400,000

出所:CBRE、Q2 2021

東京:表参道 ・ 原宿

ハイストリートの募集物件に複数リテーラーから引き合い

前期(Q1)に引き続き、ラグジュアリーブランドからの強い出店ニーズがみられている。ハイストリートの表参道にある募集物件では、複数のラグジュアリーブランドの中から募集賃料を超える金額で後継テナントが内定した事例があった。同じ表参道の別の募集物件では、複数の高級時計ブランドからの引き合いがみられている。いずれも、既存テナントが業績不振を理由に退去する事例だ。また、近隣にある別の募集物件でも、複数のリテーラーから引き合いがある。相場を超えるオーナーの希望賃料には届かないものの、リテーラーが提示をしている賃料は現在の相場水準と同程度だ。さらに、原宿エリアで立地改善ならびに拡張移転を決めたリテーラーの退去予定店舗には、複数のリテーラーが申し込みを入れている。建て替えによる立ち退き移転や、日本初出店となるリテーラーが含まれている。一方、ハイストリートの竹下通りでは、業績不振による既存テナントの撤退などによって空室が増えている。リテーラーの出店ニーズはあるものの、その多くは事業規模が小さく賃料負担能力が低い。そのため、通りの相場賃料は下落傾向にある。表参道・原宿のハイストリート賃料は、原宿エリアの賃料低下から対前期比2.2%下落の17.38万円となった。

セカンダリーエリアにある新規開発物件では、内定テナントのキャンセルにより再募集となった区画があったものの、既に別のリテーラーで内定したようだ。一方、周辺エリアの募集物件が増えたことで、立地や賃料などの優位性が見いだしづらい募集物件では、リテーラーの引き合いが弱い。また、既存テナントから業績不振による退去を相談されたオーナーの中には、面積を縮小し賃料総額を低く抑えることで退去を回避させるなど、柔軟な姿勢をみせる事例がある。

空室率

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
表参道・原宿 1.8% 2.7% 2.9% 5.4% 5.0%

出所:CBRE、Q2 2021

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
表参道・原宿 202,800 179,800 177,700 177,700 173,800

出所:CBRE、Q2 2021

プライム賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
表参道・原宿 330,000 300,000 300,000 300,000 300,000

出所:CBRE、Q2 2021

東京:新宿

ハイストリートではコロナ禍前の水準で出店検討も

ハイストリートの新宿通りにある募集物件では、複数のラグジュアリーブランドの出店ニーズがみられている。中には、コロナ禍前の賃料水準で検討しているところもある。業績不振により既存テナントが撤退した物件では、新宿エリアで移転ニーズがあったリテーラーが後継テナントとして内定した事例があった。また、比較的面積が大きく賃料総額が高額となる募集物件では、複数のリテーラーから引き合いがみられている。中には、新宿エリアの既存店舗からの立地改善ならびに面積縮小の移転ニーズが含まれている。一方で、ハイストリートの空室も増えていることから、新宿ハイストリート賃料は対前期比2.2%下落の17.75万円となった。

セカンダリーエリアにある比較的面積の大きい募集物件では、引き合いの弱さがみられている。賃料水準の引き下げを検討するオーナーはいるものの、多くのリテーラーは高額な賃料負担に対して慎重な姿勢をみせている。

業績不振によって解約不可期間中の退店を検討しているテナントが複数みられている。オーナーが合意解約に応じるケースがある一方、転貸できるリテーラーを既存テナントが探しているケースもある。中には、既存テナントの賃料が相場を大きく上回っており、後継テナント候補からの引き合いがその水準に届いていないところもある。

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
新宿 197,000 184,000 181,500 181,500 177,500

出所:CBRE、Q2 2021

プライム賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
新宿 315,000 300,000 300,000 300,000 300,000

出所:CBRE、Q2 2021

東京:渋谷

業績不振でテナントが撤退、エリア全体で空室が増加

ハイストリートとセカンダリーエリアのいずれにおいても募集物件が増えている。その多くは、長引くコロナ禍で業績不振となったテナントの退去によるもの。募集物件には、ハイストリートの中でも好立地の物件が含まれている。立地の優位性はあるものの、近隣にも募集物件があることなどを考慮し、オーナーは既存テナントよりも2割程度は賃料を下げる考え。渋谷ハイストリート賃料は、出店ニーズに対して空室が増えていることなどから、対前期比5.4%下落の12.77万円となった。

セカンダリーエリアにある複数の募集物件では、エンターテイメント企業からの引き合いがみられた事例があった。一方、駅からの距離がある、間口が狭いなどの理由から、リテーラーの引き合いが弱い募集物件も複数みられている。

カジュアルブランドやコスメブランド、ポップアップ形態など、渋谷エリアへの出店ニーズは複数ある。中には、渋谷エリアにある既存店舗の建て替えに伴い、移転先を探しているところが含まれている。若年層をターゲットにしており、渋谷エリアの路面店舗は戦略上欠かせないと考えているようだ。

渋谷駅直結の地下商店街「しぶちか」が、大規模改修を経て7月1日にプレオープンした。階層は地下1階で延床面積約1,500坪、 22店舗が出店した。デジタル技術を使ったカフェの出店もある。

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
渋谷 149,000 143,000 139,000 135,000 127,700

出所:CBRE、Q2 2021

プライム賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
渋谷 330,000 300,000 300,000 300,000 300,000

出所:CBRE、Q2 2021

Figure4:エリア別出店割合(路面店舗、件数) Figure 4: エリア別出店割合(路面店舗、件数)

Figure5: 業態別出店割合(路面店舗、件数) Figure 5: 業態別出店 割合(路面店舗、件数)

Figure 5 : 主な新規出店事例(東京)Q2 2021

テナント エリア 推定面積(坪) 施設名
グッチ 銀座 220 N/A
エンジェル シャンパン 銀座 40 第5ポールスタービル
ボス 銀座 150 東急プラザ銀座
リンツ 表参道・原宿 N/A 表参道千代田ビル
セシル・エ・ジャンヌ 表参道・原宿 N/A 中嶋ビル
イケア 新宿 990 京王新宿追分ビル
ケイウノ 新宿 N/A 龍王堂ビル
ブルーボトルコーヒー 渋谷 65 渋谷区立北谷公園内

出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q2 2021

Figure 6 : 今後の新規供給(東京)(延床面積1,000坪以上)

施設名 エリア 推定面積(坪) 事業主 オープン
(仮称)神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業 表参道・原宿 6,000 東急不動産など 2022年度
歌舞伎町一丁目地区開発計画 新宿 26,600 東急、東急レクリエーション 2023年1月
(仮称)南青山三丁目計画 表参道・原宿 4,500 三菱地所 2023年2月
(仮称)渋谷区道玄坂二丁目開発計画 渋谷 12,700 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 2023年3月
青朋ビル建替計画 表参道・原宿 5,300 青朋ビル、独立行政法人都市再生機構 2024年2月
渋谷スクランブルスクエア(第 II 期) 渋谷 28,900 東急など 2028年3月

注:店舗以外の他用途を含むケースあり 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q2 2021

関西:心斎橋

エリア内での移転ニーズが増加、空室を埋める

ハイストリートの御堂筋にある募集物件では、移転ニーズがあったラグジュアリーブランドが申し込みをした事例があった。同じく御堂筋にある募集物件では、既存店舗の改修工事に伴う短期移転のニーズがあったラグジュアリーブランドが、出店の交渉をしている事例があった。御堂筋では、心斎橋エリアに路面店舗がないラグジュアリーブランドによる出店ニーズもみられている。また、長堀通以北の御堂筋にある募集物件では、高級外車ブランドの出店が内定した事例があった。成約賃料は、現在の相場並みのオーナー希望賃料と同額だった模様。

ハイストリートの心斎橋筋商店街にある募集物件では、心斎橋エリア内で移転ニーズがあったファッションブランドが申し込みを入れた事例があった。比較的面積は大きいものの、オーナーが賃料水準を引き下げたことで既存店舗よりも賃料を低く抑えられることが決め手となった。このように、移転によって賃料総額を低く抑えられる物件に対しては、複数の引き合いがある。また、心斎橋筋商店街に出店していたスニーカーブランドが、同じ商店街にある視認性の高い物件に立地改善の移転をした事例があった。心斎橋筋商店街では、募集物件が増加している。そのため、オーナーの中には賃料水準を引き下げる動きのほか、コロナ禍の収束までリーシング活動を見合わせるといった動きもみられている。

セカンダリーエリアでも、募集物件が増加している。賃貸条件に柔軟な姿勢をみせるオーナーがみられる一方、 インバウンド需要の消滅などを背景にリテーラーの出店ニーズは総じて弱い。賃料水準を下げてもリテーラーの引き合いが弱い物件が複数みられている。

空室率

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
心斎橋 1.3% 5.1% 6.5% 8.7% 8.7%

出所:CBRE、Q2 2021

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
心斎橋 177,000 170,000 141,100 141,100 138,100

出所:CBRE、Q2 2021

プライム賃料 (円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
心斎橋 250,000 250,000 250,000 250,000 250,000

出所:CBRE、Q2 2021

関西:梅田

エステやチェーンストアの出店ニーズあるも需要は弱含み

美容整形や審美歯科、エステ、シェアサロンなどの出店ニーズがみられた。上層階への出店が多くを占めているものの、路面店舗を検討しているところもあった。また、飲食店舗の撤退が散見される中、複数のレストランチェーンが梅田エリアへの出店を検討している事例があった。好立地の空室が多い現況を好機とみているようだ。さらに、既に商業施設内に店舗を持つリテーラーが、エリア内で2店舗の出店を検討する事例もあった。ただし、梅田エリアへのリテーラーの出店ニーズは弱含んでおり、梅田ハイストリート賃料は対前期比10.6%下落の11.35万円となった。

大阪駅以南のセカンダリーエリアでは、業績不振によるスーパーマーケット退去跡に、コンビニエンスストアからの引き合いがみられた。ただし、複数のコンビニエンスストアが競合するといった状況にまでは至っていない。リモートワークの定着などによって売り上げを落としているため、コンビニエンスストアの出店ニーズもコロナ禍前に比べて弱まっている。

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
梅田 170,000 170,000 130,000 127,000 113,500

出所:CBRE、Q2 2021

プライム賃料 (円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
梅田 250,000 250,000 200,000 200,000 165,000

出所:CBRE、Q2 2021

関西:京都

ハイストリートからセカンダリーへコスト削減による移転

ハイストリートの四条通にある募集物件では、高級ブランドからの引き合いがみられた。賃料は従前のテナントと変わらない可能性がある。別の募集物件では、既存テナントが現行賃料から15%程度上乗せして再契約した事例があった。一方、四条通に出店していた複数のテナントが、コスト削減のためセカンダリーエリアに移転する事例もあった。賃料は現行の3-4割程度の金額に抑えられる模様。後継テナントとしては、四条エリアに路面店舗がないファッションブランドや、既にエリア内に路面店舗を持つリテーラーが別業態での出店を検討している。また、業績不振の既存テナントが撤退した物件の中には、テナント募集を先延ばしにするという戦略をとったところがある。現在は賃料水準が下落しているため、テナント募集時期として適切ではないと判断した。京都ハイストリート賃料は、対前期比2.2%下落の6.65万円となった。セカンダリーエリアでも、既存テナントの撤退に伴い募集物件が散見されている。

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
京都 94,000 76,500 70,500 68,000 66,500

出所:CBRE、Q2 2021

プライム賃料 (円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
京都 120,000 100,000 95,000 90,000 90,000

出所:CBRE、Q2 2021

関西:神戸

好立地でもリテーラーの引き合いは弱い

ハイストリートの三宮センター街や大丸神戸店に近い複数の物件では、リテーラーの引き合いに弱さがみられている。好立地ではあるものの、比較的面積が大きく賃料総額が高額になることが主因。一方、面積が比較的小さく賃料総額を抑えられる物件では、複数のリテーラーが出店を決めた事例があった。賃料相場は下落傾向にあり、今期の神戸のハイストリート賃料は対前期比5.7%下落の7.40万円(月/坪)。

セカンダリーエリアの三宮中央通りにある募集物件では、食物販が申込みをした事例があった。空室が長期化している旧居留地の募集物件では、コスト削減によるエリア内移転の出店ニーズがみられた。

今期は阪急神戸三宮駅直結の商業施設「EKIZO神戸三宮」が開業した。駅高架下や歩道も整備され、飲食店テラス席も設けられた。三宮駅北側、サンキタ通りのイメージが刷新され、来訪者増加による新たな賑わいの創出が期待される。

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
神戸 90,000 86,000 79,000 78,500 74,000

出所:CBRE、Q2 2020

プライム賃料 (円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
神戸 120,000 120,000 100,000 100,000 100,000

出所:CBRE、Q2 2020

名古屋:栄

複数のオーナーが賃料設定に柔軟な姿勢をみせる

ハイストリートの大津通にある募集物件では、集約移転のニーズがあった物販ブランドが出店を決めた事例があった。同じ大津通の別の募集物件では、時計ブランドから引き合いがみられている。現在のマーケット環境に鑑み、オーナーは賃料設定に柔軟な姿勢をみせている。そのほか、いまだ具体的な検討物件はないものの、複数の高級時計ブランドがハイストリートの路面店舗への出店を検討している。

セカンダリーエリアでは、1階を含む複数階から1階単独の募集に切り替えた物件で、リテーラーが内定した事例があった。上層階はオフィスとして募集をしている。比較的大きな面積の募集物件では、高額な賃料総額が敬遠され引き合いが弱かったものの、巣ごもり需要で業績を伸ばした業種が出店に興味を持っている。ただし、他の引き合いは少なく、オーナーは賃料設定に柔軟な姿勢をみせている。一方、複数の物件が空室となっている伊勢町通では、前期に引き続きリテーラーからの引き合いは弱い。

栄エリアに路面店舗を持つリテーラーの中には、好調な業績を背景に2店舗目の出店を検討しているところがある。2022年春のオープンを予定している丸栄跡地の新規開発では、食物販を中心とした店舗の出店が複数予定されている。

空室率

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
0.0% 3.2% 0.0% 0.0% 0.0%

出所:CBRE、Q2 2021

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
74,500 71,500 71,500 71,500 70,500

出所:CBRE、Q2 2021

プライム賃料 (円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
120,000 100,000 100,000 100,000 100,000

出所:CBRE、Q2 2021

Figure 8 : 主な新規出店事例(大阪・名古屋)Q2 2021

テナント エリア 推定面積(坪) 施設名
コーンズ 梅田 50 N/A
ナチュラルコーディネート 梅田 30 LINKS UMEDA
くら寿司 心斎橋 N/A クロードビル
デシグアル 心斎橋 70 不二家ビル
エース 心斎橋 N/A 大丸心斎橋
カルティエ 心斎橋 N/A 御堂筋ダイヤモンドビル
M.&KYOKO N/A メルサ栄
マザーハウス 70 RAYARD Hisaya-odori Park

出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q2 2021

Figure 9 : 今後の新規供給(大阪・名古屋)(延床面積1,000坪以上)

施設名 エリア 推定面積(坪) 事業主 オープン
大阪梅田ツインタワーズ・サウス( II 期) 梅田 *7,300 阪急阪神ホールディングス 2021年秋
(仮称)「丸栄」跡地 N/A 興和 2022年3月
(仮称)新中日ビル建替 2,300 中日新聞社、中部日本ビルディング 2024年春
(仮称)梅田3丁目計画 梅田 4,800 日本郵便、西日本旅客鉄道など 2024年3月
(仮称)うめきた2期地区開発事業 梅田 6,500 オリックス不動産、阪急電鉄、三菱地所など 2024年8月
大阪駅新駅ビル(仮称) 梅田 17,800 大阪ターミナルビルなど 2024年秋

注:店舗以外の他用途を含むケースあり *百貨店部分全体から、I期に開業する面積を除く
出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、 Q2 2021

福岡:天神

オーナーとリテーラーの賃料目線に大きな乖離

ハイストリートの天神西通りにある募集物件では、出店を検討していたリテーラーが、新型コロナウイルスの感染再拡大によって出店計画に慎重な姿勢を強めたことから、申し込みをキャンセルした事例があった。ハイストリートでは、アパレル、ファッション小物など複数のリテーラーの出店ニーズはあるものの、募集物件のオーナーとは賃料目線に大きな乖離があり、契約には至っていない。空室が長期化している比較的面積の大きい複数の物件でも、募集賃料を下げる動きはみられていない。しかし、オーナーのこうした動きは一部にとどまっている。リテーラーの出店ニーズは弱含んでいるため、全体では賃料相場は下落している。今期の天神ハイストリート賃料は対前期比4.0%下落の4.75万円(月/坪)になった。

ハイストリート賃料(円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
天神 57,000 51,500 51,500 49,500 47,500

出所:CBRE、Q2 2020

プライム賃料 (円/坪)

  Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021
天神 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000

出所:CBRE、Q2 2020

調査概要
調査対象 空室率
・CBREが独自に設定した対象地
 銀座ハイストリート(161棟)、表参道・原宿ハイストリート(236棟)
 心斎橋ハイストリート(164棟)、栄ハイストリート(53棟)
・対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定
プライム賃料/銀座ハイストリート賃料
・CBREが独自に設定した対象地
・ワンフロアの面積が200㎡程度の建物を想定
・対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定
調査時点 四半期 (第1四半期)3月末(第2四半期)6月末(第3四半期)9月末(第4四半期)12月末 時点集計
調査方法 空室率
・空室は集計時点で即入居可能であるものを対象(新築施設は竣工済みのものが対象)
プライム賃料
・対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限値 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)
・主要都市における、都心商業立地の中の一等地(の賃料)
銀座ハイストリートの賃料
・対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限と下限の平均値
 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)

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