働き方の多様化に柔軟に対応する、リージャスのサービスライン
リージャス・グループ
日本代表
西岡 真吾氏
ニーズに合わせて4つのブランドを展開
英国を本部とするリージャス・グループは、世界120ヶ国1,000都市に3,000拠点を展開する、世界最大手のレンタルオフィスプロバイダーです。日本においては現在、全国32都市で125拠点を運営しており、2018年9月に日本進出20周年を迎えます。
当社(日本)のレンタルオフィスのお客様には、大きく分けて6つの利用形態があります。1つは、当社の強みである海外ネットワークを利用した外資系企業の日本拠点、または日本企業の海外拠点。2つ目は、企業の出先機関である支店や営業所。3つ目は、開発やM&A、人材採用といった短期プロジェクトルーム。4つ目は比較的小規模な本社移転。5つ目はスタートアップのオフィスとして。そして6つ目は新しい形態、いわゆる「働き方改革」を目的としたサテライトオフィスで、これは近年増加傾向にあります。
運営するレンタルオフィスをサービス別に見ると、現在日本では、お客様の働き方の多様化に合わせて4つのブランドを展開しています。「Openoffice」は1、2名のスタートアップや士業の方が多く、小規模で長期間使う比較的リーズナブルなブランド。「Regus」は規模やサービスをバランスよく提供するスタンダードなレンタルオフィス。「SPACES」はコワーキングスペースを備え、コミュニティの形成や出会いといったプラスアルファの効果をねらい、外資系企業の利用も多くなっています。「SPACES」の個室は大型のオフィスニーズにも、個人事業主の利用にも対応しています。「Regus express」は空港や駅直結のビルに設置しており、空港の中での全社会議も可能です。
これらのブランドの中で移動するお客様が多いのが当社の特徴ですが、これが他社との差別化を図る強みとなっています。と言うのも、お客様のニーズはコストも面積も期間も千差万別であり、同じお客様でもニーズは刻々と変化しますが、当社はこれにお応えできる提案バリエーションを多数持っているからです。最初にお話ししたように、当社は全世界のネットワークで多ブランド戦略を展開しており、お客様はこのネットワークの中で選択が可能です。平面(エリア)と垂直(価格)の双方に展開する強みを活かし、従来の“不動産”ビジネスから動産ビジネス、サービスビジネスへと、変革を遂げていきたいと考えています。
SPACESのコンセプトと目的別活用方法
当社の運営する「SPACES」は、人と人とが会社の垣根を越えて出会う、ビジネス創造の場の提供を目的に展開するブランドで、現在、大手町と名古屋で運営しています。「SPACES 大手町ビル」では、1Fにコワーキングスペース、イベントスペース、ミーティングルーム、バリスタカフェを、2Fに個室(レンタルオフィス)を備えています。大手町という場所柄、近隣の大手企業が分室として利用し、その企業との取引のため外資系企業が拠点を置くといったケースも見受けられます。50~100名の大型個室の利用にも対応しており、急遽スタートしなければならないプロジェクト等でオフィスを稼働させる場合、普通の賃貸借契約なら早くても半年はかかりますが、「SPACES」なら間仕切り壁を取り払うことで、数百坪をスピーディに用意することができます。また、新宿方面に本社を置く企業がサテライトオフィスとして利用する場合もあります。一方、フリーランスや個人事業主のお客様は、コワーキングスペースのみ利用されることが多く、立地の利便性というよりは、ここでの出会いを目的とするケースが多いようです。両者は、このような場所がなければ接点がなく、また同じ空間で仕事をすることはなかったでしょう。
日本を代表する企業とビジネスチャンスを求めるスタートアップが出会う、そうした場を提供する「SPACES」ですが、コワーキングスペースだけ用意すればいいということではありません。ビジネス系のセミナーやイベントはもちろん、ワイン試飲会やヨガ、油絵といったライフスタイル系イベントも定期的に企画しており、業種も規模も違う企業の出会いの機会を提供しています。
コワーキングの在り方と今後の展開
最近のオフィスのトレンドとして、“コワーキング”はブームとも言えるほど注目を集めています。コワーキングというオフィスサービスを永続的なモデルにするためには、契約する企業(雇用主)と、実際に利用する社員、そして施設の運営者のいずれもが無理をせず、メリットを享受できなければならないでしょう。そうでなければ、一過性のブームとして早晩廃れてしまうだろうと考えています。また、オープンなスペースで働くことをコワーキングと言う向きもありますが、これは狭義な解釈だと思います。フリーアドレスで働くことに限定すると、狭い範囲のサービスしか提供できなくなります。当社はもっと広義に捉えており、オープンスペースも個室もあり、それらに対するニーズに応える一定レベルの資産やサービスを皆で共有する、これがコワーキングであると考えています。
日本に進出して20年、当初は小規模なお客様が多く、そうしたニーズに向けたサービスと認識されていました。現在は、大型の利用も増えてきており、当社サービスのベネフィットの認知度が上がってきたと感じています。お客様の業種も最初はIT関連が多かったのですが現在は多岐にわたり、働き方も多様化しています。我々のサービスも多様化していかなければなりません。全国的なニーズの拡大に伴い、この日本市場においては、400〜500ヶ所の拠点展開も可能であると見込んでいます。
〔取材●2018年4月〕