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工場跡地等の低未利用地の活用が、地域の新陳代謝を促す原動力に

財団法人日本立地センター
地域振興部 次長 高野 泰匡

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工場跡地利用の実態を示す流動化効果のデータ

(財)日本立地センターは経済産業省の外郭団体で、1961年、主に工業を中心とした産業立地と、地域振興に関わる調査研究機関として設立されたものです。当財団では、昨今、企業において不動産、特に遊休地の流動化ニーズが顕在化してきたことを受け、2000年より「工場跡地等情報提供事業」という情報サービスを実施しています。これは、インターネットを通じた情報提供により、工場跡地といった未利用地への立地促進、産業団地等の分譲推進を目的とするものです。まず、この流動化効果のデータを基に、工場跡地と企業立地ニーズについての現状を解説してみたいと思います。

2003年度までで、当財団での調査による申告ベースの用地流動化効果は計506件。すべてが工場跡地に関するものではありませんし、こうした取引は基本的に民間同士で行われるため、取引状況の正確な数値ではないことを最初にご理解ください。流動化効果のデータの内訳としては、工場跡地系が15.6%、産業団地系(工業団地、物流団地、業務団地等)が84.4%。2001年度、02年度、03年度で工場跡地系の占める割合は、それぞれ26.7%、11.9%、6.6%となっています。この情報提供事業における掲載件数割合で、もともと産業団地が約7割を占めるという状況を考慮する必要がありますが、工場跡地への企業立地は、相対的にあまり多くないのは確かなことです。工場跡地を捉える場合、件数やボリュームというよりも、その質、個々の利用方法、すなわち様々な用途に活用できる事業用地のあり方として見ていったほうがよいと思います。

自治体の思惑をよそに、多様化する跡地の利用用途

再開発事例の開発・利用形態

2003年度のデータにおける立地後の用途としては、「工場(本社、物流等併設含む)」が54.5%(02年までは50.8%)とほぼ半数以上を占め、以下、「物流・倉庫」が22.3%(同26.3%)、オフィスや宅地・住宅、特別養護老人ホーム、パチンコ業などの「その他用途」が12.8%(同22.9%)となっています。「その他」として、事務所などの業務系施設が多くなっているほか、「研究所」などの事例が初めて見られたのが03年度の特徴と言えます。

一般に自治体、特に地方では、工場を「雇用創出」や「地域活性化」の鍵として捉えているため、工場跡地を他用途に転用するのではなく、新たな工場誘致につなげたいと考えています。そのため、自治体レベルのホームページでも、工場跡地の紹介など数多く目にします。しかし、基本が民間取引であるため、工場の再誘致に向けた積極的な関与はできず、紹介や相談に対応する程度にとどまっているのが現状です。結果として、他用途への転用も多く見受けられると言えるでしょう。

近年では、このような工場跡地を、都市再開発の種地として利用する例が増えています。開発・利用形態を見ると、住宅や商業、レジャー施設などの単独系と、これらを組み合わせた複合系に分けることができます。このうち複合系は、さらに(1)産・学・住などの機能を満たす「総合街づくりタイプ」、(2)マンションやショッピングセンターを中心にホテルやオフィスなどを加えた「住・商ミックスタイプ」、(3)大規模ショッピングセンターを核にテナントミックスとして形成される「商業開発タイプ」、(4)自治体が中心となって整備する「公共・公益的施設タイプ」などがあります。

また、事業の主体や形態で見ると(1)売却タイプ、(2)土地貸与・信託タイプ、(3)第三セクター方式を含めた共同開発タイプ、(4)自己運営や施設貸与を含めた自己開発タイプ、に分けられます。特に再開発については、投資回収を見込んで事業を行うため、オフィスなどの業務系や、マンションを中心に商業・アミューズメント的機能を付加した例が多くなっていると言えるでしょう。

一口に工場跡地の利活用といっても、地域や敷地面積によって大きな違いがあるのは当然です。例えば都市部では、工場や物流拠点としてはもちろん、ある程度の面積があればオフィス、住居、商業ビル、アミューズメント施設などに転用できるほか、特に都心部では、小規模でも、公園やコンビニエンスストア、コインパーキング、あるいは墓地のような施設など、様々な業態への転用が可能です。

しかし、郊外に行くにしたがいニーズは限定され、地方都市では、大きな面積であればショッピングセンターやホームセンター、シネマコンプレックスに、また、小さいものは介護施設など福祉関連への転用が目立つ程度で、利活用にも限界があるのが実状です。

変動要素が大きい低未利用地の需給バランス

バブル崩壊以降の低迷した経済環境下、廃業や生産拠点の統廃合、さらには海外への移転などで、数多くの国内工場が閉鎖されてきました。加えて、工場周辺の都市環境の変化による操業難、減損会計の導入など、工場をめぐる状況は著しく変化しています。様々な理由から、近年、工場跡地をはじめとする低未利用地が、不動産取引市場に大量に供給され、いわば供給過剰の状態が非常に長く続いてきたと言えます。

しかし、その状況もこの1、2年程で明らかに変化してきました。供給過剰感は薄れ、場所によっては逼迫した市場が形成されているのは周知の事実。大規模開発に適した大型の優良物件は、すでにその大半が開発され、極めて限定的ながら不動産バブルの状況が生じているとも言われています。また、物件不足に拍車をかけるもう一つの事象として、景気回復による土地の囲い込みが挙げられます。仮に、その企業にとって低未利用地であっても、財務状況が逼迫していないなら、将来的な利用の可能性を見越して、無理に低価格で売りさばかなくともよいという心理が企業内で働いているのです。あるいは今ならば、値上がりの期待感さえ抱いているかもしれません。

不動産証券化などの手法が定着し、資金調達の選択肢が広がったことも、昨今の工場跡地開発の一つの大きな特徴でしょう。特に外資系の投資企業などは、早期から金融不動産として工場跡地に目をつけ、オフィスビルなどの業務系施設、物流施設、あるいはマンションや商業施設をセットにした複合型の開発を展開してきました。また、工場跡地を所有する企業が不動産活用のノウハウを持っていれば、この投資マネーを資金に開発を推進していけるわけですから、先に述べた囲い込みと同様に、一般市場に売却用工場跡地が出なくなる要因とも言えます。

さらに、土地を活用する側のニーズも変化してきています。以前は郊外を中心に積極的に店舗用地を取得していたホームセンターや大型スーパーなどは、土地価格の低下とともに事業用定期借地などを利用しつつ、都市部での工場跡地への店舗展開に移行しています。供給、需要のこうした理由により、都市部の優良低未利用地は市場に出にくくなり、今後もその傾向は、年々強まってくるものと思われます。

地域によって異なる低未利用地活用の課題

一方、すでに市場に出ている物件についても、いくつかの課題があります。

都心部での工場跡地転用はオフィスやマンションが中心であり、2003年問題をはじめとするオフィスビルの供給過剰は記憶に新しいところです。また、局地的なマンション急増による、都市インフラや教育施設の不足といった問題も起こっています。数年前に話題になりましたが、工場跡地が多かった東京都江東区ではマンション建設が相次ぎ、そのため局地的な児童急増で小学校が不足することから、こうした施設への協力金の付加が求められるような事態となりました。その他マンション建設については、高さやワンルームタイプの制限などを盛り込んだ規制、条例等を設ける自治体が増えたり、各地で地元住民による建設反対運動が起こるなど、工場跡地の宅地開発に歯止めがかかる動きも活発になっています。逆に、先にも触れたとおり、工場跡地が住宅地と混在するような場合、周辺地域からの圧力により、将来、長期にわたって工場の操業ができるかどうかという不安があります。このような場合、工場跡地への工場再進出にはリスクが伴い、結果、転用の幅も限られてくるわけです。

小さなスペースであれば、スーパー銭湯や住宅展示場、フットサルコートなどの活用例も考えられます。しかし、住宅地域内で墓地などに転用するケースでは、地区住民から反対が起きる可能性もあるなど、都市部ならではの課題を抱えている自治体も多いのです。

他方、地方部において新たな障害となりうるのが、まちづくり三法(中心市街地活性化法、改正都市計画法、大店立地法)の改正です。先にも述べたとおり、地方においては、工場跡地を、再度、工場の受け皿用地として利用したいと考えています。ただ、道路や電気、上下水道などインフラが整備されているというメリットがある反面、輸送コストなどから不利を被ることがあり、そのため敬遠されるケースが多いのです。この工場に代わる用地活用の大きな用途になっていたのがホームセンターやショッピングモールなどの商業施設でした。しかし、現在の法律が改正されれば、他の利用ニーズが考えにくい地方において、工場跡地の再活用の障害になる可能性が高いと言えます。

秩序あるまちづくりに不可欠な工場跡地利活用の仕組みづくり

これまで述べてきたとおり、工場跡地は地価下落を背景に、都心部ではマンションやオフィスビル、地方都市ではショッピングセンターを中心に再開発事業が進められてきました。しかし最近では、都市の機能面と計画面の弊害が顕在化し、各種の規制も行われるようになってきています。

言い換えれば、社会的なニーズに合わせた、工場跡地利活用の仕組みづくりが必要となっているのでしょう。跡地を点としてとらえるだけでなく、工場跡地を種地として、地域なりを面としてとらえるような計画、まちづくりが求められているのです。利活用については、単に投資効率や収益だけでなく、社会環境、生活環境の変化に合わせて、例えば都心ならレンタルオフィス、保育園、託児所・託老所、温泉施設、高齢者介護サービスなど、公共性の強い施設への転用も考えるべきです。

工場跡地は都市にとって希少な"資源"。これをベースに、秩序あるまちづくりを実施するため、まず、その"ルール"づくりに着手する必要があると言えます。そのルールに則った上、都市の新陳代謝の起爆剤として工場跡地をうまく活用していくことが、地域活性化の原動力となるのではないでしょうか。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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